受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ職場見聞録

日本郵便で働くって、どんなこと?

松村 彩さん写真 日本郵便株式会社
オペレーション改革部
JP楽天ロジスティクス株式会社 出向
係長
松村 彩さん

 日本郵便には、主にサービスや仕組みをつくり上げて実施する「総合職」と、郵便局などでお客さまにサービスを提供する「地域基幹職・エリア基幹職」や「一般職」といった職種があります。今回は2010年より総合職として勤務している松村彩さんにお話を聞きました。どんな仕事に携わり、どんなやりがいを感じているのでしょうか。

松村 彩さん写真 日本郵便株式会社
オペレーション改革部
JP楽天ロジスティクス株式会社 出向
係長
松村 彩さん

Q入社してから、どんな仕事をしてきたの?

松村 総合職には、いろいろな部署で経験を積みながら、管理職をめざすというキャリアプランがあります。そのなかで、わたしが入社してから最も長く携わってきたのは、「物流ソリューション営業」の分野です。顧客となる会社が行っている事業の物流の課題に対して、その解決策を探し、仕組みづくりを支援するのが、日本郵便の物流ソリューション営業というものです。たとえば、インターネット通販を手掛けている会社は、注文を受けた商品をたくさんの顧客に発送します。すると、発送するための梱包作業に人手と時間を多く取られてしまいます。

 そこで日本郵便では、荷物の配送だけではなく、梱包から代行するサービスを考えました。そうすることで、ネット通販を手掛けている会社は、梱包にかけていた時間や手間を、宣伝活動やサービスの充実化など、売り上げを伸ばす仕事に費やせるようになるわけです。一方、日本郵便は荷物の取扱量が増え、梱包作業でも収入を得ることができます。わたしは日本郵便がこうしたサービスを全国展開するための立ち上げにかかわりました。

 この仕事では、日本郵便が提供する「ゆうパック」(荷物の配送サービス)を営業している社員たちから、「梱包作業に手間取っているお客さまの悩みに応えられるようになった」という声をもらいました。また、日本郵便の新サービスを多くの通販会社に紹介するために、展示会に出展したところ、たくさんの反響があり大きなやりがいを感じました。

郵便局勤務で見えたもの

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郵便局勤務で見えたもの画像

 日本郵便では、松村さんのような「総合職」の社員も、キャリアプランのなかで一度は郵便局に勤務する機会があります。松村さんは入社8年目に1年半にわたって千葉県内の郵便局に管理職として勤務。それまで本社でつくってきた仕組みを、現場の社員がどのように使っているかなどを実際に見る良い機会になったそうです。
 「現場の状況や意見を聞ける仲間もでき、いまでも連絡を取り合っています。郵便局での経験により、仕事の幅が大きく広がりました」と話す松村さん。そうしたことが、また新しい仕組みづくりに生かされるのです。

Qいま携わっている仕事は?

松村 現在はJP楽天ロジスティクスという会社に出向しています。日本郵便と、ネット通販のショッピングモールを手掛ける楽天グループが、物流の分野で協力するために昨年7月に設立した新会社です。この会社では、ショッピングモールの「楽天市場」に出店している店舗に対して、どのような物流サービスを提供できるかを検討しています。

 その一つが、いまより早く配達先に届くようになる仕組みづくりです。たとえば、楽天市場には出店店舗から商品を預かって管理する倉庫がいくつかありますが、その運営を日本郵便も一緒に行って、商品の梱包から発送・配達までをよりスムーズにしようと考えています。また、購入者が楽天市場でいくつかの商品を注文したときに、日本郵便に対して「まとめて配達してほしい」という依頼をするための「おまとめアプリ」の展開も始めました。購入者にとって、より使いやすい仕組みになるのではないか、といったことも検討しています。

 そうした仕事を、毎日、楽天グループの社員の皆さんと一緒にしているのですが、システムづくりが得意な会社の方たちなので、話していると新しい気づきがたくさん得られます。そんな刺激的な毎日が自分自身を成長させてくれていると感じます。

Q郵便の会社に勤めようと思った理由は?

松村 学生時代、わたしは筑波大学の大学院で国際関係について研究しており、なかでも特に興味を持って学んでいたのが東南アジアの政治経済・文化でした。何度かフィールドワークで現地を訪問しているうちに、東南アジアは日本ほどインフラが整備されていないと知り、そこでインフラに興味を持ちました。郵便事業や物流というのもインフラの一環ですから、それがきっかけで日本郵便に興味を持つようになったのです。調べてみると、日本郵便は、東南アジアの国々で郵便事業の仕組みづくりをサポートするプロジェクトを実施していることがわかりました。わたしが日本郵便に入社したのは、お世話になった東南アジアの方々に恩返しできるかもしれないと思ったからです。

松村彩さんのキャリア

松村さんは「今後の目標は物流ソリューションの事業を会社の柱にすることです」と言います sappy4

 
業務部(現在の郵便・物流業務統括部)
郵便物の取り扱いに関する指導、郵便物の区分業務の見直しと効率化などを担当
ソリューション企画部 郵便・物流営業部
物流ソリューション営業部門の立ち上げ、営業担当者向けの研修の計画・実施、展示会への出展企画や運営などを担当
美浜郵便局(千葉県)
郵便局で郵便物・荷物の配達業務を行う部署の管理職として勤務
集配企画室
集配業務の品質管理や指導、集荷管理のシステム化の検討、配達コミュニケーション支援ツールの導入などを担当
オペレーション改革部
JP楽天ロジスティクス(株)へ出向
「楽天市場」に出店している店舗に梱包などのサービスを提供する倉庫の運営方法を検討する仕事を担当

松村さんは「今後の目標は物流ソリューションの事業を会社の柱にすることです」と言います sappy4

Qいまの仕事にはどんな能力が必要なの?

松村 どんな仕事でもそうですが、いろいろな分野の勉強をするのが大切だと思います。それに加え、わたしが物流の仕事をしていて感じるのは、収入や費用などの数字をはじめ、さまざまなデータを見たときに、いつもと違う傾向に気づいたり、その原因を掘り下げて考えたりできる力が必要だということです。

 また、日本郵便のような大きな組織では、新しいことを始めたり、従来のやり方を変えたりするときには、書類を作って文章で周囲の人々に発信します。ですから、相手に伝わりやすい文章を書く力も大事です。そのためにはコミュニケーション能力を身につけなければなりません。日ごろから人と人とのつながりを大切にし、思いやりの気持ちを持って相手の話を聞くのが重要だといえます。

 小学生の皆さんも、ふだんから相手の気持ちを考えて友だちと接するようにすると、社会に出たときに強みとなる能力が身につくと思います。

第30回/日本郵便:
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