受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

攻玉社中学校

2023年7月18日(火)

成長段階に応じた3ステージ制の一貫教育を実践。失敗を恐れず、自己実現を果たす力を養う

 蘭学者であり、明治時代の六大教育家の一人でもある近藤真琴が1863年に創立した私塾を起源としているのが攻玉社中学校・高等学校です。今年、創立160周年を迎えました。その校名は中国の古典『詩経』の「他山の石以て玉を攻(みが)くべし」という一文に由来し、互いに刺激し合い、切磋琢磨する校風を表しています。校訓「誠意・礼譲・質実剛健」に基づく人間教育を重視しており、旧海軍の「スマートで、目先が利いて、几帳面、負けじ魂、これぞ船乗り」という標語を「攻玉社男子のアイデンティティー」として現在まで受け継いでいます。

 オンラインで開催されたこの日の説明会では、初めに同校が大切にしている三つの力について、教頭の髙木基之先生が説明しました。一つ目は「説明力」で、自分が深く理解するだけではなく、相手が理解できるように伝える能力も含まれます。「伝える相手が大勢であればプレゼンテーション力に、少数であればコミュニケーション力にも通じます」とのことです。二つ目の「管理力」は、目標に向けて計画を立て、実行に移すことができる力です。達成できなかったときには改善し、また繰り返す「trial and error」を重視しています。これらを身につけるために、中1全員に配布されるのがオリジナルの「攻玉社手帳」で、日々の学校生活に活用されているそうです。そして三つ目の「失敗力」は、失敗から得た学びを、次の行動に生かせる力を指します。髙木先生は「失敗こそが成長のきっかけになります。あきらめずに挑戦し続ける生徒たちを後押しするのが、わたしたちの役割だと考えています」と力強く語りました。

 完全中高一貫制をとる同校では、中高6年間を2年ずつ三つのステージに分けています。中1・2にあたる「ステージ1」は、「生活習慣・学習習慣を身につける2年間」とし、一般学級5クラス、国際学級1クラスの6クラス編成で、きめ細かく指導しています。2年間で中学の学習内容を終えるため、授業の進度は速くなりますが、定期試験で成績が振るわなかった生徒には指名制の補習を実施するなど、サポート体制も整えています。その一方で、さらに深く学びたい生徒には、希望制の特別講習や夏期講習で対応しています。

 続く中3・高1の「ステージ2」は、キャリア教育を重視した「自分自身を深く見つめる2年間」です。高校受験がないことで起こる中だるみを防ぎ、学年全体の学習意欲を高めるため、選抜学級を1クラス設けています。髙木先生によると「授業の進度は選抜学級も一般学級も変わりませんが、選抜学級ではより難度の高い問題を扱います」とのことです。また、中3では、自分の興味・関心のある分野を研究して卒業論文にまとめます。高1ではキャリアガイダンスや進路講演会など、将来の職業を意識して自分の進路を考えるためのプログラムを充実させています。なお、高校では国際学級がなくなりますが、これは多様性を認め合い、周りと協力しながら学び合ってほしいという考えからです。切磋琢磨による成長を促す目的があります。

 そして「自分自身を磨く2年間」となるのが高2・3の「ステージ3」です。文理別に計8クラスが編成され、1クラスの人数はそれまでより少なくなります。高3進級時にクラス替えはなく、担任も持ち上がりで、希望する進路の実現に向けたサポートを徹底していきます。「国公立大学に特化したコースがある一方、難関私立大学に対応した選択制授業、小論文対策講座などもあり、自分に合ったカリキュラムを組むことができます。一人ひとりが目的意識を持ち、自己実現に向けて努力する期間と位置づけられており、生徒は時に周囲と協力し合い、励まし合いながら、成長していきます」と髙木先生は話します。その成果は大学合格実績にも表れており、2023年春には、東京大学12名を含む60名が国公立大学に現役合格。早慶上理には282名、医学部医学科には16名の現役合格者を輩出しました。

イメージ写真 生徒ホールのリニューアルが完成し供用を開始しました。従来同様の飲食スペースが設置されているほか、校庭側には1人で学習することも可能なカウンター席も新設されました

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