受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

School Now

(「23年8月号」より転載/23年8月公開)

上野学園中学校・
高等学校

文化や学問の中心地・上野の地の利を生かし
知的好奇心を刺激する探究学習を展開

 JRほか上野駅から徒歩約8分の場所に立地する上野学園中学校・高等学校は、今年で創立119年を迎える伝統校です。美術館や博物館をはじめ、文化施設に恵まれた好環境を生かし、生徒の「なぜ?」という気持ちを大切にしたフィールドワークを実践しているほか、独自のグローバル教育やICT教育も展開しています。今回は校長の吉田亘先生に、同校の教育全般について伺いました。

上野の文化施設を巡るフィールドワークや
プロから学ぶ多彩な放課後講座を実践

校長 吉田 亘先生

 1904(明治37)年に開校した上野学園は、「自覚」という建学の精神の下、「責任感と創造性をもって、自らを世に問い、前向きに努力できる人材の育成」をめざしています。

 2020年に校長に就任した吉田亘先生は、変化の激しい時代に対応し、「自分をしっかり持つ」ことや、「多様な経験をする」ことを大切にしていると言います。そこで、同校では中1・2の段階から本格的な探究学習を実施しています。その代表的なプログラムが、中学3年間で実施する「上野公園フィールドワーク」です。これは、同校周辺にある上野公園や動物園、博物館や美術館など、多彩な文化施設を訪問し、そのときに感じた疑問について探究していくというものです。中1では上野公園や国立科学博物館を訪れ、理科や社会のフィールドワークを展開し、テーマ設定から情報収集、見学、レポート作成、発表までを通して、課題発見力やプレゼンテーション力を養います。中2では、上野を中心に台東区の文化や歴史に目を向け、グループワークを実施。中3では、中1・2での経験を生かし、1年がかりで「卒業論文」に取り組みます。吉田先生は「上野は芸術や文化、歴史、産業など、すべてにおいて探究学習には絶好のロケーションです。生徒の『なぜ?』という気持ちを大切に、知的好奇心を刺激しながら活動を行っています」と説明しました。

 もう一つの特徴的な探究活動が「放課後チャレンジ講座」です。「生徒たちに、さまざまなことに『わくわくしてほしい』『チャレンジしてほしい』という思いから、わたし自身が発案しました」と吉田先生。講座は、STEAM、(ART、アカデミック、文化/国際、デザイン、コミュニケーション)全系統23種類がそろい、生徒は自分の興味に応じて選択します。たとえば、ARTでは「バイオリン」を楽しめる講座、文化/国際では「茶道」や「華道」、デザインでは映画監督を招いて指導を受ける「映画作成」や、声優を講師に迎える「ボイスドラマ」など、幅広いジャンルの講座があります。吉田先生は「放課後チャレンジでおもしろいのは、中1の隣に高3がいるところ。全学年が一緒に受けるので、学年の枠を超えて楽しむという魅力があり、同学年のみの授業とは違う交流もできます」と話します。また、こうした講座を受けた生徒たちが、今後文化祭をつくり上げたり、高校での探究テーマを進めたりするときに、この経験をどう生かすのか期待をかけているそうです。

外国人観光客にみずから英語で話しかけ
語学力やコミュニケーション力を上げる

 グローバル教育に力を注いでいるのも同校の特色です。なかでも独自の取り組みとして注目されるのは、中1・2で行う「Trip to Asakusa」です。これは、浅草に足を運び、外国人観光客に英語でグループインタビューを行うというものです。「何を伝えたいのか」をしっかり考え、学んだ英語を生かし、楽しみながら語学力やコミュニケーション力を磨いていきます。吉田先生は「外国人に英語が通じれば大きな自信につながります。そうした経験を重ねて、生徒には自己肯定感を高めてほしいのです」と話します。また、建学の精神の「自覚」とは「将来につながる自分の価値や可能性を知ること」でもあります。失敗も数多く経験して、次の取り組みに生かし、挑戦を繰り返すことで、自己肯定感とともに「自覚」も芽生えてくると説明します。このほか、中2では福島県の「British Hills」でオールイングリッシュの2泊3日を過ごし、中3のEnglish Campではグループに分かれ、外国人講師からそれぞれレッスンを受けて英語での発表に挑戦します。

 1人1台のiPad配布やICTルームの装備など、ICT環境も充実させています。同校では新型コロナの流行以前からiPadの配布や、教室内のプロジェクターの設置、全館のWi-Fiの整備などを進め、アクティブラーニング型の学習を行ってきました。授業では、ロイロノートを使って、生徒の意見や解答を共有し、意見比較に利用したり、家庭学習で発生した疑問を気軽に教員に発信できるようにしたりするなど、ICTをさまざまなシーンで活用しています。

放課後チャレンジ講座の「英会話チャレンジ」は、ネイティブ講師が担当。この日の英会話は飲食店でのオーダーのシーンでした

プログラムが組み込めるレゴ®を用いたプログラミング講座。「何のためのプログラミングなのか」を、生徒たちは楽しみながら理解していきます

学習習慣はしっかり定着させながら
好きなことや得意分野を伸ばす教育を

 同校は、高校に全国初の音楽科を設置した学校としても知られています。そうした歴史もあり、中学の全教室にグランドピアノが整備され、音楽科以外にも全国的な音楽関連のコンクールへの出場経験者などが入学し、休み時間にはいろいろな生徒がそのピアノを弾くなどしています。日常的に音楽に触れられる環境は、自然と情操教育にもつながっているそうです。

 このほか、校舎は15階建てのビルなので、校内で中1から高3までが接する機会は自然と多くなります。吉田先生は「これはとても大事なことです。学年によって役割分担があるわけではないのですが、放課後チャレンジにしても、学校行事にしても各学年の生徒はバランスよく自分の居場所を確保しています」と語ります。

中2で行う「鎌倉フィールドワーク」では、外国人観光客のための避難誘導対策について探究。現地に足を運び、課題の発見・解決に取り組みます

 また、上野学園で過ごす中高6年間について、吉田先生は「何事にも好奇心を持って取り組み、好きなことや得意分野を見つけ、その力を伸ばしていくことを願っています」と話します。一方で、「学習習慣を定着させること」が最も大切だと強調。その一環として、放課後には自習スペースとして最大120席を開放し、大学生のチューターが常駐して学習サポートも行う「放課後自習」を実施しています。

 最後に、吉田先生は受験生とその保護者に、「わくわく、どきどきするような6年間を送りたい人は、ぜひ本校を志望校の一つとして検討してみてください。本校には、生徒が主体になってさまざまなことにチャレンジできるような環境が整っています」とメッセージを送りました。

《学校のプロフィール》

上野学園中学校・高等学校

所在地
 〒110-8642 東京都台東区東上野4-24-12
 JR山手線・京浜東北線・宇都宮線・高崎線・常磐線、東京メトロ銀座線・日比谷線「上野」駅より徒歩8分、京成本線「京成上野」駅より徒歩10分、つくばエクスプレス「浅草」駅より徒歩12分 TEL 03-3847-2201
H P www.uenogakuen.ed.jp 別ウィンドウが開きます。

《各種行事日程のお知らせ》

学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。
www.uenogakuen.ed.jp/exam/event/event.html

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