受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

母校再訪

(「23年8月号」より転載/23年7月公開)

母校再訪

東京女学館中学校・高等学校

鷹取 倖さん(2023年卒業)
菊田 菜緒さん(2023年卒業)

将来への視野を広げてくれる先生と
共に成長できる仲間に出会えた6年間

 1888年に設立された東京女学館中学校・高等学校は、「基礎・基本に根ざした個性の伸長」「自ら問題を発見し、解決する力の育成」「他者を思いやる心の育成」を三本柱に、一人ひとりが主体的に考えながら、周りと協働して課題を解決していく「インクルーシブリーダーシップ」の形成に向けた女子教育を実践しています。今回は、この春に卒業した2人に、同校での6年間を振り返ってもらいました。

帰国生が集まる国際学級
コロナ禍でも長期留学を実現

鷹取 倖さん東京大学文科二類1年高校では模擬国連委員会の代表として全国大会に出場し、エチオピア大使を務めました。金融に興味があるので、将来は世界銀行やシンクタンクに所属し、経済から社会問題を解決する仕事に就きたいと考えています。

―東京女学館はどんな学校でしたか。

鷹取 視野を広げる機会をたくさん与えてくれた学校でした。付属小学校からの内進生にとって、中学受験で入学してくる新しい友だちとの出会いは、それだけで新鮮な出来事の連続です。わたしは国際学級に進学したので、クラスメートの多くが外国で暮らした経験を持つ帰国生。一人ひとりがとても個性的で、話し方や価値観も小学校時代の友だちとは大きく異なり、カルチャーショックを受ける毎日でした。もちろん、入学当初は苦労もありました。英語で文章を書くのは自信があったものの、会話にはまったくついていけず焦りましたが、苦労せずに会話するクラスメートに囲まれていると、「彼女たちのレベルになりたい」と意欲が湧きました。

菊田 やりたいことへの選択肢をたくさん用意してくれる学校だと思います。さらに、生徒の希望を全力でサポートしてくれる先生方にも恵まれました。高校では長期留学を希望していたのですが、コロナ禍の渡航制限のため、当初予定していたニュージーランドの学校が受け入れ不可能となってしまいました。どうしてもあきらめたくなかったわたしのために、先生や事務の方が手を尽くしてカナダへの留学を整えてくださいました。

「国際学級は6年間同じメンバーなので、家族のように仲良しでした」と鷹取さん。高3の教室で担任の佐藤英児先生と再会

―部活動や委員会など、熱心に取り組んだことはありますか。

鷹取 わたしが所属していたオーケストラ部は、例年、東京私立中学高等学校協会の第三支部生徒演奏会に参加していて、高2のときには、演奏会委員として実行に携わりました。新型コロナの感染拡大で、開催直前で中止となってしまったのですが、各校の代表と、ガイドラインを守りながらどうしたら実行できるかなど、意見交換をして実施にこぎつけようと努力した経験は、大きな自信につながりました。

菊田 中高ともにテニス部で、中3では副部長を務めましたが、初めはなかなかうまく運営できませんでした。原因はわたしたち中3の間で、幹部とほかのメンバーとの連携ができていなかったため。後輩への指導がきちんとできず、先生や先輩方から注意を受けることも多くて、みんなで号泣したこともありましたが、学年で何度も話し合い、改善策を見つけていくうちに、単なる“仲良し”から、強固な結びつきのある“仲間”になれました。卒業後も連絡を取り合っていますし、将来にわたって相談し合える友だちだと思います。そして、このときの経験は、大学での学びにも大いに役立っています。医学部の授業では、チームを組んで考えたり、意見を出し合ったりする機会がとても多いからです。

一流の演奏を全学年で楽しむ音楽会
中3沖縄修学旅行は平和学習の集大成

菊田 菜緒さん杏林大学医学部医学科1年医学部志望を決めたのは、留学から帰国した高2の終わりでした。進学して実感したのは、医師には相手の話をしっかりと聞き、チームの意見をまとめる能力が求められるということ。国境の壁を越え、人を助けられる医師になりたいです。

―印象に残っている学校行事を教えてください。

鷹取 創立記念行事の一環として、毎年秋に行われる「音楽会」が楽しみでした。「本物に触れる」というコンセプトの下、クラシック、バレエ、ジャズ、ミュージカル、日本の伝統音楽など、ジャンルは毎年異なりますが、「全校を挙げて一流の公演を鑑賞しに行く」という一大イベントに、みんなわくわくしていました。高3の回は、昭和女子大学の人見記念講堂での日本フィルハーモニー交響楽団の演奏会でした。あこがれのピアニストである亀井聖矢さんの演奏を聞いたときには、感動のあまり涙が出ました。

菊田 修学旅行です。残念ながら高校では日帰りとなりましたが、中3での沖縄修学旅行は楽しい思い出として印象に残っています。コロナ禍以前だったので、平和学習の集大成としての施設見学も不自由なく回ることができました。焼失前の首里城を見られたのも、今となっては貴重な経験です。自由行動では、マングローブをカヌーで探検。相部屋のメンバー全員で寝過ごし、バスの出発直前に飛び起きたハプニングは、思い出すたびに笑ってしまいます。

―中高時代で、今の進路に結びついた出来事はありますか。

鷹取 家族で新聞やニュースの内容について話すことが多かったため、小・中学生のころから社会問題に関心がありました。早くから経済学部志望でしたが、東京大学をめざそうと思うようになったのは、高2のときに、世界史の先生に「東大に行ってみたら」と言ってもらったのがきっかけです。定期試験のとき、必ず最後の大問に、「あなたが〇〇だったら、この社会問題をどう解決しますか」といった、“答えが一つではない問題”を出題される先生で、わたしはそれが大好きで、じっくりと時間をかけて、長文で自分の考えを書いていました。「東大の入試スタイルに向いている」とのことで勧めてくださったのだと思いますが、自分の得意分野に気づき、ビジョンが定まったことで勉強へのモチベ―ションが高まりました。

菊田さんの思い出の場所はテニス部の練習に励んだグラウンド。大学受験に向けて化学を鍛えてくださった恩師の鈴木龍馬先生と

菊田 医師になろうと決めたのは、カナダへの留学中に体調を崩したことがきっかけです。たどたどしいわたしの英会話を、ホストマザーが一生懸命聞き取り、現地のドクターに伝えてくれました。幸い、すぐに回復したのですが、ことばの通じない環境で医師にかかることの大変さを実感しました。これから日本も、さまざまな国の人々が集まる社会になると思いますが、そんなときに役立てるよう、英語の話せる医師になりたいという思いが芽生えました。とはいえ、帰国してからは大変でした。カナダの学校の理系科目の授業はかなり簡単で、日本の医学部を受験するレベルではなかったからです。特に数学はかなり遅れてしまって、現役合格は半ばあきらめていたのですが、高3の数学の先生が個別指導型の授業を行う方で、効率よくいろいろな演習問題に取り組めたおかげか、偏差値が一気に20くらい上がりました。

―最後に、受験生へのメッセージをお願いします。

鷹取 今がんばっている勉強は、将来の自分の糧になります。東京女学館は、喜びや悩みを家族のように分かち合える友だちや、思いがけない進路へと導いてくれる先生方と出会える学校です。志望してくれる受験生が増えるとうれしいです。

菊田 受験をしない友だちもいるなか、塾に通い勉強するのは大変で、時には嫌になってしまうこともあるかもしれません。でも、努力の先にあるのは、想像を超える楽しい6年間です。それを思い描いてがんばってください。

《学校のプロフィール》

東京女学館中学校・高等学校

所在地 〒150-0012 東京都渋谷区広尾3-7-16
東京メトロ日比谷線「広尾」駅より徒歩12分
JRほか「渋谷」駅、同「恵比寿」駅よりバス

TEL 03-3400-0867
H P www.tjk.jp/mh/ 別ウィンドウが開きます。

《Information》

学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。

https://tjk.jp/mh/examinee/briefing/

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