受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

山脇学園中学校

2023年5月17日(水)

一人ひとりの「志」を育て、目標に向かって自走する力を伸ばす

 都心の港区赤坂に広々としたキャンパスを構える山脇学園は、1903年に設立された伝統校です。初代校長の山脇房子は、「西洋人女性に負けない高い教養とマナーを身につけた日本女性の育成」を目標に掲げ、夫の山脇玄と共に学園の前身となる實脩(じっしゅう)女学校を創設しました。

 この日、あいさつに立った校長の西川史子先生は、「山脇学園は今年、創立120周年を迎えました。これを節目にあらためて不易と流行を踏まえ、建学の精神を受け継ぎつつ、時代に即して進化していきたいと思います」と話しました。続けて、「本校が大切にしている『志』ということばには、『自分が心に決めた決意や目標』と『他者を思いやる心』という二つの意味があります。自己実現を果たして得られた成果を社会や人の役に立てられてこそ、幸せを感じて生きられるのです」と述べました。

 同校では、6年間を2年ずつ三つのタームに分け、多くの学びや経験を通して生徒自身が「志」を持たせることをめざしています。校内だけでもチャレンジの機会は多くありますが、校外の大会やコンテストへの参加も奨励しており、これらを通して生徒たちが大きな成長を遂げていることも紹介されました。西川先生は「一人ひとりの木が6年間でしっかりと根を張り、太い幹と折れない枝をつくれるようにしたいのです。そしてそれが人々に恵みをもたらす木であってほしいと願っています」と語りました。

 次に、学習進路部長の高桑浩一先生が登壇し、6年間のカリキュラムと学習・進路支援について説明しました。まず、中1・2で学習習慣をしっかり定着させ、中3・高1では探究的な活動で学びを深め、高2・3では習熟度別・文理別のクラスで希望進路の実現に向けて学力を伸ばすという方針です。「人生を主体的に活き活きと生きる力」を身につけるために、生徒の主体性や対話を重視した授業への移行を進め、ICT機器やオンラインツールの積極的な活用も推進しています。英語教育では、伝統的に学び合いや伝え合いを重視しており、学力に応じて5段階のクラスに分け、習熟度別授業が行われています。

 また、面談や学習手帳を活用して生徒一人ひとりの状況を把握したうえで、予備校講師による「英・数トップレベル講座」(中2~高1)などの講習・補習を実施し、学習をフォロー。自習エリア「セルフスタディアイランド(SSI)」では、専門スタッフと卒業生チューターが日々の学習をサポートします。

 今春、同校の卒業生253名は85大学164学科に進学しました。高桑先生は、「一人ひとりの志にとことん向き合うのが、本校の進路指導の方針です。それぞれの生徒をしっかりサポートできたからこそ、このような多様な進路の実現につながったのでしょう」と強調しました。

 同校が掲げる「総合知」の説明は、中学教頭の鎗田謙一先生が担当しました。「総合知」とは、自然科学と人文・社会科学を融合した総合的な「知」のことです。それを育てる6年間のプログラム「Integrated Science Project(ISP)」に基づいて、教科連携型のカリキュラムを全生徒が履修します。「中2の技術の時間にはIoTの基礎を学び、中3ではデータサイエンスなどを学習する『探究基礎』や、『ELSI』(科学倫理)の時間を設けています」と鎗田先生は言います。最も大きな特色となるのが、中3で実施する選択制の「チャレンジプログラム」です。「英語チャレンジプログラム」「マイチャレンジプログラム」「科学研究チャレンジプログラム」の3クラスに分かれて探究活動に取り組むもので、高1になると「スタンダードクラス」「サイエンスクラス」「国際教養クラス(2025年度開設予定)」が設置されます。鎗田先生は、「中高時代から自分が興味のあることを追究していれば、大学の学部選びでのミスマッチが起こりにくく、社会に出てから必要となるアントレプレナーシップ(起業家精神)も育つと考えています」と結びました。

イメージ写真 2022年に図書館をリニューアルして探究活動の拠点となる「ラーニングフォレスト」を新設。グループワークやプレゼンテーションができる設備も整え、学びのエリアが充実しました

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