受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

灘中学校

2023年9月5日(火)

「精力善用」「自他共栄」
生徒も教員もこの理念に基づき行動する

 1927年の創立以来、灘中学校・灘高等学校では生徒の自主性を重んじ、校則も制服もない自由な校風を維持してきました。学問への高い志の下、質の高い教育が行われています。校是は「精力善用」(自己の持てる力を最大限に効率よく発揮する)と「自他共栄」(自他が共に栄えるという理想を追求する)。「生徒も教員もこの理念に基づいて行動しています。こうしなさいという決まりのない自由な校風が特徴。灘校生らしさを損なわない自覚を持って行動すれば、基本的には自由です」と教頭の橘直弥先生は話します。

 灘校の大きな特徴の一つが学年持ち上がり制です。これは各教科の教員8人がチームをつくり、中高6年間を一貫して持ち上がるという仕組みです。授業の進度や教材などはすべて学年の教員に委ねられており、毎年のクラス替えによって担任こそ代わりますが、高校から40人ほどの生徒が入学した後も、担任団による1学年4クラス体制は卒業するまで継続されます。こうした担任団の教員全員が、入学から卒業まで生徒一人ひとりにかかわっていくスタイルなので、目配りが行き届くそうです。

 続いて、授業の様子を写真で紹介しました。各教室にはモニター、プロジェクター、Wi-Fiを完備し、生徒は1人1台のノートパソコンを所持して探究的な学びにも役立てています(中学生には端末を貸与。2023年時点)。静かに進行する授業は少なく、常に生徒は積極的に質問してきます。英語はネイティブ教員の授業も実施。特に中学ではクラスを半分に分けて、一人ひとりの会話の機会を増やしています。柔道は中1から高1まで必修で、高1修了後に希望すれば、講道館の初段がもらえます。

後輩は先輩のやり方を見て学び
灘校の伝統を受け継いでいく

 学校行事の多くは生徒主体で企画・運営されます。たとえば、文化祭を担う文化委員会は200人以上で、体育祭を担う体育委員会は100人ほどで組織され、中学生と高校生が一緒に行事をつくり上げます。「後輩は先輩のやり方を見て学び、伝統を受け継いでいきます」と橘先生は話します。

 クラブ活動も盛んで、運動部・文化部を合わせて40以上のクラブがあり、運動部と文化部を兼部している生徒も多いとのこと。国際数学オリンピックや模擬国連など、文化系の活躍が目立ちますが、2023年は中学のサッカー部が神戸市の総体で優勝し、兵庫県ベスト8に。高校野球部も地区大会を勝ち上がり、67年ぶりに兵庫県大会に出場しました。

 生徒に行ったアンケートでは、「勉強で困ったらどうするか」という問いに、「友だちに聞く」という回答が多く、この「友だち」は「クラブの友だち」が多いそうです。お互いに教え合うという「自他共栄」の関係が生まれることに、クラブ活動の大きな意味があります。

 「灘校は生徒が主役の学校です。ICTやAIなど、学ぶ手段のトレンドは変化しても、生徒がみずから考え、やりたいことをやるという教育の根幹は変わりません」と橘先生。進路についても、「みずから進路を選ぶ」ことを重視。「あらゆる活動のなかでいろいろな人に出会い、話を聞き、やりたいことを見つけ、それぞれが主体的に目標設定と進路選択をしてほしい」と結びました。

イメージ写真

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