受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

武蔵野大学中学校

2022年11月1日(火)

創立100周年に向けて学校改革を推進。多彩な探究活動で学びの情熱を生み出す

 仏教学者の高楠順次郎博士によって1924年に設立された武蔵野女子学院。戦後も武蔵野女子学院中学校・高等学校として女子の教育を続けてきましたが、2019年度に中学校を共学化し、武蔵野大学中学校・高等学校と改称しました。2020年度からは高校も共学化され、現在は創立100周年に向けて、大規模な学校改革を推進しています。

 この日、最初に登壇した校長の中村好孝先生は、「探究活動は成績向上に役立つのでしょうか」と切り出し、生徒が企画・構成・編集・撮影を行ったクラス紹介の動画を上映しました。音楽に合わせてダンスをする生徒の躍動感から、学校生活の充実ぶりがうかがえます。そのうえで中村先生は、「この動画は本校が取り組んできた『探究』の一つの成果です。学校生活で最も重要なのは、『楽しい経験をどれだけ積めたか』です。高いレベルで生徒と教員の熱量を上げていくことが、成績向上にもつながると考えます」と話しました。

 続いて、「探究」の学習スタイルについて説明がありました。同校では「What(何)」「How(どのように)」「Why(なぜ)」の3段階に分けて探究活動を進めています。「これまでの日本の教育は『What』、すなわち知識の詰め込みに終始していました。そこで『How』という探究活動が求められるようになり、学習指導要領が改訂されたのです。わたしたちがめざすのは、それよりもさらに深い『Why』を意識した学びです」と、中村先生は続けます。

 その具体的な取り組みの一つとして、2022年度から同校の教員組織内に生まれた「EX部」が紹介されました。これは、学校内だけでの「閉ざされた学び」をいかに「外の世界」とつなげるかを考える狙いがあるそうです。たとえば、高1での「Liberal Arts Musashino(LAM)」では、企業から招いた専門の講師による指導の下、学校の授業では体験できないロボット工学・法律・哲学対話などの特別講座を受講できます。また、探究活動の成果をアウトプットする場として、近隣の小学校での出前授業も新たに始まりました。

 中学では「グローバル&サイエンス」をテーマとした教育を実践し、変化の激しい時代に対応して、「世界に貢献できる人材の育成」「論理的・科学的思考力を持った、社会の課題を解決しようとする人材の育成」をめざしています。「グローバル」では英語をツールに仲間と協働し、課題解決力と英語4技能の育成に力を注いで、学習活動の幅を広げます。「サイエンス」では「日常を科学する」ことをテーマに掲げ、大学研究室レベルの設備を利用した高度な実験などを通して知見を身につけ、論理的思考力を養います。なお、同校では高2終了までに高校内容を学び終える先取り学習を行っており、高3の授業は演習が中心となります。

 高校は医学部・国公立大学・難関私立大学をめざす「ハイグレード(HG)」、海外大学や国内の国際系大学をめざす「PBLインターナショナル」、幅広い進路をめざす「本科」の3コース制となります。中高一貫生と高校からの入学生とは高2で混成クラスとなり、文系・理系に分かれて実戦力を高めます。系列の武蔵野大学への進学を希望する生徒は本科に多く、学年全体の約3割が同大学に進むそうです。

 中村先生は「LAMで磨いたスキルを武器に、HGコースでは現役東大生によるワークショップも取り入れながらアカデミックマインドを育成し、PBLコースではアントレプレナーシップ(起業家)教育で課題解決能力を鍛えます。本科では自己ブランディングが主軸となります。社会で活躍するためには欠かせない非認知能力を上げることが、成績向上にもつながると考えています。また、そもそも本校は宗門校であり、人格教育がすべての基本です。創立100周年に向けてさらに学習環境を拡充する計画も進めています」と結びました。

イメージ写真 約3万坪の広大な武蔵野キャンパスには幼稚園・中学・高校・大学の校舎があり、全天候型の人工芝グラウンドや冷暖房完備の体育館など、充実した設備がそろっています

www.musashino-u.ed.jp 別ウィンドウが開きます。

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