聖光生の沈まぬ意欲の象徴
「白夜」が来場者を包んだ2日間

同校のマスコットキャラクター「ジェントルペンギン」。多くの来場者が記念撮影をしていました

　4月29日と30日の2日間にわたり、聖光学院中学校高等学校の聖光祭が行われました。コロナ禍でもリアルで開催してきた同校。昨年に引き続き、今年も事前予約不要の通常開催となりました。第64回となる今回のスローガンは「白夜」です。新型コロナの流行という長い夜が収束の兆しを見せるなか、常に聖光祭を良くしていこうと力を注いできた聖光生の沈まぬ意欲の象徴となっているそうです。

　編集部が訪れたのは2日目の30日。校門では、スローガンの「白夜」をイメージしたアーチが来場者を出迎えます。校内に入って、最初に目に飛び込んできたのは、中庭を彩るビニール傘のオーナメントです。多くの人が「きれい」と声を上げ、スマートフォンで撮影していました。その中庭に設置された外ステージでは「STAGE DANCE」が開催中。この日のために練習を重ねてきた聖光生たちがエネルギッシュなダンスパフォーマンスを披露し、多くの来場者から拍手が送られました。

　中庭の横のピロティでは、お祭りにぴったりな焼き鳥、焼きそば、クレープなどのフードが販売されていました。購入時に番号が発行され、出来上がり時間がモニターで確認できるため、待っている間も外ステージのイベントを楽しめました。

　各教室ではさまざまな展示・発表が行われています。今年から「聖光アクアリウム」と名前を変えた生物部では、水族館と同じような暗闇のなかでさまざまな生き物を展示。地学天文学部では、部員たちが発掘した化石や鉱物を間近で観察できました。また、物理科学部の演示実験は子どもたちに大人気でした。

今年のスローガン「白夜」にちなみ、極地で暮らす動物たちを描いたアーチで来場者を迎えます

　交通研究部の巨大ジオラマも見逃せません。廃線となった駅舎のプレートなど貴重な鉄道グッズを展示している教室から、巨大ジオラマがある教室へと移動する際には、部員が文化祭特製の記念キップにハサミを入れて渡してくれるサービスもあり、多くの来場者が笑顔を浮かべていました。

　小講堂では、聖光祭実行委員長の司会の下、校長の工藤誠一先生と生徒会長との対談が行われていました。通常の説明会よりもリアルな話が聞けるとあって、多くの参加者が集まりました。「聖光学院の生徒の特徴」というテーマでは、祖父から3代にわたって聖光生という生徒会長が、「入学前は、みんな頭が良くて、真面目な人ばかりというイメージがあったけれど、実際に話してみるとおもしろい人が多い」と語ると、工藤先生は「問題解決能力が高く、柔軟に物事を考えられる生徒がたくさんいる」と応じました。そして、「聖光学院に入学するには？」というテーマでは、「嫌いな教科、苦手な教科を伸ばすよりも、得意な教科を伸ばすことをお勧めします」と、生徒会長からアドバイスが送られました。

　小講堂の隣にある講堂では、英語劇「美女と野獣」を上演。聖光生たちが全編英語で演じます。映画でも有名なダンスシーンでは、美しい衣装と見事な歌声で、観客を魅了しました。

　ほかにも、生徒会による制服体験会、学内の名所を巡る「聖光ツアー」、高3生や先生に直接質問ができる「中学入試相談」といった受験生向けの企画に加え、今年からは校医の先生による「現役医師の会」もスタート。在宅医療をテーマに、横浜市内の現役医師や聖光学院OBによるポスターセッションが行われ、医師をめざす人に向けたメッセージを読むこともできました。

　入場制限もなく、多くの来場者を迎えて行われた今年の聖光祭。真夜中になっても光を放ち続ける「白夜」の太陽を思い起こさせる聖光生の輝きが感じられました。

色鮮やかなビニール傘の下、外ステージで行われたイベントは、どれも大盛況でした

トレインシミュレーターなどの体験コーナーも人気だった交通研究部の巨大ジオラマ

聖堂のパイプオルガンを演奏しているのは、2019年に設立された聖光オルガン研究会所属の生徒です

物理科学部では、部員たちがさまざまな実験を披露。なかでも炎色反応の実験には多くの子どもたちが見入っていました

生物部による「聖光アクアリウム」の展示に子どもたちも興味津々。じっくりと観察していました	通常の説明会では聞くことのできない、リアルな情報も飛び出した「校長対談」	先生と高3生に相談ができる「中学入試相談」では、聖光生を指名する来場者が多かったそうです
誰もが知る物語を見事に英語で演じきった「美女と野獣」。衣装や照明も本格的です	技術室では、入学時に配布されるカンナや砥石（といし）などの道具をはじめ、授業で製作した割りばしや栓抜きなどを展示	手のひらサイズのジェントルペンギンキーホルダーは、聖光祭初日の午前中に売り切れたほどの人気アイテムです