受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

未来を期待される学校

(「23年10月」より転載/23年9月公開)

駒込中学校・高等学校

変化の先を見据えて進む学校改革
AIの時代にこそ問われる 真の学力を心とともに育てる

所在地〒113-0022 東京都文京区千駄木5-6-25

交通東京メトロ南北線「本駒込」駅より徒歩5分、東京メトロ千代田線「千駄木」駅・都営三田線「白山」駅より徒歩7分

TEL03-3828-4141

HPwww.komagome.ed.jp

 仏教主義に基づき、「一隅を照らす人物」の育成を建学の精神に掲げる駒込中学校・高等学校は、上野の不忍池の畔に設立された勧学講院をルーツとする、340年を超える歴史を誇る伝統校です。一方、近年は学校改革にも積極的で、ICT教育やグローバル教育を充実させているほか、生成AI(人工知能)の活用もスタートします。大学合格実績でも好調が続く同校の教育の特色について、校長の河合孝允先生に伺いました。

AIをいかに使いこなすか
一歩先を行くICT教育を開始

校長写真
校長 河合 孝允 先生

広野 貴校のICT教育には以前から定評があります。Chat GPTを活用する取り組みも始められるそうですね。

河合 AIが進化し、人は知識の総量では太刀打ちできなくなりました。知識を身につけるだけでなく、知の編集ができる能力が必要ですし、その知識が整理され、アウトプットされるときに真の学力が問われる時代になったと感じます。Chat GPTの是非について議論をしている暇はありません。本校ではこの夏休みに教職員全員で研修を行い、9月からは実際に生徒がChat GPTを活用できる体制を整える予定です。

広野 コロナ禍ではリモート授業をはじめ、学校のICT化が一気に広がりました。生成AIも先生方がその特質を見極めたうえで、うまく活用していく必要がありますね。

河合 教員たちに言っているのは、「Chat GPTでどういう新世界が切り開かれるのか、その光の部分を理解して肯定的にとらえてほしい」ということです。人類史のなかで先人たちがどういう哲学を持って人間性を発展させてきたのか。それを学び直す必要があります。経験則だけで生きていける時代ではありません。次世代の子どもたちには、哲学を含めて新しい技術をきちんと与えていくことが大事です。駒込で学んで良かったと思える将来が迎えられるように、わたしたちは今、どういう教育が必要なのかを絶えず確認しています。

すべての根幹をなす人間教育
海外研修では世界を体感する

イメージ01高1・2の希望者によるマルタ島の短期留学。他国の留学生と触れ合い、学び合うプログラムになっています

広野 最先端の教育を導入する一方、伝統的なことも大事にされていますね。

河合 学校として最も大切にしているのが、仏教主義に基づく人間教育です。駒込は天台宗の学校ですが、宗教の授業は行っていません。ただ、仏教主義をすべての教育の根幹に置き、最澄の教えである「一隅を照らす」という価値観を体現する人物の養成に努めてきました。他者のために役立つ「利他」の心を育てる学校でありたいと考えています。仏教の修行生活を体験する高1での比叡山研修や、中2での日光山研修を伝統行事として長く続けているのもそのためです。

広野 礼儀正しく、ホスピタリティーにあふれる生徒の雰囲気は、こうした教育の成果だと感じます。人間教育をしっかりと行っているからこそですね。

河合 はい。一方で生徒たちには世界に目を向けてもらうため、グローバル教育にも力を注いでいます。たとえば海外研修の一つとして、高1・2の希望者が16日間のマルタ島短期留学に出掛けています。英語を母語としない海外からの留学生と共に学ぶプログラムで、日本の子どもたちが苦手とする自己表現力を養います。中1から参加できる9日間のハワイセミナーも実施しています。これはハワイで生きた英語を学び、現地の文化に触れる体験学習です。

広野 海外の文化に触れるさまざまな機会があるのはいいことですね。

河合 オーストラリアやニュージーランドで現地の生徒と一緒に授業を受ける中期・長期留学制度もあります。留学中に取得した単位を認めているので、帰国後の進級・卒業にも影響がありません。テストや受験のためではなく、英語を通じて文化を理解する、英語のコミュニケーションで相手を納得させるといった、実社会に必要なスキルを身につけてほしいと考えています。

探究学習を深め、授業評価も
学びを楽しみ進路につなげる

広野 近年は難関大学への合格実績でも注目が集まっています。

河合 今春は、国公立大学や早慶上理ICUに加えて、GMARCH以上の難関大学に309名が合格を果たしました。なかには、中高6年間にわたって野球部で活躍し、文武両道を貫いて筑波大学医学群医学類に現役で合格した卒業生は、「この学校には人の夢を笑うやつはいない」というメッセージを残してくれました。中高6年間はかけがえのない時間です。どの生徒も熱中できるものに出合ってほしいと思います。

広野 好きなことをあきらめず、なおかつ希望する進路を実現していくのは理想です。

河合 そのためにも日々の授業を大切にしています。毎年2学期末には約1700名の生徒全員が授業を評価。進度はどうか、わかりやすさはどうか、予習復習のフォローをしてくれたかなど、あらゆる観点から評価して教員にフィードバックすることで、より良い授業を実現しています。

広野 質の良い授業は学びの意欲向上につながり、さらには大学合格実績にもつながるのですね。

河合 体系的な理数教育を実践するため、探究学習にも力を入れています。たとえば、名古屋大学と提携してスマホの発火問題を研究するグループもあれば、ロボットコンテストの日本代表に選ばれた中学生など、ユニークな生徒が次々と出てきています。校風という学校の個性をどう育てるか。建学の理念は大事ですが、本質は残しつつ、これからも時代に合ったフレキシブルな教育を展開していきたいと思います。

広野 最後に、受験生と保護者の皆さんへのメッセージをお願いします。

河合 駒込では、誰もがなりたい自分になれるよう自己肯定感を育てています。Anticipation(予測)、Action(実行)、Reflection(振り返り)のAARサイクルを大事にする教育で、皆さんが好きな世界で羽ばたけるよう全力で応援します。

ONE POINT CHECK サピックスのワンポイントチェック

 人間教育を大切にしている駒込では、情操を育てる教育の一環として、中学生には給食を用意しています。給食当番が盛りつけを担当し、配膳が完了すると、全員で「食前観」を唱えるのが決まりです。ここで「いただきます」の真意に触れ、全員が同じ献立を楽しく食べながら、食に対する感謝の心を育んでいくのです。メニューは多彩で、どれもおいしいと好評。食べるという日々の営みからも生徒たちは多くを学んでいます。

INFORMATION

学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。
https://www.komagome.ed.jp/examinee/guidance.php

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