受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

早稲田中学校

2023年6月5日(月)

幅広い学びと多様な経験を通して
社会に貢献しうる人格を育てる

 早稲田中学校は大隈重信の教育理念に基づき、坪内逍遙らによって1895年に創設されました。創立125周年記念事業として、3号館・興風館が建て替えられましたが、その新しい3号館には八つの実験室を設置し、理科教育環境が充実しています。「机上の学習だけではなく、自分で手を動かし、目で見て、発見、創造するという実体験を通した学びを大切にしたい」という同校の強い思いが込められています。各校舎が連結し、一体化したことにより、学習・クラブ活動・委員会活動など、さまざまな場面で生徒たちの交流が活発化しました。

 なかのZERO大ホールで開催された説明会の冒頭、教頭の鈴木正徳先生は「早稲田大学の建学の精神『学問の独立』に対し、本校では『人格の独立』を教育理念に掲げています。大隈先生のことばに『逆境に処して益々雄壮』というものがありますが、これは、中高時代にはさまざまな経験を積むことが大切だと言い換えられます。何事にも果敢にチャレンジし、苦難を乗り越えていく若者こそ、社会で活躍できると本校では考えています」と述べました。

本物に触れ、バランスよく学び
現役進学率8割超を達成

 続いて、「誠」「個性」「有為の人材」の三つを育てるという教育目標を示した鈴木先生は、「坪内逍遙による校訓『誠』は、本校の人間教育の基本として特に重きを置き、自主自律の精神の下、『個性』の伸長を促しながら、社会に貢献できる『有為の人材』を育てることをめざします」と説明しました。

 このことは、主要教科に偏らない教育課程にも表れています。たとえば、音楽では1人1台の電子ピアノを用意し、経験の有無に合わせて教材も分けて、無理なく弾けるまで指導します。また、身の回りのことで困らないように家庭科も重視され、裁縫から本格的な料理までをひと通り経験します。

 完全一貫教育のカリキュラムの下、先取り授業を実施しており、進度はやや速めですが、「習熟度別授業は行わず、理解不足の生徒には補習などでフォローします」とのことです。高2からクラスは文系と理系に分かれますが、文系であっても数学のほか物理・化学を学び、理系も社会・国語が必修で、国公立大入試にも対応しています。

 体験の場も豊富です。利根川上流から銚子の犬吠埼灯台までを6年間かけて完歩する「利根川歩行」は代々受け継がれる名物行事です。ほかにも、鎌倉研修、地学実習、関西研修、林間学校、サマーキャンプといった校外学習の様子が紹介されました。ミュージカルや歌舞伎の鑑賞会、国技館に出向いての相撲観戦など“本物に触れる”機会も大切にしています。生徒主体で行う体育大会・興風祭(文化祭)や部活動は、中高合同で行われ、学年を超えた交流の場となっています。

 加えて、早稲田大学の単位取得が認められる特別聴講制度、三つの理工学部で行う実験講座、高校生を対象とした学部説明会など、系属校ならではの高大連携プログラムが充実しているのも特徴です。なお、1学年約300名の生徒数に対して、同大学への推薦枠は167名(2023年度)ですが、他大学も視野に入れて自分の進路を考える生徒が多いため、例年、枠が埋まることはないそうです。今春の卒業生は推薦入試3名を含む31名が東京大学に、11名が国公立大学の医学部医学科に合格しました。早稲田大学への被推薦権を保持したまま他大学を受けることはできませんが、「教員一同が全力でサポートしており、現役進学率は例年8割以上となっています」とのことでした。

イメージ写真 3号館・興風館の校舎建て替えが完了。八つの理科実験室、情報教室、図書館、食堂、プール、アリーナ、柔道場・剣道場、1000人収容の大ホール、ラーニングギャラリー(写真)など、充実した施設がそろいました

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