受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

品川女子学院中等部

2023年9月12日(火)

みずから道を切り開き、社会に貢献する女性を育てる「28project」を展開

 「社会で活躍できる女性の育成」をめざし、1925年に創設された品川女子学院は「世界をこころに、能動的に人生を創る日本女性の教養を高め、才能を伸ばし、夢を育てる」を当初から教育目標に掲げてきた女子進学校です。

 説明会の冒頭、理事長の漆紫穂子先生は、学園の設立母体である荏原婦人会が、関東大震災発生時にボランティア活動を率先して行った歴史に触れながら「本校の生徒は何事にも積極的に取り組むタイプが多く、委員会などで引き受け手がいないような仕事があるときも、最終的には『誰もやらないならば、自分がやる』と誰かが立候補し、解決しています。これは『文句を言う前にすぐ行動』『チームで動く』『人の役に立つことが自分の喜び』という精神が創立当初から受け継がれているからだと思います」と話しました。

 また、女性の出産後の仕事状況を統計的に示しながら「年々、日本の女性の労働環境は改善されてきてはいます。しかし、男性と同等に働くにはまだまだ困難が伴います。だからこそ、女子には“学歴”が必要なのです。ただし、重要なのは出身大学などではありません。専門性や資格といった学びやスキルを証明できる学習歴です」と強調しました。

 そうしたなか、同校が立ち上げたのが「28project」です。これは「女性にとって28歳が、結婚・出産などにより、キャリアの岐路に立つタイミングになることが多い」というデータに基づいたライフプランのことです。そのため、同校では、仮のゴールである28歳から逆算し、人生を能動的にデザインしていきます。具体的には、企業と協働して商品開発を経験する「起業体験プログラム」、大学教授や社会で活躍するスペシャリストを招いた「特別講座」、日本の伝統文化を習得するプログラムなどに取り組み、創造力や解決力、コミュニケーション力といった非認知能力を養います。時にはチャレンジから生じる「失敗」や、真剣なディスカッションのなかでの「ぶつかり合い」も起こりますが、こうした経験が問題解決力を培うことにもつながるそうです。

 次に、中等部校長の神谷岳先生が、同校が育てたい生徒像の一つとして「起業マインドを持つ人材」を挙げました。起業マインドについては「みずから社会の問題を発見し、多様な人を巻き込んで、問題解決に一歩踏み出す人」と定義しています。そうした生徒を育てるために、たとえば中1では校外学習やグループワークを通して問題を発見し、解決に導く「デザイン思考」を経験します。中2ではディベート、中3では起業体験など、成長段階に応じて多彩な取り組みが行われています。

 続いて、学習指導や学校生活について紹介したのは高等部校長の権藤英信先生です。同校では先取り学習を行うとともに、放課後の指名制の補習や希望制の進学講習を開講しているほか、夏休みなどの長期休暇中にも希望制の補習が実施されるなど、指導体制を整えています。また、国際交流にも力を注ぎ、全員参加のニュージーランド修学旅行(中3)のほか、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、イギリス、カナダにある姉妹校・提携校で学ぶ長期・短期の海外留学プログラム(高1の希望者対象)などが行われています。さらに、同校の三大行事である体育祭・文化祭・合唱祭は、生徒が中心となって運営しています。権藤先生は「本校では、実行委員の人数に制限を設けていません。手を挙げれば誰でも委員になれるので、非常に多くの生徒が主体的に運営に携わっています」と話しました。

 最後に、2024年度の入試について説明がありました。4科入試において「合格ラインは得点率の6~7割なので、それを目安に過去問に取り組むこと」「国語は記述式の問題が多いので、速く正確に読み取るように普段から心がけることが大切」「算数は途中式も点数に含まれるので、必ず書き残す」などとアドバイスが送られました。

イメージ写真 JRほか「品川」駅から徒歩12分の好立地。図書館などが入るA棟は建て替えを計画しており、2025年の完成をめざしています

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