受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

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  • 23年5月号 [入試に出る時事問題]これだけは知っておこう! さぴあニュースバンク

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さぴあニュースバンク 2023年3月

7 火曜日 科学 この日の午前10時37分、鹿児島県の種子島宇宙センターから日本の新型ロケット「H3」の初号機が打ち上げられた。しかし、第2段エンジンへの点火が確認されなかったため、搭載していた衛星の軌道への投入に成功する見込みがなくなったと判断し、10時52分に機体を破壊する信号が送信された。その残骸はフィリピンの東方沖に落下した。「H3」は2月17日、異常が検知されたため、発射0.4秒前に打ち上げが中止されていたが、この日の再チャレンジでも失敗となり、地球観測衛星「だいち3号」が失われた。日本の宇宙政策にも大きな打撃となった。
17 金曜日 スポーツ 車いすテニス男子で活躍し、今年1月に現役引退を表明した国枝慎吾氏に対する国民栄誉賞の表彰式が首相官邸で行われた。国民栄誉賞は1977年に定められた規定に基づき、「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があった」人を内閣総理大臣が表彰するというもの。これまでに国枝氏を含め、27人と1団体が授与されているが、パラスポーツ選手は初めて。国枝氏は全豪オープン、全仏オープン、全英オープン、全米オープンで優勝するグランドスラムに加え、パラリンピックでも優勝する生涯ゴールデンスラムを達成している。
18 土曜日 社会 JR東日本(首都圏の電車特定区間)、東京メトロ、首都圏の大手私鉄の一部が駅のバリアフリー化を推進するため、これまでの普通運賃に10円を一律に上乗せした。4月1日には関西でも同様の上乗せが始まった。 もっと詳しく参照
19 日曜日 文化 将棋の第48期棋王戦五番勝負の第4局で、藤井聡太竜王が渡辺明棋王(名人と合わせて二冠)を破り、対戦成績を3勝1敗としてタイトルを奪取した。これで竜王・王位・叡王・王将・棋聖・棋王を保持することになり、史上2人目の六冠を20歳8か月の最年少で達成した。過去の六冠は1994年12月に24歳2か月で達成した羽生善治九段のみ。
20 月曜日 環境 国際連合の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が地球温暖化に関する最新の報告書を発表した。二酸化炭素などの温室効果ガスの排出削減をめざす世界的な枠組み「パリ協定」では、産業革命前からの気温上昇を1.5℃に抑えることを目標にしているが、今回の報告書は、気温はすでに1.1℃上昇していると警告する内容で、1.5℃という目標を達成するためには、2025年までに温室効果ガスの排出量を減少に転じさせることが必要だという。さらに、2035年には2019年と比べて60%減らさなければならないとした。
21 火曜日 国際 岸田文雄首相はウクライナの首都キーウを極秘で電撃訪問し、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領との首脳会談を行った。5月に日本の広島で開催される主要7か国首脳会議(G7サミット)の前にウクライナへの連帯を示すためで、岸田首相はウクライナへの追加支援を表明した。ゼレンスキー大統領が広島でのG7サミットにオンラインで参加することも決まった。
21 火曜日 スポーツ アメリカ・フロリダ州のマイアミで、野球の国・地域別対抗戦である第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の決勝が行われた。日本代表が3対2でアメリカ代表を破り、3度目の世界一に輝いた。 もっと詳しく参照
27 月曜日 科学 理化学研究所が開発した国産初の「量子コンピューター」の初号機が稼働し始め、外部の研究者が使えるようクラウド公開された。量子コンピューターは従来のスーパーコンピューターの1億倍以上の速さで複雑な問題が解けるといわれており、世界で開発競争が激化している。
30 木曜日 国際 トルコ議会がフィンランドの北大西洋条約機構(NATO)への加盟を承認した。これにより、フィンランドは4月4日、NATOに正式に加盟したが、スウェーデンの加盟はまだ見通しが立っていない。
31 金曜日 国際 日本やオーストラリアなど環太平洋パートナーシップ協定(TPP11)に加盟する11か国がオンライン閣僚会合を開き、イギリスの加盟を認めることで大筋合意した。協定への署名は今年7月の見込みで、その後、各国の国内手続きを経て、イギリスの加盟が正式に決定する。

駅のバリアフリー化推進が目的鉄道各社が運賃を10円値上げ

JR東日本の首都圏の電車特定区間

 3月18日、JR東日本(首都圏の電車特定区間)、東京メトロ、首都圏の大手私鉄の一部が駅のバリアフリー化を推進するため、これまでの普通運賃に10円を一律に上乗せしました。4月1日にはJR西日本(関西の電車特定区間)など関西の鉄道会社の一部も同様に10円を上乗せしました。

 これは2021年に創設された「鉄道駅バリアフリー料金制度」という国の制度によるものです。ホームからの転落を防止するホームドアや、移動の負担を小さくするエレベーターの設置などには多額の費用がかかるので、それを運賃に上乗せし、鉄道の利用者に広く薄く負担してもらうことを認めるという内容です。鉄道会社は事前に国土交通省に届け出をしなければならず、運賃の上乗せ分をバリアフリー化にどう使うか、具体的な計画を提出することが求められています。

 また、同じ3月18日から、JR東日本では首都圏の「電車特定区間」内の駅を発着する場合に限って、「オフピーク定期券」の販売を始めました。これは平日朝のラッシュ時を避けて利用することを条件に、通常の定期券に比べて運賃を10%程度割安にするというものです。

 ただし、駅ごとに決められている平日朝のピーク時間帯に入場した場合、普通運賃が別にかかることになっています。たとえば、東京・品川・新宿・池袋の各駅のピーク時間帯は午前7時30分から9時まで、横浜駅は午前7時から8時30分までです。休日(土曜日を含む)には時間帯を問わず利用できます。

 オフピーク定期券は、平日朝のラッシュ時の運賃を割高にすれば、時差出勤による混雑の緩和が期待できるという考えから導入されました。鉄道会社としては、ラッシュ時の混雑緩和のために多額の設備投資をしなければならないので、ピークをできる限りなだらかにしたいのです。しかし、その効果は未知数で、ほかの鉄道会社にも広がるかどうかはわかりません。

第5回WBCが開催日本は3大会ぶり3度目の優勝

第5回WBC参加国・地域

 3月21日(日本時間22日)、アメリカ・フロリダ州マイアミの野球場ローンデポ・パークで、野球の国・地域別対抗戦である第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の決勝が行われました。日本代表「侍ジャパン」は前回優勝のアメリカ代表を3対2で破り、2009年の第2回大会以来、14年ぶり3度目の世界一に輝きました。最優秀選手(MVP)には投打で活躍した大谷翔平選手が選ばれました。

 今回のWBCは3月8日から21日まで開催され、20の国・地域が参加しました。5チームずつ四つの組(プール)に分かれて戦った1次ラウンドのプールBは、東京ドームで試合が行われましたが、日本は中華人民共和国(中国)、大韓民国(韓国)、チェコ、オーストラリアに全勝。トーナメント形式の決勝ラウンドでは、準々決勝でイタリアを、準決勝でメキシコを、決勝でアメリカを、それぞれ撃破して優勝したのです。

 WBCはアメリカのメジャーリーグ機構が中心になって開いている大会で、日本は2006年の第1回と2009年の第2回で優勝しました。メジャーリーガーが4人参加した今回の日本代表は、史上最強との呼び声が高く、その意味では前評判どおりの結果を残したといえます。アメリカ出身の日系人選手が初めて日本代表に加わったことも話題になりました。次回は2026年に開催される予定です。

 現状では、野球が盛んなのは東アジア、北米、中米、カリブ海の国・地域にほぼ限られています。そこで、野球をより広い地域に普及させ、有望な選手やファンを獲得しようというのがWBCを開催する目的の一つです。その点、今回初出場したチェコの選手は、ほかに仕事を持ちながら野球に打ち込んでいることが紹介され、好印象を与えました。野球の裾野は少し広がったといえそうです。

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