受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

東京都立立川国際中等教育学校

2022年12月15日(木)

国際社会で活躍する人材の育成をめざす、全国初の公立小中高一貫校が誕生

 都立中高一貫校のなかで校名に唯一「国際」を冠する東京都立立川国際中等教育学校は、2008年の創立以来、「国際社会に貢献できるリーダーとなるために必要な学業を修め、人格を陶冶(とうや)する」という教育目標を掲げ、多彩な国際教育を推進しています。2022年4月には附属小学校が開校し、公立では全国初となる小中高一貫教育校として新たなスタートを切りました。

 この日のオンライン説明会には2021年度より校長に就任した市村裕子先生が登壇。その冒頭で、中等教育学校と附属小学校の校舎を「空中歩廊」でつなぎ、すべての生徒・児童が互いにアクセスしやすい環境を整えて、連携しながら充実した学びを実践していることを紹介しました。

 続いて、教育内容の詳しい説明がありました。同校では“Road to Global Citizens ~Think Globally, Act Locally~(世界市民へ~地球規模で考え、自分ができることから行動する~)”という学校方針「Tachikoku Grand Design」の下、特色ある教育を行っています。その主軸となるのが「教養主義」「国際教育」「自己実現」の三つです。

 「教養主義」を支える教科教育では、高2に当たる5年生まで文系志望か理系志望かを問わず共通のカリキュラムで幅広く高度な知識を養い、授業では1人1台の端末などICTを活用しています。英語・数学は習熟度別で指導し、始業前や放課後に補習を行うなど、きめ細かいサポート体制を整えています。また、生徒の知的好奇心や探究心を刺激する東京大学との高大連携講座や、PTA主催の講演会も企画されています。後期課程の「総合的な探究の時間」にはSDGsをメインテーマに探究活動を進め、ポスターセッションを開催します。チームでの共同研究にも取り組み、その成果を外部のコンテストでも発表しているそうです。

 「国際教育」については、海外留学の支援だけではなく、留学生の受け入れも積極的に行っています。英語発表会、英語合宿、文化祭での英語劇など、英語力を磨く学校行事が豊富で、「日常」のなかで国際感覚を養っています。現在、オーストラリア海外研修旅行(5年生)などについては、代替プログラムが実施されていますが、これについて市村先生は「海外研修を通して、生徒たちは数日で大きく成長し、立国(たちこく)から世界へ飛び立っていくためのグローバルマインドを養います」と強調しました。さらに、東京都教育委員会の施策「GE-NET20 (Global Education Network 20)」の指定校として、ケンブリッジ英検やTEAPに生徒全員で挑戦し、オンライン英会話にも取り組んでいます。7名のネイティブ教員常勤講師が2名、非常勤講師が5名)が在籍しているため、日本人教員とのティーム・ティーチングによる英語の授業も数多くあります。

 「自己実現」では、「目標を高く、学校を軸足に、最後まで諦めない」をモットーに掲げた進路指導について説明されました。チューターのいる自習室を含めて4か所の自習スペースを設置し、進路講演、模擬試験分析、長期休業中の講習なども実施しているとのことで、なかでも5・6年生を対象に、本番と同じ時間割で2日間にわたって行われる「大学入学共通テストリハーサル」は、同校ならではの企画です。「本校の強みである英語を生かして可能性を広げ、2022年春は約84%の卒業生が現役での大学進学を果たしました」と市村先生は話します。

 リーダーシップを養い、協働力を高める行事や部活動も盛んです。「三祭(さんさい)」と呼ばれる体育祭・文化祭・合唱祭では、生徒が主体となって企画・運営を行いますが、そのなかには附属小学校の児童も参加するものがあります。「小1の児童から高3に相当する年齢の生徒までがそろって行事に取り組むのは、約200校ある都立校のなかで本校のみ」とのことです。

 市村先生は「かけがえのない6年間を過ごす価値が、本校にはあります。ぜひ、皆さんも『チーム立国』の一員となって、共に充実した学校生活を送りましょう」と語り、説明会を締めくくりました。

イメージ写真 附属小学校2階フロアに設置されているラーニング・コモンズは、中等教育学校と附属小学校の共有施設です。図書館、視聴覚ホール、自習室、PCルームなどを一つのフロアに揃え、探究的な学びを推進しています

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