受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

鶴見大学附属中学校

2022年10月14日(金)

禅の教えを尊びながら、「どのような場所でも自分らしく輝く」ための土台を築く

 鶴見大学附属中学校・高等学校は、曹洞宗大本山總持寺(そうじじ)を母体とした共学の中高一貫校です。約50万m²の敷地に、鶴見大学、同歯学部附属病院、同短期大学部附属三松幼稚園といった施設が並ぶ、緑豊かで落ち着いた学習環境も魅力です。同校は大学の付属校ですが、大学に設置されているのは文学部と歯学部のみであることから、内部進学するのは例年卒業生の4~5%程度で、多くは他大学に進学します。

 この日のオンライン説明会では、入試広報部の阿部未来先生が学校概要と教育内容について説明しました。建学の精神に「大覚円成(だいがくえんじょう)」「報恩行持(ほうおんぎょうじ)」を掲げる同校では、仏教、特に禅の精神に基づく人格形成を重視した人間教育を実践しています。これは仏教用語であるため、生徒には「感謝を忘れず真人(ひと)となる」という易しい表現で伝えていましたが、さらにわかりやすくするため、最近では「当たり前のことを当たり前にできるようになる」と言い換えているそうです。

 教育目標にも、「随所に主となる」という禅のことばが用いられています。これは「どのような場所でも自分らしく輝く」という意味で、この目標を達成するために同校では、「自己理解と他者理解」「興味・関心」「主体性」の三つを育てることを教育の柱としています。

 まず「自己理解と他者理解」を育てる取り組みとして、阿部先生は「黙念」「ジャイロ手帳の活用」「学校行事」を挙げました。「黙念」は禅の作法の一つで、毎日の朝礼と終礼では、生徒が自分自身と向き合う静かな時間が設けられています。「ジャイロ手帳」は同校オリジナルの自己管理手帳です。生徒はスケジュール・課題・目標・授業内容・家庭での過ごし方を記入して自分の時間を管理し、自己理解を深めています。「学校行事」については「一人ひとりが個性を発揮して協働することで他者理解を深められる絶好の機会です」と話しました。

 続いて「興味・関心」を育てる取り組みとして、「教科エリア+ホームベース型校舎」「図書館の活用」「特活自由研究」が紹介されました。「教科エリア+ホームベース型校舎」とは、ホームベース(各クラスのホームルーム教室)を拠点とし、授業時には各教科の特徴を考慮して設計された教室に移動して学ぶ環境のことです。また、図書館は約8万冊の蔵書数を誇ります。阿部先生は「本校の図書館は、生徒同士の対話の場となっています。また、大学の図書館も利用できます」とつけ加えました。「特活自由研究」は、生徒が自分の興味のある分野について自由研究を進め、文化祭で発表を行う課題解決型の探究学習のことです。

 三つ目の「主体性」を育てる取り組みに関わるキーワードとして阿部先生が挙げたのは、「教科エリア型+ホームベース型校舎」「2コース制」「放課後の過ごし方」です。前述のように、校舎自体が自分で時間を管理して学びに行くという教育方針を反映したものになってます。「2コース制」については、「出願の時点で進学クラスと難関進学クラスの二つに分かれています。進学クラスでは勉強も部活動もがんばりたい人が、難関進学クラスでは学力と知識力をつけたい人が選んでいます。自分に合うクラスをみずから選ばせて自己肯定感、成功体験、学ぶ意欲を育てます」とのことです。「放課後の過ごし方」については、大学生による学習補助「チューター制度」、テスト前に教員が図書館で質問対応をする「フェローシップ」、留学生を招いて英語で文化交流を行う「イングリッシュラウンジ」が紹介されました。そして、「成績不振の生徒には指名制の補講も行っています。みずからの課題に向き合い、主体的に行動する姿勢の育成に力を入れています」と強調しました。

 最後に阿部先生は、「禅の教えというと、堅苦しい印象があるかもしれませんが、これまで日本人が大切にしてきた思想を大切にする心なのだと考えています」と結びました。

イメージ写真 總持寺の境内を通った先に広がるキャンパス。校門をくぐる前に一礼するのが毎朝の習慣です。隣接する大学や短期大学との連携授業も行われています

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