受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

母校再訪

(「23年11月号」より転載/23年10月公開)

母校再訪

巣鴨中学校・高等学校

渡辺 祐一郎さん(2023年卒業)
川村 智也さん(2023年卒業)

充実した国際教育と「努力主義」が
大学での学びにも生かされる

 巣鴨中学校・高等学校は、哲学者の遠藤隆吉博士によって1910年に設立された私塾「巣園学舎」を始まりとする歴史ある男子進学校です。創立以来、みずからを信じ、努力を続けることの大切さを「努力主義」とし、それによって可能性を開花させる「硬教育」を実践しています。現在、大学1年の卒業生のお二人に、学校生活の様子や思い出に残る学校行事などについて語ってもらいました。

教科愛にあふれた先生の授業が
学問への興味や進学意識を高める

渡辺 祐一郎さん千葉大学医学部医学科1年数ある大学のなかから千葉大を選んだのは、すべての学部で「全員留学」を推進しているからです。在学中に一度は留学し、海外の医学を学びたいと考えています。

―巣鴨中をめざした理由を教えてください。

渡辺 巣鴨出身のいとこに勧められたことと、国際教育が充実している点にひかれて受験しました。もともと英語や留学に興味があったので、さまざまな国際プログラムが用意されているところに魅力を感じました。

川村 兄の友人が巣鴨生だったことがきっかけです。とても真面目で尊敬できる人だったので、「そういう先輩がいる学校だったら、自分も行ってみたいな」という気持ちで受験しました。

―思い出に残っている学校行事はありますか。

渡辺 高3のときに新国立競技場で開催された体育祭です。ぼくたちの学年は、新型コロナの影響で学校行事が制限されることが多かったため、最後の“ご褒美”として先生方が会場を押さえてくださったと聞いています。オリンピック選手と同じ場所で競技ができて夢のようでした。

川村 全校生徒が参加する「大菩薩峠越え強歩大会」です。上野を夜9時に出発して、バスで奥多摩の出発地点に向かうと、そこから夜通し歩いて頂上をめざします。学年が上がるにつれてルートも長距離になるので、毎年へとへとですが、峠から見える景色はことばでは表現できないほど美しく、感動的です。この行事を通して、どんなにつらくても一歩ずつ努力を積み重ねることが、物事を達成するための近道なのだと学びました。

熱い指導をしてくれたバスケットボール部顧問の金澤先生と体育館で再会

―印象に残っている授業はありますか。

渡辺 中3から数学の成績上位者を中心に編成される選抜クラスに在籍していました。周囲がみんな優秀なので、とても刺激的でした。印象に残っているのは、英語の授業で行われる音読です。教科書の文章を正しく暗唱するという巣鴨独自のメソッドで、自然と英語力を伸ばすことができました。

川村 ぼくは物理の授業が印象に残っています。物理愛にあふれる先生で、基礎的な事柄からわかりやすく説明してくださいました。その先生がおっしゃっていた「いまだに人類は宇宙の理(ことわり)を解明できていない。だからこそ、君たちが大学に行って学ぶことには意義があるんだよ」ということばを聞いて、理系学部への興味と大学への進学意識が高まりました。

―クラブ活動についてはいかがですか。

渡辺 バスケットボール部に所属し、中学のときには豊島区の大会で準優勝を果たしました。最も思い出深いのは、高3の引退直前の大会です。トーナメントでいくつか勝ち進んだ後、当たったのは都内屈指の強豪校。全力を尽くしましたが、結局は一歩及ばず負けてしまいました。悔しい思いもしましたが、最後に強豪相手に自分たちの力を出し切ったことは、大きな達成感につながりました。

川村 毎年、校内で百人一首歌留多大会が開催されるのですが、その試合がとても楽しかったので、高校から歌留多部に入部しました。歌留多の魅力は、囲碁や将棋のように頭を使う競技でありながら、俊敏性を競うスポーツの要素も含まれているところです。大学でも百人一首同好会に所属し、週4で練習しています。

社会生活に大切なことが身につく
独自の試みが盛りだくさんの学校

川村 智也さん東京大学理科一類1年将来の職業はまだ模索中ですが、最終的には自分の利益を追求するのではなく、社会や他者への貢献を第一に置いた仕事を選びたいと考えています。

―大学での専攻について教えてください。

渡辺 子どものころ、ぜんそくの治療に当たってくれた小児科の先生へのあこがれから、「自分も医師になりたい」と思い、医学部医学科で学んでいます。チーム医療を学ぶという観点から、医学部のみならず、薬学部、看護学部の学生と一緒に一つのテーマについてディスカッションをする場が設けられていて、異なる立場からそれぞれの意見を交わすのがとてもおもしろいです。

川村 漠然と科学や理科の分野に進みたいと考えていたのですが、明確に「これ」という学部が見つからなかったので、学部選択までに猶予(進学振り分け制度)のある東京大学を選びました。周囲には数学オリンピックや地学オリンピックなどの入賞経験者が多く、日々刺激を受けています。

「教室とは別世界」と川村さんが言う和室。歌留多に打ち込んだ思い出の場所です

―巣鴨で学んだことが今に生きていると感じることはありますか。

渡辺 巣鴨サマースクール(SSS)に参加したことです。これは、オックスフォード大学やケンブリッジ大学出身のトップエリートの講義を国内で受けることができる5泊6日のプログラムで、グループワークやディスカッションをすべて英語で行います。合宿中はアフタヌーンティーやクリケットを楽しむ時間もあり、教養を深めることができました。英語はもとより、ディスカッションやプレゼンテーションの方法を学べたことは、今の大学生活にも生きていると感じます。

川村 巣鴨では、毎週の小テストや定期考査の振り返りを細かく行うので、何事にも真面目に取り組む習慣が身についたと思います。大学の優秀な同級生たちには、数学のような教科ではなかなか勝てませんが、英語や第二外国語といった日々の積み重ねがものをいう教科においては負けません。日ごろから手を抜かずにこつこつがんばる姿勢は、巣鴨の「努力主義」のたまものだと思います。

―最後に、受験生に向けてメッセージをお願いします。

当時の学年主任、芦川和也先生が二人を迎えてくれました

渡辺 大菩薩峠の強歩大会のほかにも、遠泳、寒稽古などユニークな行事が盛りだくさんの学校です。他校にはない独自の国際プログラムも豊富なので、海外に興味がある人は特に充実した6年間を過ごせると思います。

川村 巣鴨と聞くと「厳しい学校」というイメージを持つ受験生もいるかもしれませんが、けっしてそうではありません。先生方が生徒一人ひとりに真摯に向き合い、社会に出るうえで大切なことを教えてくれる学校です。受験生の皆さんには安心して入学してほしいと思います。

《学校のプロフィール》

巣鴨中学校・高等学校

所在地 〒170-0012 東京都豊島区上池袋1丁目21-1
JR「大塚」駅より徒歩10分、JR、東京メトロ有楽町線ほか「池袋」駅より徒歩15分

TEL 03-3918-5311
H P www.sugamo.ed.jp 別ウィンドウが開きます。

《Information》

学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。

https://www.sugamo.ed.jp/entrance_student/

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