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  • 23年8月号 [入試に出る時事問題]これだけは知っておこう! さぴあニュースバンク

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さぴあニュースバンク 2023年6月

1 木曜日 環境 アメリカザリガニとアカミミガメが「条件付き特定外来生物」に指定された。一般家庭でペットとして飼うことは引き続きできるが、池や川などの野外に放すことや、他人に売ることは禁止された。 もっと詳しく参照
1 木曜日 文化 将棋の第81期名人戦七番勝負の第5局で、藤井聡太竜王が渡辺明名人を破り、対戦成績を4勝1敗としてタイトルを奪取した。これで竜王・名人・王位・叡王・棋王・王将・棋聖の七つのタイトルを保持することになり、史上2人目の七冠を20歳10か月の最年少で達成した。過去の七冠は1996年2月に25歳4か月で達成した羽生善治九段のみ。当時、将棋のタイトルは七つしかなかったため、全冠制覇だった。藤井七冠は今後、棋聖と王位を防衛しつつ、王座戦の挑戦者となって永瀬拓矢王座を破れば、この秋には史上初の八冠(全冠制覇)を達成する可能性がある。
2 金曜日 社会 厚生労働省は2022年の人口動態統計を発表した。それによると、国内で生まれた日本人の子どもの数(出生数)は77万747人と初めて80万人を割り込み、過去最少を更新したことがわかった。また、2022年の合計特殊出生率(1人の女性が一生涯に産むと見込まれる子どもの数)は1.26で、前年を0.04ポイント下回り、7年連続で低下した。 もっと詳しく参照
2 金曜日 政治 マイナンバーカードに他人の情報がひもづけされていたなどのトラブルが相次いで発覚しているなかで、改正マイナンバー法が参議院で可決され、成立した。これにより、2024年秋に従来の健康保険証を廃止して、マイナンバーカードに一体化させることが決まった。
6 火曜日 国際 激しい戦闘が続いているウクライナ南部でドニプロ川のカホフカダムが破壊され、広い範囲が浸水した。ダムのような民間の施設を攻撃することは戦争犯罪にあたるため、ロシアとウクライナは互いに相手のしわざだとして非難し合っている。
9 金曜日 政治 改正された「出入国管理及び難民認定法(入管難民法)」が参議院で可決され、成立した。改正法が施行されると、「母国で政府を批判した」「性的少数者である」などの理由で難民として認めてほしいと申請するのは原則として2回までに制限される。そのため、3回以上申請した外国人は申請中でも母国に強制送還することが可能になる。しかし、そのような人をもし送還すれば投獄される可能性が高く、最悪の場合、殺される恐れもある。
10 土曜日 スポーツ フランスのパリで開かれていたテニスの全仏オープンで、車いす部門の男子シングルス決勝が行われ、17歳の小田凱人選手が世界ランキング1位のイギリスの選手を破って初優勝した。
14 水曜日 国際 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、世界各地で紛争や迫害などにより住居を追われ、他国に逃れた「難民」と、国内での避難民の合計が昨年末時点で1億840万人に達したと発表した。前年から1910万人増えており、過去最悪となった。難民の出身国として最も多いのはシリアの約650万人で、ウクライナとアフガニスタンはどちらも約570万人。
16 金曜日 政治 性的少数者に対する理解を広めるための「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(LGBT理解増進法)」が参議院で可決され、成立した。
21 水曜日 国際 持続可能な開発ソリューション・ネットワークは国別のSDGs(持続可能な開発目標)達成状況などをまとめた2023年版の「持続可能な開発レポート」を発表した。データのある166か国を比べた達成度ランキングでは、スコアが86.76だったフィンランドが1位で、79.41だった日本は21位。SDGsの17目標ごとの達成状況が4段階で評価されており、日本は「ジェンダー平等を実現しよう」「つくる責任、つかう責任」「気候変動に具体的な対策を」「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」の5項目が最低評価だった。
28 水曜日 経済 鈴木俊一財務大臣は、2024年度上期に発行するとしていた新しい1万円札・5000円札・1000円札について、7月前半の発行開始をめざすと正式に発表した。

野外に放すことを法律で禁止「条件付き特定外来生物」を指定

 6月1日、アメリカザリガニとアカミミガメ(その幼体がミドリガメ)が「条件付き特定外来生物」に指定されました。一般家庭でペットとして飼うことは引き続きできますが、池や川などの野外に放すことは法律で禁止されたのです。違反すると、罰金などの対象となります。

 外来生物とは、それまで生息していなかった地域に、人の活動が原因でほかの地域から入ってきた生物のことです。ペットとして海外から持ち込まれたものが捨てられたり、逃げ出したりしてそうなった生物もいれば、貨物などに紛れて入ってきたと思われる生物もいます。

 日本には少なくとも2000種以上の外来生物がいるといわれています。日本にもともといた生物と競合して、それを絶滅に追い込む恐れのあるものもいれば、農作物を食い荒らすものもいます。セアカゴケグモやヒアリのように、人をかんだり刺したりして直接被害を与えるものもいます。こうした生物のうち、150種以上が特定外来生物被害防止法により「特定外来生物」に指定され、輸入はもちろん、飼育や栽培、運搬、野外への放出、売買、譲渡なども原則として禁止されています。野外に生息しているものは駆除の対象にもなっています。

 しかし、アメリカザリガニとアカミミガメはペットとして飼われている数があまりにも多いため、特定外来生物に指定して飼育を全面禁止すると、飼うのが違法になる直前に大量に捨てられ、かえって生態系に悪い影響を与えると考えられました。環境省によると、家庭で飼育されているアメリカザリガニの数は約540万匹、アカミミガメの数は約160万匹に上っています。そこで、「条件付き特定外来生物」という新たな分類を設けたのです。とはいえ、飼うことと無料で他人に譲ることが禁止されなかっただけで、ほかの特定外来生物と同様に、野外に放すことや売買することは禁止なので、ある意味ではこれまで以上に飼い手の責任が問われるようになったといえるでしょう。

合計特殊出生率1.26は過去最低に並ぶ2022年の出生数は約77万人

出生数、死亡数、合計特殊出生率の推移

 厚生労働省は6月2日、2022年の人口動態統計を発表しました。それによると、国内で生まれた日本人の子どもの数(出生数)は77万747人と初めて80万人を割り込み、過去最少を更新したことがわかりました。一方、2022年の1年間に国内で死亡した日本人は戦後最多の156万8961人でした。出生数と死亡数の差である「自然増減数」はマイナス79万8214人と、過去最大の減少となりました。

 また、2022年の合計特殊出生率(1人の女性が一生涯に産むと見込まれる子どもの数)は1.26で、前年を0.04ポイント下回り、7年連続で低下しました。人口を維持するためには、合計特殊出生率は最低でも2.07程度は必要とされています。しかし、日本では1970年代にその水準を割り込み、2005年には1.26を記録しました。その後、2015年には1.45まで回復したものの、2016年から2022年までは7年連続で低下し、ついに過去最低だった2005年の1.26に並んでしまったのです。

 出生数や合計特殊出生率がここまで落ち込んだ要因について、厚生労働省では「新型コロナウイルス感染症の広がりを受け、出産や育児に不安を感じた人が多かったことが影響した可能性がある」とみています。また、同じ時期に婚姻数も急減。2019年は59.9万組でしたが、2022年は50.4万組にまで減少しました。これは出生数の減少に直結しかねません。

 こうした状況を受け、「異次元の少子化対策」を表明していた岸田文雄首相は6月13日に会見を開き、この日に閣議決定した「こども未来戦略方針」を発表しました。その目玉は児童手当を拡充することで、すでに結婚している女性にもう1人子どもを産んでもらおうとするような内容です。しかし、経済的な理由から結婚をあきらめている若者が多いのではないか、そのような層に対する支援こそが必要ではないかという声も強まっています。

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