受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

母校再訪

(「23年9月号」より転載/23年8月公開)

母校再訪

吉祥女子中学・高等学校

石野 礼愛さん(2023年卒業)
久野 詩織さん(2023年卒業)

通えば通うほど、どんどん大好きになる学校
6年間で自分の進む道を見いだした

 落ち着いた武蔵野の住宅街にキャンパスを置く吉祥女子中学・高等学校は、難関大学への合格実績が高いことで知られる女子進学校です。建学の精神に「社会に貢献する自立した女性の育成」を掲げており、学力だけではなく人間性の育成も重視しています。多様性を尊重し、個性と自主性を育む同校での学びについて、この春、東京大学と筑波大学に進学した二人の卒業生に振り返ってもらいました。

思い出深いクラブや委員会での活動
礼儀作法やリーダーシップが身についた

石野 礼愛さん東京大学 文科三類1年将来の夢はまだはっきりとは決まっていませんが、南米の民族音楽に興味があるので、ウユニ塩湖で知られるボリビアなどに、いつか留学してみたいと考えています

―吉祥女子を志望したきっかけを教えてください。

石野 小学生のころに吉祥祭(文化祭)を訪れたことがきっかけです。在学生の活気ある様子や、先生と生徒との距離が近く和気あいあいとしていたところに魅力を感じました。入学後もその印象は変わりません。たくさんの友だちができたのはもちろん、先生方ともとても仲良くなれました。

久野 母の出身校だったこともあり、もともと興味を持っていました。実際に学校を訪れてみると、元気で活気のある校風で、この学校なら6年間を楽しく過ごせそうだなと思い、受験を決めました。

―印象に残っている授業はありますか。

石野 高2の地理です。先生の教え方がとてもおもしろく、心に残っています。たとえば、スイスが舞台のアニメを見せて、背景に映る山はアルプス山脈に属するマッターホルンで、黒パンが食べられているのはこの地域でライ麦がとれるからなど、登場人物が食べているものや景色について、地理の知識を交えながら説明してくださいました。もともと地理にはそれほど興味はなかったのですが、この授業を受けてから学ぶのが大好きになりました。

久野 わたしは、高3の体育の授業が忘れられません。みんなでドッジボールなどをして、受験勉強の合間の良い息抜きになりました。

―久野さんは中高で剣道部に所属していたこともあり、体を動かすのが好きなのですね。剣道部での活動はいかがでしたか。

久野 活動日は週4日とハードでしたが、部員同士の仲が本当に良くて、つらい練習も苦になりませんでした。また、剣道部での活動のおかげで礼儀作法も身につきました。剣道では礼儀作法がとても重視されており、練習しているうちに、相手の目を見てあいさつする、きちんとお辞儀をするといったことができるようになりました。

石野さんが所属していた、文化祭実行委員会リーダー会の活動室にて。各セクションにロッカーが与えられ、扉の内側には卒業生からのメッセージが貼られています

―石野さんは、文化祭実行委員会リーダー会、バドミントン部、軽音楽部など、複数の活動をされていたのですね。

石野 はい。そのなかでも、最も印象に残っているのは実行委員会リーダー会です。このリーダー会に入れるのは中3からでしたが、吉祥祭は本校を受験するきっかけになったこともあり、中1のときからずっと入りたいと思っていました。

―文化祭実行委員会リーダー会は、どのような活動を行うのですか。

石野 吉祥祭の企画・運営の中心となって、各団体のサポートやステージの設営、当日の列整備など、運営にかかわるさまざまな業務を行います。わたしは書記兼環境対策セクションのリーダーとして、企画会議の進行をしたり、吉祥祭のときに出るごみの処理を行ったりしました。リーダー会には約30人のメンバーがいるので、会議の際は書記としてみんなの意見をまとめるのが大変でしたが、メンバーを導く経験ができたのは、その後の財産となりました。

お互いの個性を認め合う校風
どんな生徒にも居場所がある

久野 詩織さん筑波大学 医学群医学類1年中高で所属した剣道部の引退試合は、今でもよく覚えています。通常は春の大会で引退するのですが、わたしは夏の大会まで出場。試合が終わったときは少し寂しくなりました

―卒業してあらためて思う、吉祥女子の魅力を教えてください。

石野 重い物を持てるようになるところです(笑)。というのも、吉祥女子は女子校なので、たとえ力仕事でも「自分たちで何とかしよう」と考えるのです。これは女子校ならではの良さかもしれません。

久野 確かにそうですね(笑)。わたしは、多様性を尊重してくれるところが好きです。明るい生徒、おとなしい生徒などといろいろなタイプがいますが、お互いの個性を自然に認め合う校風なので、どんな子でも居場所があります。

石野 久野さんの言うとおりです。それもあってか、母校愛の強い生徒が多いですね。みんな大学生になっても、しょっちゅう吉祥女子に遊びに来ています。

―石野さんは東京大学に、久野さんは筑波大学に進学されましたが、大学での生活はいかがですか。

石野 吉祥女子の授業がきっかけで地理が好きになり、そこから世界の民族に興味を持つようになりました。高校で軽音楽部に入っていた経験を生かして、大学では60人ほどのメンバーがいる東京大学民族音楽愛好会にも加入しました。このサークルでは、南米アンデス地方周辺の民族音楽「フォルクローレ」を演奏しており、わたしはウユニ塩湖で知られるボリビアの民族音楽を練習しています。

久野 わたしは中高で剣道部に入っていたので、大学では別のスポーツをやってみたいと思っていたのですが、結局、また剣道部に入ってしまいました(笑)。同級生も先輩も優しい人ばかりで、友人がたくさんできました。中高で剣道をやっていなければ、この友人たちとも出会っていなかったんだなと思うと、少し不思議な気持ちです。今は、6月の医・歯・薬・獣医科大学の学生が参加する剣道大会や、医科学生が参加する夏の剣道大会に向けて、練習をがんばっています。

―久野さんは医学部に進学されましたが、なぜ医療の道に進みたいと考えるようになったのでしょうか。

久野 医学部をめざそうと明確に決めたのは高3になってから。祖母が認知症を発症し、脳神経のしくみについてもっと知りたいと思うようになったのです。将来は臨床医として、多くの患者さんの支えになりたいと考えています。

久野さんが所属していた、剣道部の活動場所であるトレーニングルームにて。防具が置かれているのを見て、「懐かしいなあ」と当時を思い返します

―二人とも国公立大学に進学されましたが、合格に向けてどのような努力をしましたか。

石野 わたしは、中学入学時点では成績はあまり振るわず、テストでも平均点以下の点数を取っては、よく補習を受けていました。もっとがんばろうという気になったのは、とても勉強熱心な友だちがいたおかげです。その子に引っ張られるように、わたしも中3から真面目に勉強し、東大受験にチャレンジできるレベルに到達することができました。

久野 入学時点では平均的な学力でした。中1のときは周りについていこうと一生懸命に勉強していましたが、中2から勉強をサボるようになってしまいました。当然、成績もあまり良くないまま高校に進学したのですが、そのタイミングでコロナ禍に突入。友だちに会えず、自宅でも退屈していたので、「やることもないし、勉強しよう」と思い立ちました。その後は、成績も順調に伸びていき、難関大学を狙えるようになりました。コロナ禍では未知の経験の連続で大変でしたが、「学習に向き合う」という意味では、わたしの場合は良いきっかけとなったようです。

―最後に、受験生にメッセージをお願いします。

石野 吉祥女子はどのようなタイプの生徒でも居場所がある学校で、興味を持ったことに挑戦できる環境も整っています。わたしは、もし中学時代をもう一度やり直せるなら、また吉祥女子に入学したいと思っています。

久野 活発な子も、そうでない子も、お互いを否定せずに認め合う文化があります。中高6年間を楽しく過ごせると思いますので、お勧めの学校です。

《学校のプロフィール》

吉祥女子中学・高等学校

所在地 〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町4-12-20
JR「西荻窪」駅より徒歩8分、西武新宿線「上石神井」駅よりバス15分「地蔵坂上」下車、徒歩8分

TEL 0422-22-8117
H P www.kichijo-joshi.jp 別ウィンドウが開きます。

《Information》

学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。

https://www.kichijo-joshi.jp/admission/events/

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