受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

スクール情報

(「23年8月号」より転載/23年7月公開)

桐朋中学校・高等学校 第72回桐朋祭 6月3日(土)~5日(月)

高らかなファンファーレとともに
躍動感に満ちた3日間がスタート

 朝方までの大雨から一転、午後には強い日差しも届いた6月3日。桐朋中学校・高等学校の一大イベント「桐朋祭」が、華々しく幕を開けました。第72回となる今年の日程は、6月5日までの3日間。テーマは干支にもちなんだ「兎べ」で、桐朋生はウサギのような躍動感を表現すべく、それぞれのポジションで全力を尽くしました。

開会式などのイベントは、2階のテラスのステージで実施。パネルに描かれたウサギのイラストが目をひきます

 桐朋祭では毎年、開会式を行っており、今年も正午に実行委員会のメンバーが勢ぞろいしました。テラスのステージでテーマなどについて説明し、観客に向かって「一緒に楽しみましょう!」と呼びかけました。

 続いて前回の「桐朋祭大賞」の受賞団体である地学部が、記念のトロフィーを実行委員会に返還しました。この桐朋祭大賞とは、来場者の投票で決定される、学内でも格式の高い賞です。これからの3日間、参加団体は大賞受賞をめざして「おもてなし」にも気を配ることになります。

 開会式の締めには、音楽部が生演奏でファンファーレを披露。あいさつを担った校長の原口大助先生も笑顔で見守るなか、いよいよお祭りのスタートです。

レゴ®作品の展示も見応えあり。細かな部分まで、その世界観を丹念に表現していました 正門の奥に据えられた桐朋祭のゲート。カラフルなデザインは、お祭り気分を盛り上げてくれます 2階のテラスの一画には、ユーモラスなフォトスポットも。来場者はここで記念写真を撮っていきます

生徒の多様性を反映する
バラエティー豊かな企画がずらり

 桐朋祭の参加団体は、大部分がクラブや有志で立ち上げたものです。どの団体も何か月も前から準備に奔走し、日ごろの活動をベースにした楽しい企画をそろえています。

 桐朋祭大賞の常連である地学部の企画は見応えがあります。なかでも注目を集めていたのは、自慢の校内施設「デジタルプラネタリウム」での上映会です。部員がライブ解説をするのがポイントで、混雑解消のための整理券も、あっという間になくなるほどの人気でした。西グラウンドでは何台ものモデルロケットの打ち上げに挑戦。小さなロケットが空高く発射されると、カウントダウンで場を盛り上げた観客からも大歓声が上がりました。

 展示のボリュームでいえば、生物部も負けていません。同部はフィールドワークを重視しており、みずからが採集した魚や虫などを、生物室にずらりと展示しています。来場者は入り口で渡された生物クイズのシートを手に、水槽や標本箱が連なる順路を巡っていきます。もちろん、要所には解説担当の部員が控えており、来場者の質問にも熱心かつていねいに答えていました。

 さまざまな実験のコーナーも大盛況です。有志による物理基礎のブースでは、「共鳴」や「静電気」など、身近な科学現象をクローズアップ。その仕組みをミニ実験などを交えて、わかりやすく説明しています。たとえば、ゆで卵と生卵を見分けるには、現物を横にしてコマのように回してみると一目瞭然です。中身が固まって一体化しているゆで卵は、くるくるとよく回ります。それに対して生卵は中身が不規則に揺れるため、あまり勢いよく回らないのです。こうした現象には子どもたちも興味津々で、実際に実験器具や模型を手に取らせてもらいながら、「科学の不思議」を確かめていました。

 体験型のアトラクションも、お祭りには不可欠です。ゴルフ部によるパットゴルフは、老若男女が気軽に楽しめます。挑戦者はグリーンを模したミニコースに足を踏み入れ、狙いを定めてボールを“パコン”と打ち出します。時には勢い余ってボールがコースの外に飛び出してしまうこともあり、挑戦者は打球の行方に一喜一憂していました。

 一方、体操部の「SASUKE」には、運動好きが集まります。こちらは鉄棒やつり輪、ロイター板などを組み合わせた本格的なアスレチックコースです。なかなかハードな仕様ですが、子どもたちも果敢にチャレンジ。サポートの部員に見守られながら、走って跳んで、無事にゴールインすると、観客も盛大な拍手を送っていました。

生物部の展示はまるで自然博物館のようでした。飼育中の魚類や爬虫類をはじめ、昆虫の標本なども並んでいます 誰でも気軽に楽しめるパットゴルフは、終日、たくさんの挑戦者でにぎわっていました
地学部のロケット打ち上げ。失敗を経てリベンジ発射に成功した際には、ひときわ大きな拍手が送られました 体育館の2階で行われた「SASUKE」。テレビ番組を模したもので、上級者は風のようにコースを駆け抜けます

4年ぶりに飲食団体も復活
明るいムードのイベントを創出

 さらに今回は飲食団体も復活しました。感染症対策のため、食べ歩きこそ禁止としましたが、4年ぶりに屋台で、かき氷、たい焼き、焼き鳥を販売しました。加えて校内にも、甘味処やカフェ、ノンアルコールの“モクテルバー”などを設置。生徒はてきぱきとオーダーを取って食券を受け取り、来場者に「桐朋祭グルメ」を堪能させてくれました。

 ちなみに桐朋中高は、生徒と教員の距離が近いのも特徴です。2階のテラスで行うステージイベントには先生方が飛び入り出演することも。生徒によるパフォーマンス対決で審査員を務めるだけでなく、プログラムには「教員かくし芸」が組み込まれています。先生方がステージに登場すると、生徒のテンションも跳ね上がり、こうした明るい一体感は、同校ならではの雰囲気といえるでしょう。

 ほかにもゲームや演奏会など、桐朋祭のコンテンツは多彩です。そして、そのすべてが生徒主体で企画・運営されています。おそらく準備に際しては、意見の衝突などもあったでしょう。それでも互いに着地点を探り、イベントを成功させた経験は、桐朋生の一生の財産となるに違いありません。

凝ったレイアウトの鉄道模型は、男子校の文化祭の華。小さな子どもも食い入るように見つめます 校舎のはざまの屋台エリア。焼き鳥は塩とタレの2種類で、「かわ」「ねぎま」「もも」「つくね」を販売
クイズ研究部には、雑学好きな子どもたちが集合。早押しで幅広い知識を競い合っていました モクテルバーのメニュー表。照明を落とした教室内には、雰囲気たっぷりの粋なジャズも流れています

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