受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回は時計のお話です。時計の針は12、1、2、3…と右回りで動きます。これは世界共通です。なぜ左回りではなく右回りなのでしょうか。

時計はどうして「右回り」なの?

何千年も前から時計は右回りだった

さやかちゃん お父さんと一緒に、デパートに腕時計を買いに行ったんだ。世界中の腕時計が売られていて、見とれちゃった。 さやかちゃんイラスト
げんちゃん 時計って、どの国のものでも、時間さえ合わせればすぐに使えるから、便利だよね。
ひかるくん どこの国の時計でも、針は右回りだしね。でも、どうしてみんな右回りなんだろう。左回りの時計があってもおかしくないのにね。
ピグマはかせ 特に法律で決められているわけじゃないんだ。左回りでも時刻は示せるのに、不思議だね。
えりちゃん 最初に時計を作った人が右回りにしたからじゃない? 最初に作られた時計が左回りだったら、みんな左回りの時計を使ったかも。 えりちゃんイラスト
ピグマはかせ 確かに、最初に作られた時計は右回りだったよ。では、どうしてそうなったのか考えてみよう。みんな、「日時計」は知っているかな。太陽光によってできる影の動きでおおよその時刻を知る時計だよ。平らな地面に真っすぐに棒を立てると、太陽が出ていれば棒の影ができるよね。太陽は東から昇って、南回りで西に動く。それに合わせて、最初、西のほうに伸びていた棒の影は、北回りで東へと、つまり右回りでゆっくりと移動していくから、日の出から日の入りまでの、それぞれの時刻の影の位置に目盛りを書いていけば、時計ができるよね。そういう仕組みで動くのが日時計で、今から5000~6000年前、古代エジプトや古代バビロニアで使われていたといわれているよ。この日時計こそが、人間がつくった最初の時計なんだ。
さやかちゃん 時計って、そんなに昔からあったんだ。じゃあ、もし、太陽が西から昇って東に沈み、日時計の影も左回りで回っていたとしたら、今の時計も左回りになったの?
ピグマはかせ そうだね。機械式の時計が発明されたとき、日時計にならって作られたので、時計は右回りになったそうだよ。

世界には左回りの時計もある!?

ピグマはかせ でも、日時計が右回りなのは北半球、つまり赤道の北側にあるところだけ。南半球でも、太陽は東から昇って西に沈むけれど、北半球と違って、北回りで西に移動していく。だから南半球の日時計の影は、左回りに動くんだ。しかし、機械式時計が最初に作られて普及したのが北半球だったので、時計の針はそのまま右回りになったんだ。
げんちゃん じゃあ、南半球の人が最初に機械式時計を作っていたら、時計は左回りだったの? げんちゃんイラスト
ピグマはかせ そうかもしれないね。機械式時計が最初に誕生したのは、中国ともヨーロッパともいわれているけど、結果的に世界の時計は、北半球での天体観測や機械式時計の発展にならった形になっているんだ。2014年には、南半球の人に敬意を表して、南アメリカのボリビアの議会議事堂には、左回りの時計が設置されたよ。また世界には、公共の建物で左回りの時計を設置しているところがいくつかあるんだ。
えりちゃん へえ。見てみたいなあ。
ピグマはかせ 慣れれば気にならないかもしれないけど、初めて見ると、時間が逆戻りするような感覚になるかもしれないね。日時計なら、日本でも大きな公園や庭園などによく設置されているから見てごらん。
ひかるくん でも、日時計って雨の日や夜は使えないよね。 ひかるくんイラスト
ピグマはかせ そこで考え出されたのが「水時計」だよ。いろいろな種類があるけど、エジプトで紀元前16世紀ごろ発明された水時計は、底に穴を開けた桶のようなもの。月ごとに内側の目盛りが違っていて、最初に入れる水の量も月ごとに変える。日の入りと同時に底の栓を抜き、水面の下がり具合で時刻を知るんだ。桶が空になったときが夜明けというわけ。ほかにも、ろうそくなどを使った「燃焼時計」や、砂が落ちる速さを利用した「砂時計」もあるよ。
さやかちゃん いろいろな時計があったのね。
ピグマはかせ 水時計は、日本でも古くから使われていたよ。西暦671年に、天智天皇が「漏刻」という水時計を使って時を計り、鐘や太鼓で人々に知らせたことが『日本書紀』に記されている。その日が今の暦でいうと6月10日。だから6月10日を「時の記念日」としているんだ。

太陽の影で時刻がわかる「日時計」

保護者の方へ

 輪になって何かをするとき、「時計回りに順番に回していきましょう」と言われたことはないでしょうか。「右回り」ではぴんとこなくても、「時計回り」「反時計回り」という言い方なら、すぐにイメージすることができます。それくらい、時計が右に回ることは当たり前となっています。日時計は古来、広く利用されており、おそらく機械式時計が発明されたころも、北半球(正確には北回帰線以北)では「時計は右回りで時を刻む」のが常識的な感覚だったのではないでしょうか。ふだん当たり前になっていることでも、「なぜだろう?」と考えると、いろいろな発見があるものです。

ページトップ このページTopへ