受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

啓明学園中学校

2023年9月7日(木)

帰国生教育を核とした独自のカリキュラムで「世界を心に入れた人」を育てる

 啓明学園は三井家総本家11代目三井八郎右衞門の実弟、三井高維によって1940年にまず小学校が創立されました。東京の赤坂台町にあった私邸を開放し、海外に勤務する方の子女を受け入れたことが学園の始まりです。戦後は東京都昭島市に移りました「広い視野のもと、豊かな人間性と独自の見識を持ち、世界を心に入れた人を育てる」ことを教育理念に掲げ、キリスト教主義の人格教育を行っています。

 オンライン説明会の冒頭、校長の大坪隆明先生は学園の沿革に触れると、「第二次世界大戦直前に、キリスト教に基づく学校を立ち上げた歴史からは、全人教育に対する創設者の強い思いが感じられます。この理念を大事に受け継ぎ、これからもさまざまなバックグラウンドを持つ子どもたちの成長を支えていきたいと思っています」と述べました。

 同校の特色として、大坪先生がまず挙げたのが「帰国生教育のパイオニア」であることです。全校生徒の30%以上は帰国生や国際生が占めており、その内訳も、海外現地校や海外日本人学校の出身者、国際結婚家庭の子どもなどさまざまです。英語力はもちろんのこと、日本語の習得レベルも違います。大坪先生は「実績ある独自のカリキュラムを通して、得意な英語はさらに伸ばし、学習言語としての日本語の定着を促していきます。本校は、帰国生に特化した教育ノウハウを持つ、国内でも珍しい学校です」と説明しました。

 生徒の語学力を伸ばすための試みの一つが「ハイレベルな英語教育」です。中学は1学年が30名×2クラスですが、英語の授業は、さらに習熟度別の5段階に分けた少人数制で行います。そのうち上位2クラスを「Honours(H)Class」「Regular(R)Class」とし、オールイングリッシュによる授業を週5~9時間設定しています。欧米の現地校に劣らないハイレベルな英語教育を実践しています。高3での英検®準1級取得率は、Hクラスで92%、Rクラスで82%と非常に高くなっています。これについて大坪先生は「TOEFL iBTに換算すると、海外大学受験の目安となるスコア100を超えている生徒も珍しくありません」と自負します。もちろん、Hクラス、Rクラスには国内生も在籍しており、成績に応じたクラス人員の入れ替えが随時行われているそうです。続けて大坪先生は、原書を読むことで語彙力を高める多読のメソッドや、各自のペースで学習を進めていくe-Learning教材の導入についても紹介し、「英語『を』学ぶのではなく、英語『で』学ぶことが目標です」と、英語教育の質の高さをアピールしました。

 同校のもう一つの特徴は、国際生を対象に、語学レベルに応じたさまざまなフォローが充実している点です。具体的には、国語・数学・理科・社会を取り出しで学ぶ「国際プログレスクラス」、既に身についている中国語・フランス語・ドイツ語・韓国語・スペイン語のスキルを維持するための「外国語保持クラス」、日本語の理解が難しい生徒のための「日本語コース」などがあります。

 また、「自己肯定感を育む」「ピアサポート」「ことば全体を支える」の三点を重視した、日本の文化に不慣れな生徒たちへの生活面でのフォローも万全です。大坪先生は「これらは多くの国際生を受け入れてきた本校だからできること」と強調し、「これからも『ダイバーシティ先進校』として、サポートを強化していきたいと考えています」と展望を語りました。

 さらに、カナダ夏期体験学習、カンボジアワークキャンプ、カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・アイルランドでの中長期留学といった国際プログラムも豊富です。世界50か国180校以上の私学連盟「ラウンドスクエア」のネットワークを生かした交換留学制度を利用すれば、比較的安価に参加できるとあって生徒たちの関心が高いそうです。

 卒業後の進路は、国内難関大学の国際関係学部などへの進学者が多いものの、UPAA(海外協定大学推薦制度)を利用して海外大学に挑戦することもできます。大坪先生は「本校の教育の社会的意義は今後ますます高まると考えています。ぜひその特色をご理解いただき、志望校の一つとして検討していただけたら幸いです」とことばを結びました。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

イメージ写真 英語は全学年で検定教科書を2学期までに終わらせ、3学期には洋書を扱います。英語独特の言い回しや表現方法を学ぶとともに、物語を読む楽しさを味わうことに重点を置いています

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