受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

不二聖心女子学院中学校

2023年6月9日(金)

緑豊かな学習環境の下、「魂」「知性」「実行力」をバランスよく高める全人教育を実践

 静岡県裾野市の丘の上に建つ不二聖心女子学院中学校・高等学校は、聖マグダレナ・ソフィア・バラによってフランスで創立された聖心会を母体とするカトリックのミッションスクールです。緑豊かな学習環境の下、社会に貢献できる賢明な女性の育成をめざしています。

 オンラインで開催されたこの日の説明会は、校長の大原眞実先生のあいさつから始まりました。大原先生は、聖心の世界的なネットワークや、多様なバックグラウンドを持つ生徒がいる校内の様子に触れ、「本校での日常はグローバルな世界の縮図です。しなやかな感性を持って現実をとらえ、サステナブルな未来を開いていく人を育てていきたいと願っています」と語りました。

 続いて、広報主任の鈴木暁子先生が、森や茶畑が広がる21万坪ものキャンパスをドローンからの空撮映像を用いて紹介しました。ヨーロッパのボーディングスクールの伝統を受け継ぎ、寄宿舎を備える同校には、18都道府県から生徒が集まっています。「全校生徒490名のうち半数以上が寄宿生で、そのうち約半数を首都圏出身者が占めています」と鈴木先生は説明しました。

 次に、広報の平本政隆先生から、同校の柱となる三つの教育方針に沿って説明がありました。

 一つ目は「魂を育てる」で、カトリックの価値観に基づき、学校生活のなかで祈りを大切にしています。「月1回、おかずを抜いてその分を寄付する『節約弁当』の日があり、生徒たちは他者のため、社会のために何ができるのかを考えています」と平本先生は話します。新入生一人ひとりに高3生がついてサポートする「エンジェル制度」があることも大きな特徴です。1学年80名ほどの小規模校であることを生かして、縦と横のつながりを深めながら豊かな人間性を育んでいます。

 二つ目は「知性を磨く」で、プログラミング特別講座を中1・2の全員が受講し、AI学習アプリを活用するなど、積極的にICT教育を推進しています。また、中学の総合学習の時間では、中1から問題解決型の研究活動に取り組み、中3ではその集大成として、関心のあるテーマを選んで卒業研究に挑戦します。伝統的に力を入れている語学教育では、2泊3日の「イングリッシュキャンプ」(中2)をはじめ、英語に触れる機会を数多く設定しています。高2・3では、第二外国語としてフランス語やドイツ語を履修でき、高2全員を対象とした、創立者のルーツをたどる研修旅行「フランス ルーツへの旅」も実施されます。

 三つ目の柱は「実行力を養う」で、生徒たちは多彩な行事や豊富な海外体験プログラムを通して、リーダーシップを身につけていきます。平本先生は、「高校には世界41か国にある姉妹校での1年間の留学制度がありますが、それ以外の学校であっても、同校が認めればそこで修得した単位が卒業単位として認定されます。短期の海外体験学習として、アジア5か国で実施する『スタディツアー』のほか、ハーバード大学やケンブリッジ大学の学生と交流するプログラムもあります」と述べ、生徒が環境やジェンダの問題に目を向けて取り組んでいるさまざまな自主活動についても紹介しました。

 進路については、2023年春の卒業生の8割以上が総合型選抜や学校推薦型選抜を利用して大学に進学しました。姉妹校の聖心女子大学への推薦制度もありますが、近年ではカトリック校対象の特別入試を行う上智大学への進学者が増えているそうです。

 最後に、鈴木先生が再び登壇し、寄宿舎「セント・マドレーヌ」での生活について説明しました。同校では「週末帰宅型」を採用しており、中高合わせて260名の寄宿生は原則として週末には帰宅します。鈴木先生は、自立心や自己管理能力が養われる寮生活のメリットを挙げ、「寄宿舎独自の行事は6学年一緒に実施し、係の仕事も全学年が分担するので、生徒たちには縦・横のつながりができます。互いに支え合うことを学び、特別な人間関係が培われています」と強調しました。

イメージ写真 JR御殿場線「裾野」駅、JR東海道線「三島」駅からスクールバスを運行。片道1時間30分以内であれば自宅からの通学も認められているため、新幹線を使って通学している生徒もいます

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