受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

宝仙学園中学校共学部理数インター

2023年7月18日(火)

理数的思考力をベースに生徒の非認知能力を伸ばし、幸福をつくる人を育成

 真言宗豊山派の宝仙寺を運営母体とする宝仙学園は、幼稚園から大学までを擁する総合学園です。高校はかつて女子校でしたが、2007年、高校に女子部を併設したまま、中高一貫教育を行う共学部理数インターを新設しました。そこでは「知的で開放的な広場」をコンセプトに、グローバルスタンダードな学びの場を提供し、理数的思考力・コミュニケーション能力・プレゼンテーション能力の養成に努めています。

 この日のオンライン説明会では、まず校長の富士晴英先生が「中学受験で重要なのは偏差値ではなく、学習歴です。偏差値は集団の中での自分の位置を知る指標ではありますが、能力のすべてを表すものではありません。あきらめずに最後までやり遂げた経験こそが、その後の人生に生きるのです。教員と保護者はその努力をたたえて子どもに自信をつけさせ、自己肯定感を持てるように手助けしていくことが必要なのです」と語りました。また、同校ではこうした考えの延長として、高校での目標を「自己ベストの更新」とし、他者と比べるのではなく、自分のベストを尽くすことを大切にする教育を実践しています。

 同校の教育コンセプト「理数インター」についても説明がありました。「理数」とは「理系」ではなく、物事を論理的に考える能力「理数的思考力」を指し、インター(inter)には「心と心をつなぐ」という意味を込めているそうです。富士先生は「本校では理数的思考力に基づくコミュニケーション力やプレゼンテーション力を磨き、人と人とを結びつける存在として、21世紀の中枢を担う人材の育成をめざしています。特に今年度は『理数インターの進化と探究』をテーマに掲げ、理数分野を深掘りする学習を推進しています」と話しました。具体的には、北京大学が核となった、北京や上海の進学校のほか、複数の日本の学校も参加している合同プログラムに取り組んでいます。そのなかでは各校をリモートで結び、「生物多様性」「火山」など提示されたテーマに従って代表者がプレゼンテーションを行います。さらに医学部志望者に向け、医療系総合大学の順天堂大学との高大連携も開始しています。

 グローバル教育も充実しており、中3で行うシンガポールでの中学アジア研修旅行をはじめ、ニュージーランド、イギリス、フィリピン・セブ島、マルタ共和国など世界各地への短期・長期の留学制度もあります。今年度からはイギリス、ニュージーランドに提携校が増え、ターム留学も可能となりました。

 次に、入試広報部長の米澤貴史先生が、同校独自の「教科理数インター」について説明しました。この授業はグループワークを基本として生徒主体で学びを進め、非認知能力の向上を図るもので、中1は「コラボレーション」、中2は「プレゼンテーション」、中3は「ラーニング」がテーマです。たとえば、中1ではチームビルディングにより発想力や協働力を養い、中2では企業のミッションに応えるプログラムに挑戦して課題解決力を鍛えます。こうした取り組みは高1での探究の授業につながっています。そこでは、将来、自分や周囲の幸福をつくりあげる「Well-being」の考えを実現するための力を培います。

 「多様な個性を持った生徒を受け入れ、学校を活性化したい」という信念の下、計12種類もの入試を実施しているのも同校の特徴です。4科入試向けの学習をしてきた受験生には、「2科・4科入試」に加え、60分間で4科の総合問題を解く「新4科特別総合入試」も設けています。このほか、学習以外の体験も含めた学習歴を発表する「リベラルアーツ入試」、好きな本を紹介する「読書プレゼン入試」など5種類のプレゼン型入試もあります。米澤先生は、「得点率が60%以上に達した受験生はすべて合格としています。また、得点率が70%を超えると特待制度を利用できます」と案内し、説明会を締めくくりました。

イメージ写真 2023年春は東京大学、京都大学、東京工業大学、北海道大学、東北大学といった難関国公立大学に現役合格者を輩出しています

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