受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校File

(「23年10月号」より転載/23年9月公開)

実践女子学園
中学校高等学校

所在地:〒150-0011 東京都渋谷区東1-1-11
JRほか「渋谷」駅より徒歩10分、東京メトロ銀座線ほか「表参道」駅より徒歩12分
TEL:03-3409-1771
hs.jissen.ac.jp

「感性表現」「グローバル」「探究」に注力
みずから未来を開く女性を育てる

 女子教育の先駆者である下田歌子によって1899年に創設された実践女子学園は、「女性が社会を変える、世界を変える」という信念の下、120年を超える歴史を紡いできました。現在は心を育てる感性表現教育をはじめ、海外大学進学まで見据えたグローバル教育や課題解決型の探究教育を重視し、受験生の人気を集めています。同校の特色あるプログラムについて、校長の湯浅茂雄先生に伺いました。

立地を生かした企業との連携が活発
日本の文化を知る教育も実践的に

校長 湯浅 茂雄 先生

広野 ここ最近、受験者数が増加するなど、貴校への関心が高まっています。伝統ある女子教育への信頼と利便性に優れた立地が人気の背景にあるように感じます。現在、特に力を入れている取り組みについてお聞かせください。

湯浅 特に活発な取り組みの一つが企業との連携です。本校が立地する渋谷はIT企業が多く、スタートアップ企業も多数集まっています。こうした企業と連携し、たとえばAIロボットを共同で研究したり、プログラミングの授業を行ってもらったり、ドローンによる撮影体験をしたりと、さまざまな活動を行っています。第一線で活躍する人や最先端の知識・技術に触れることで、生徒たちは刺激を受けるとともに、教科教育の大切さにもあらためて気づくようです。

広野 グローバルで先進的なIT企業が集まる渋谷という立地を最大限に生かした取り組みですね。

湯浅 企業との連携を進める一方、教育の3本柱として「感性表現教育」「グローバル教育」「探究教育」を重視しています。心を育てていく感性表現教育では、まず中1で礼法のほか、華道、茶道、箏曲、仕舞、和装着付から興味のあるものを選択して、体験的に学ぶ「日本文化実習」を必修としています。グローバル教育を受ける前に、日本文化をしっかり知っておくことを目的にした授業です。

広野 大切なことですね。伝統的な女子教育の魅力でもあると思います。

湯浅 グローバル教育では、中1からイングリッシュキャンプやセミナーを行うほか、中3では異文化交流体験プログラムを実施。50名を超える留学生に来てもらい、お互いの文化について英語で話し合ったり、少人数グループで渋谷の街へ出てフィールドワークを行ったりします。最後はプレゼンテーションで締めくくり、英語を当たり前のツールとして使いながら、各国からの留学生との交流を深めています。

海外留学や多彩な国際プログラム
積み上げ式の教育で海外大学進学の道も


選択制修学旅行のシンガポールコースでは、陸路で隣国マレーシアに入り、現地の家庭でのデイステイを実施。民族衣装を着て、昼食をとりました

広野 以前は、グローバル教育は特別な取り組みでしたが、今では中高生全員に必要なものになりましたね。

湯浅 本校では以前、グローバルクラス(国際学級)を開設していたため、そのノウハウを全クラスのグローバル教育に展開しています。今もネイティブ教員が10名いるので、生徒は英語や異文化に日常的に触れることができます。放課後にも、英語を使いながらものづくりをしたり、実験をしたりできるネイティブ教員の講座が多数あります。こうした講座は、英語力の向上はもちろんですが、英語を通してさまざまな分野を体感できるプログラムになっています。渋谷にいながらにして、気軽に英語を使って異文化体験ができるのが、本校のグローバル教育の強みです。

広野 ふだんからそういった機会があれば、実際に海外に行く際も落ち着いてコミュニケーションが取れそうですね。

湯浅 海外留学制度も充実させています。中学生から参加できる海外研修のほか、高1 ・2での10週間のオーストラリア短期留学や、ドイツ・タイ・中国にある提携校との交換留学制度などを用意しています。日本文化実習や国内での体験からハードルを少しずつ上げるシステムが非常にうまくいっていると感じます。海外大学への進学者も毎年出ており、2023年は台湾大学やトロント大学にも進学しています。積み上げ式のグローバル教育の成果だと感じます。

課題解決型の探究学習で広く学ぶ
昨秋にはユネスコスクールに認定

サピックス小学部
教育情報センター本部長
広野 雅明

広野 探究教育についてもご紹介いただけますか。

湯浅 中1から高2までを対象に「未来デザイン」と題した教科横断型の授業を行っています。これは、今世界で起きているすぐに答えが出ない課題を取り上げて、生徒みずから解決策を見いだしていくもので、ニュージーランド、シンガポール、沖縄から行き先を選ぶ高1での修学旅行をその集大成と位置づけています。

 なかには、シンガポールで大気汚染の問題に注目した生徒や、沖縄で保護犬の問題を考えた生徒もいます。大学入試が多様化するなか、与えられたものだけを学ぶのではなく、自分の興味・関心のあるテーマを深めて、その先の進学キャリアへとつなげていくことができるプログラムです。こうした取り組みが評価され、昨年11月にはユネスコスクールに認定されました。

広野 みずからテーマを見つけて深めていくという体験は、刺激的で深い学びの機会になりますね。

湯浅 段階を踏みながら、自分の世界がどんどん広がっていくことを意識できるプログラムです。専門的な内容については併設の実践女子大学の先生に講義をしてもらうなど、大学との連携も活発に行っています。

広野 同じキャンパス内に大学もあって、高大連携が活発なのは大きなメリットだと思います。湯浅先生が実践女子大学の学長を務められていたご経験も役立っているのでしょうか。

湯浅 3年前に本校に着任して以来、高大連携を強化しています。高校生は大学の図書館を利用できますし、科目の履修や単位の修得も認められています。行事を一緒に行う試みも始めました。実際に実践女子大学に進学する卒業生は毎年2〜3割程度ですが、大学の雰囲気や講義に触れる機会に恵まれていることは、どの生徒にとってもプラスになると思います。

広野 さらに今後、力を入れていく取り組みがあればお聞かせください。

湯浅 学習環境の整備を進めています。もともと高校生用の自習室はあったのですが、このたび中学生用の自習室を新設しました。部活をがんばる生徒も多いのですが、終了後に自習室に寄れば、その日の学習をすべて完了させてから帰ることができます。環境を整え、チャレンジの機会を提供し、一人ひとりの生徒がなりたい自分になれる力をつけられるよう、わたしたちも精いっぱい取り組んでいるところです。

広野 最後に、受験生と保護者の皆さんにメッセージをお願いします。

湯浅 受験生の皆さんには、本校でぜひ大きな夢を見つけてほしいと思います。実践女子学園には、皆さんが新しい自分を見つける、自分の力を伸ばすためのしかけや体験の機会がたくさんあります。ぜひ一度、本校にお越しください。

Information

学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。
https://hs.jissen.ac.jp/admission/open_school/index.html

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