受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

千代田区立九段中等教育学校

2022年9月29日(木)

「学ぶ」「生きる」「鍛える」という教育目標を6年間かけて追求

 千代田区立九段中等教育学校の前身は、1924年に開校した第一東京市立中学校です。戦後の学制改革によって、都立九段高等学校となり、2006年には6年一貫の中等教育学校として改編されました。

 オンライン説明会で広報の荒川高広先生は、「千代田区という地の利を生かし、周辺の官公庁・大企業・大学・研究機関と連携して、多彩な体験学習を行っています。全校生徒が使うタブレット端末は千代田区から寄与されたもので、1か月20GBまでデータ通信ができます。そのため、Wi-Fiがつながらない場所でも双方向型オンライン授業が可能です」と、恵まれた学習環境をアピールしました。

 続けて、同校の教育活動の基本方針である「学ぶ」「生きる」「鍛える」について説明しました。まず「学ぶ」では、主要教科の取り組みが具体的に挙げられました。理科では、設備の整った六つの実験室で「本物から学ぶ実験授業」を数多く行っています。数学は習熟度別に少人数制で授業を行い、発展的な学習にも取り組みます。専任の外国人講師が指導する英語では、ペアを組んで対話するスキットや、グループワークによる発表の機会を多く設け、4技能をバランス良く伸ばしています。また、始業前には外国人留学生による「イングリッシュシャワー」を、放課後には外国人講師が「イングリッシュサロン」をそれぞれ実施しているのも特徴です。国語や社会では論理的思考力を育てるために、ディベートの授業を充実させています。

 「生きる」では、6年間かけて行う「九段自立プラン」について説明がありました。前期課程(中1~3)では、「学び方を学ぶ」「情報収集のスキルを伸ばす」「コミュニケーション力を向上させる」ことを目標に、体験を重視した教育を実施します。1年生では「地域を知る」ことを目的に千代田区の企業を訪問し、議題解決の基本とプレゼンテーションの基礎を学びます。2年生では「世界を知る」をテーマに大使館訪問を行います。3年生では日本伝統文化学習「江戸っ子塾」と称して、礼法、寄席文字、茶道など、日本の伝統文化に関する講座を開講し、ここで学んだ内容を海外研修で外国人に伝えます。こうした経験を土台に、全員参加のオーストラリア海外研修旅行(3年生)、シンガポール海外修学旅行(5年生)、大学の研究者や学生と交流を深めるUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)海外大学派遣研修(4・5年生選抜)などで世界へと視野を広げ、国際感覚を培っていきます。また、後期課程(4~6年生)では3年間かけて論文形式のレポートを作成し、最終的にプレゼンテーションを行います。

 「鍛える」とは、部活動や学校行事に全力で打ち込み、心身をともに鍛えることを指します。4年生の7月に開催される、千葉県勝浦市で最長2キロの遠泳に挑む伝統行事「至大荘行事」もその一つです。荒川先生は「卒業生のほか、地元の方の協力も得ながら行われる、最後まで安全に泳ぎ切る行事です。仲間と励まし合いながら自分自身の限界に挑戦した経験は一生の思い出になります」と力強く話しました。また、授業前には「おはようスタディ」という自習時間を、放課後には教員と大学生チューターが指導する「放課後スタディ」の時間をそれぞれ設け、授業以外でも学力を鍛えています。

 最後に、今年度から校長に就任した野村公郎先生よりあいさつがあり、「本校は、千代田区の制度により、熱意ある教員を数多く採用できるので、国語・数学・英語は習熟度別の少人数制授業を充実させることができます。また、前期課程では担任も2人制をとり、生徒を手厚く支援しているのも特徴です。海外進学にも力を入れています。今年7月には国際大学連合と連携し、イギリスの国立セント・アンドリュース大学をはじめ、名だたる海外大学6校への指定校推薦枠を確保しました。他校と比較検討したうえで、興味のある方は本校を受検してください」と締めくくりました。

イメージ写真 同校は九段校舎(1~4年生)と富士見校舎(5・6年生)とに分かれています。天文台、室内温水プール、LL教室、多目的ホールなどの施設・設備が充実しています

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