受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

ドルトン東京学園中等部

2023年10月18日(水)

学習者中心主義の「ドルトンプラン」を実践し、探究心や知的好奇心を高める

 2019年4月に調布市に開校したドルトン東京学園中等部・高等部は、1908年にアメリカの女性教育者ヘレン・パーカーストが唱えた「ドルトンプラン」を基盤にした教育を実践する中高一貫校です。2023年10月、ドルトンインターナショナルの正式な加盟校として認定されました。ドルトンプランの二つの原理である「自由」「協働」に基づき、一人ひとりが自分の好奇心に合わせて、伸び伸びと学べる環境を整えています。

 同校の講堂で開催されたこの日の説明会の冒頭、校長の安居長敏先生があいさつに立ち、「本校は人間らしい人間を育てるための学校です。打ち込みたいことを自分で見つけ、他者と共に探究することを学びの『起点』としています」と述べました。

 次に、副校長の布村奈緒子先生が教育の特色と実践内容について解説しました。同校の教育の軸となるのが「ハウス(House)」「アサインメント(Assignment)」「ラボラトリー(Laboratory)」です。「アサインメント」とは、生徒と教員の間で交わされる契約(約束)に基づいて学習を進める仕組みのことです。単元やテーマごとに学習の目的と到達目標、スケジュール、学習の方法と手順、評価の基準などをあらかじめ生徒に明示し、見通しを持って計画的に取り組む力を身につけさせるのが狙いです。

 理科主任の和田達典先生からは、理科のアサインメントと授業の進め方について説明がありました。理科においても、学習内容・手段・深度を生徒自身が決める「自由」と他者と協力して実験する、一人で学んだ内容をシェアするという「協働」を重視しています。物理室・化学室・生物室は一つのフロアに集約され、生徒は授業の時間以外にも自由に使えるそうです。「各自の興味・関心に合わせて学習を進められるように、さまざまな選択肢があります。本校では異学年が同じフロアで学ぶので、たとえば中3の発表を中1が一緒に聴いて刺激を受けたり、高等部の生徒が中等部の生徒の指導を手伝ったりする場面も見られます」と話しました。

 「家庭的な教室」を意味する「ハウス」は、異なる学年の生徒たちで構成されるコミュニティーです。全校生徒が「D・A・L・T・O・N」の六つのビッグハウスに分かれて、体育祭や文化祭などの行事に取り組んだり、独自に企画したイベントを楽しんだりします。ビッグハウスを四つのグループに分けたスモールハウスは、上級生と下級生が日常的に交流するホームルームです。学年を超えた多様な仲間と共に、さまざまな活動を企画・運営することで、社会性や協働力を養うのがハウスシステムの狙いです。

 個人またはグループでアサインメントを実行して学びを広げ、深めるための時間が「ラボラトリー」です。これは、探究のスキルを身につけることを目的として、学年に応じたテーマに取り組む週2コマの「基礎ラボ」と、個人の興味・関心の幅を広げ、深める週2コマの「探究ラボ」から成ります。この探究ラボは、教科の枠を超えて多様なテーマを扱う「テーマラボ」(高等部ではSTEAMラボの選択が可能)と、自分でテーマを決めて学ぶ自由な時間「オフィスアワー」とにさらに分かれていて、生徒は3週間に1テーマを、半期に4テーマを選択できます。探究ラボでは、生徒が理科室を予約して好きな実験を進めるオフィスアワーを組み込むこともできます。このように、各自が創意工夫して自分だけの時間割を組み立てていくのです。

 続いて、英語科の小倉美香先生が英語教育と国際教育について説明しました。英語は習熟度別に三つのクラスに分かれて学習します。1クラスはネイティブ講師によるオールイングリッシュの授業で、ほかの2クラスは日本人教師とネイティブ講師とによるチームティーチングとなっています。オーストラリア研修(中3)、アジア研修(高1)といった学年全員で参加する研修のほか、希望者対象のTOKYO GLOBAL GATEWAY研修 (中1)、ブリティッシュヒルズ宿泊研修 (中2)、シリコンバレー研修(中3・高1)など、実践的なアウトプットの場が設けられています。

 最後に、2024年度入試の変更点が伝えられました。2月1日午後の特待型と2月2日午後の理数特待型は、受験生が大問にじっくり取り組めるよう、算数の基本問題の出題数を変更するとのことです。

イメージ写真 2022年9月にSTEAM棟が竣工。3階のサイエンス・ラボラトリーは、物理室・化学室・生物室がワンフロアに集約されています

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