受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

School Now

(「23年7月号」より転載/23年6月公開)

光英VERITAS中学校・
高等学校

実験の授業や探究型の学びを充実させ
知的好奇心を刺激する理数教育を展開

 光英VERITAS中学校・高等学校は、2021年4月に現校名に変更し、共学校として新たなスタートを切りました。ラテン語で「真理」を意味する校名のとおり、同校では独自の学びを通じて生徒の「真理を探究する力」や「社会的課題を解決する力」を伸ばしています。今回は「英語・グローバル教育」「小笠原流礼法」とともに教育の柱とする「理数・サイエンス教育」について伺いました。

実験の手順から必要な器具まで
すべて生徒に考えさせる授業を実施

理科主任
笠牟田 勇人先生

 2021年度に校名を変更し、共学校として生まれ変わった光英VERITAS中学校・高等学校。建学の精神である「和」の下、「地球規模で考え、人・社会・自然に貢献する次世代リーダー」の育成をめざしています。また、すべての教科で課題解決のプロセスをトルネード(竜巻)のように繰り返し、「答えを求める学び」ではなく、「問いを持つ学び」を習得しています。この「ヴェリタス・トルネード・ラーニング」の一つとして、同校が力を注いでいるのが「理数・サイエンス教育」です。

 その狙いについて、理科主任の笠牟田勇人先生は次のように話します。「理系分野には数学や自然、物理など、世の中にかかわることがたくさんあります。世の中をきちんと知るためには、理数に興味を持つことが大切なのです。そこで、理科好きの生徒を増やしたいという本校の方針に基づき、理系分野の探究的な学びを拡充しています」

 理科は実験を重視し、年間に30〜40回は行っています。特別棟の2階には分野別に分かれた実験室を7室設置。生物室や化学室から物理室、中学専用教室までそろっているので、幅広い分野の実験が可能です。また、自然に囲まれた学校の敷地内では植物を採集できるため、顕微鏡で観察する授業なども数多く行っています。さらに、中1の段階から、教員の指導に沿って実験するだけでなく、生徒自身が実験の方法を考え、使用する器具も各自で準備するという授業を実施。教員は事前に各生徒の使う実験器具を把握しているため、ガスバーナーなど、扱いに注意が必要な器具を操作する際は、あらかじめ注意事項を伝え、安全を確保しているそうです。

生徒参加型の科学教室を通じて
理数のおもしろさに目覚めさせる

それぞれのグループが紙のプロテクターを使って工夫を凝らし、卵が割れないようにしながら落下させる「エッグドロップコンテスト」

 理科だけでなく、数学の授業にも理系を楽しむ要素が含まれています。生徒たちはiPad内のアプリ「ロイロノート」を使って、意見を共有したり、グループディスカッションをしたりしているので、わからない問題に直面したときには生徒同士で教え合うスタイルが定着しているといいます。「教員が1コマの授業で1人の生徒に指導できる時間は限られています。しかし、ロイロノートを使って生徒同士で教え合えば、長時間議論できます。また、他人に5のことを説明しようと思ったら、10を理解していないと十分にはできません。この方法の場合、教える側の生徒も理解が深まるのです」と笠牟田先生。高校では難度の高い計算にも取り組みますが、ロイロノートを通して「仲間と共有しながら一緒に取り組んでいる」という感覚が芽生えるため、がんばれる生徒も多いそうです。このほか、高校の理科では「人狼」のようなゲーム感覚の要素を取り入れて、楽しみながら学ぶことも重視しています。

 授業以外の理系関連の活動も盛んです。放課後には、科学部や理科教員の企画から始まったプログラム「誰でもサイエンス」を年間5〜6回開催しています。これは中学や高校、学年の枠を超えて、誰でも参加できる理科実験のイベントです。過去に実施したのは、科学マジックや科学クイズを一緒に行う「わくわく科学教室」、校舎の4階から卵を割らないように落とす方法を工夫する「エッグドロップコンテスト」など。こうしたイベントを通して、生徒は実験で仮説を立てることや検証することの大切さを理解していきます。これに加え、生徒の論理的思考力を養成するほか、理数に対する興味・関心を学内に広める効果もあります。「『誰でもサイエンス』には毎回50名ほどが集まります。生徒たちはみんな楽しそうに実験に取り組み、理系に親しみを感じているのが伝わってくるので、教師としてもうれしく思います」と笠牟田先生は話しました。

 また、こうしたイベントに一役買っているのが科学部の存在です。「わくわく科学教室」は科学部の生徒が企画から運営までを手掛け、実験を見せたり、説明をしたりしています。中学受験生向けの学校説明会の体験教室では、科学部の生徒が実験を通して来校した小学生と触れ合うことも。この体験授業への参加で科学部にあこがれ、同校に入学した在校生もいるそうです。

東京理科大学と連携協定を結び
大学の理系の学びを取り入れる

入学前は理科が苦手だった生徒も、理科の授業や「誰でもサイエンス」などを通して、好きな教科になったというケースも多いようです

 自主的な理系の活動としては、数学検定などにチャレンジする生徒もいます。昨年は高1で数検2級に合格した生徒がいました。また、高2・3では探究活動の一環として、1年から1年半かけて自分の好きな分野に挑戦できる「個人探究」も用意しています。ジャンルは文理を問わず、自由に決められるため、音楽や心理学などを研究する生徒もいるとのこと。笠牟田先生は「科学教室などの取り組みから、サイエンスの楽しさを知った多くの生徒たちに、ぜひ理系分野で個人探究してほしい」と期待しています。

 2020年4月には、東京理科大学と連携協定を締結。大学教員による模擬授業を行うほか、探究の授業に同大学の教授や学生を招き、中高生にとって興味深い理系分野をテーマにした話を聞く機会なども設けています。このほか、連携企画として「全国学芸サイエンスコンクール」「数学甲子園」などのコンテストにも参加しています。大学の研究室訪問なども企画中です。

 さらに、校長の川並芳純先生が「今年は理数教育に一層注力する」と話しているように、実験設備を拡大する予定です。今後は、より高度な実験も行えるように、3Dプリンターや養蜂場、プログラミングロボット、360度カメラといった設備をそろえ、中身の濃い理数サイエンス教育を推進していきます。こうした活動は進路にも影響し、近年は理系の学部への進学者が増加しています。2023年春には東京大学理科一類に合格・進学した生徒もいます。教育プログラムから設備まで整い、ますます理数教育の拡充が期待できそうです。

《学校のプロフィール》

光英VERITAS中学校・高等学校

所在地
 〒270-2223 千葉県松戸市秋山600
 北総鉄道「北国分」「秋山」駅より徒歩10分
JR「松戸」「市川」駅よりバス20分
TEL 047-392-8111
フリーアクセス 0800-800-8442
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《各種行事日程のお知らせ》

学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。
https://www.veritas.ed.jp/admission/jhs/info_session.html

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