受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

和洋九段女子中学校

2023年11月10日(金)

21世紀型のスキルとマインドを養成し、社会とつながる学びを推進

 和洋九段女子中学校高等学校は、1897年に創設された和洋裁縫女学院から発展した伝統校です。「先を見て齊(ととの)える」を校訓に掲げ、未来を見通す知性を持ち、グローバル社会で輝くことができる女性の育成をめざしています。この日の説明会の冒頭、校長の中込真先生は「本校は伝統的な文化を大切にしつつ、最先端の学びを実践する学校です」と述べ、「和」と「洋」を融合させた同校の教育内容について説明しました。

 中込先生が「和」の学びとして紹介したのが、礼法・茶道・華道・書道などに力を入れていることです。中学ではこれらを必修とし、日本の伝統的な慣習や所作の習得をめざします。高3生が体育祭で披露する「扇の舞」も、半世紀以上も同校で受け継がれている演目です。続けて中込先生は、女子校のメリットとして、自主性や協調性が養われ、自己実現が可能になることを挙げました。充実した補習・講習でていねいに学習をフォローするとともに、教員と生徒との面談・対話の機会を多く設けて、学校生活を幅広くサポートしていることを強調しました。

 一方、革新的な「洋」の教育は、「英語の実力」「ICTリテラシー」の養成、「PBL(Problem Based Learning)型授業」の実施の三つを軸にしています。中込先生は「語学力やICTリテラシーはこれからの時代を生きる生徒たちにとって、21世紀の“読み書きそろばん”ともいえる必須のスキルです。おとなしい生徒が多い本校ですが、こうしたプログラムを通して、一人ひとりが本来持っている力を十分に引き出していきたいと考えています」と話しました。

 英語については、高校卒業までにCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)のC1レベルの力をつけることを目標に、6名のネイティブ教員と11名の日本人教員とがていねいに指導します。中学はグローバルクラスと本科クラスに分かれていますが、どちらのクラスもチームティーチングで英語力を伸ばし、中3修了時には約8割の生徒が英検®3級以上を取得しているとのことです。

 ICTリテラシーについては、1人1台のタブレット端末を活用してその力を培っています。最近では、生徒が主体となってオンライン文化祭を開催するなど、コロナ禍で進化し、2023年からは企業と連携して仮想空間に学校をつくる「メタスクール体験プロジェクト」を開始。この日の説明会では、10月の文化祭で発表された「メタバース・スクール」のコンテンツが紹介されました。

 また、全教員が実施しているPBL型授授業は、与えられた課題をもとに、「個人の意見をつくる」→「チームの意見をつくる」→「プレゼンテーションする」→「結果を共有し、検討・検証する」という流れで進められます。基本的な姿勢を習得したうえで、社会課題を見つけて、それと自分とを結びつけて最適解を探究します。長野県の山村で民家に宿泊して農業を体験し、地域活性化のプランを考える高1の研修旅行もPBL型プロジェクトの一環です。これまでに、クラウドファンディングや観光での村おこしを提案したほか、名産のリンゴを使ったメニューを考案する、アップルシードルのラベルコンテストを開催して製品化するといった活動も行っているそうです。

 このほかにも、キャンパスが都心に立地することを生かして、近隣の大使館や企業を積極的に訪問し、「Connected School」として“社会とつながる学び”を実践しています。こうした学習の成果は校外でのコンテストなどでも発揮され、2023年度は「全国高校生政策甲子園」に参加した高1のチームが国会議事堂内でのプレゼンテーションを経て、決勝大会で優秀チーム賞を獲得しています。中込先生は、大学との連携や、同校美術部と著名な画家とがコラボレーションしたプロジェクトなどにも触れ、「挑戦するマインドとスキルを養い、さまざまな良いものとのつながりを大事にしながら、生徒たちの経験値を上げていくのが本校の教育の特徴です」と力説しました。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

イメージ写真 ネイティブ教員と会話やイベントを楽しめるEnglish roomや、午後8時まで利用できるブース型の自習室「スタディステーション」を備え、放課後の学習環境も整っています

www.wayokudan.ed.jp/ 別ウィンドウが開きます。

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