受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

School Now

(「23年10月号」より転載/23年9月公開)

共立女子
中学高等学校

強みを生かしながら他者と協働
学園全体で育てる「共立リーダーシップ」

 女子教育の先覚者34名によって、1886年に設立された共立女子中学高等学校。「それぞれの強みを生かし、チームで目標を達成する」という精神が根付いており、昨年度からは「共立リーダーシップ」と銘打ち、学園全体で実践に向けた取り組みが始まっています。今年度からは、高2で企業と連携した課題解決型の選択授業がスタートしました。その様子をレポートするとともに、授業を担当する金井圭太郎先生に話を伺いました。

一人ひとりが発揮できる
リーダーシップを実践的に学ぶ

国語科教諭・広報部主任
金井 圭太郎先生

 共立女子中学高等学校が掲げる「共立リーダーシップ」とは、特定のリーダーがほかの人たちを引っ張るのではなく、一人ひとりが個性を発揮しながら他者と協働する21世紀型のリーダーシップを意味しています。

 「共立女子は、34名が共同で設立した学校であることから、みんなで協力して一つの目標に向かうという校風が、今も受け継がれています。生徒たちは目標を立て、自分ができることを考えて実行し、メンバーが行動しやすい環境をつくることで、課題を解決していく方法を学んでいます」と、広報部主任の金井圭太郎先生は話します。

 中1から高2の探究学習では、昨年度から共立女子大学ビジネス学部のプログラムを中学生向けにアレンジした「共立リーダーシップ開発」をスタートさせました。中1・2は、自分や仲間のリーダーシップ(強み)を発見し、中3・高1は、身近なことから社会の諸問題までに対して、他者と協働して自分らしい答えを導き出す力を養っていきます。「リーダーシップ開発プログラムは、もともとビジネス界から始まり、大学の経済学部などに広がった考え方ですが、中高生の学校生活にも非常に役立つものです。このスキルを生かして、行事や部活動などにおいても、良い影響を与えられる人になってほしいと思っています」と金井先生は言います。

 さらに今年度からは、高2の希望者を対象とした「共立探究実践」の授業が始まり、リーダーシップ開発のより実践的な学びを深めています。「中1から高1までの4年間で学んだことを土台にしながら、企業の方をお招きし、現実的な課題に向き合う実践力を磨いていきます。わたしは共立女子大学でもリーダーシップ開発の授業を担当しているのですが、高2の授業は大学とほぼ同レベルの内容です。それでも生徒たちはしっかり理解して自発的に学んでいます」

役割を意識することで
発展的な議論につなげる

グループディスカッションでは、それぞれの役割を意識しながら、意見を出し合います。話すのが苦手だった生徒も、次第に慣れて積極的に参加しているそうです

 「共立探究実践」の授業は、週に1回、通常授業後の7時間目に行われています。当初の予想よりも希望者が多かったため、2クラスに増設されました。金井先生は、「生徒たちのなかで、リーダーシップは重要なものだという感覚が芽生えてきた」と、手応えを感じています。

 夏休みをはさんで、授業が前期と後期に分かれているのも特徴です。前期はさまざまなグループワークを通じて、課題解決に必要なコミュニケーションスキルの向上を図ります。そして後期は、企業の具体的な課題について解決法を考えていきます。

 取材に訪れた日は、前期最後となる9回目の授業が行われていました。前期の授業では、毎回異なる課題の対応策についてグループで議論し、最後に全員でその意見を共有します。

 まずは、これまであまり話したことがない、他クラスなどの生徒同士で4〜5人のグループを作り、自己紹介を行ってから、議論を始めます。どの生徒もためらうことなく、スムーズにグループの輪に入っていました。今日のグループディスカッションのテーマは、「プロジェクト活動の主要課題」について。チームを組み、何か目標を達成したいというときには、さまざまな問題が発生することがあります。今回は、「負荷の偏り」「議論の不活性」「メンバーの欠如」「やる気の差」という四つの課題の解決法について、グループで話し合うことになりました。

 与えられた時間は15分。時間内に意見をまとめるのは容易ではありません。ここで大いに役立つのが、「リーダーシップスタイルカード」です。カードには、「先駆者」「司会者」「航海士」「補強者」「応援者」「提案者」という、グループディスカッションで力を発揮する役割が書かれており、ほかの人と重ならないように自分の役割を決めることで、議論が発展的に進んでいきます。自分の得意な役割だけではなく、時には苦手な役割を担当することで、自分の新たな力を発見する生徒もいると言います。

 最後にグループごとに発表を行い、意見を共有します。「『負荷の偏り』をなくすには、負担が大きい人が助けを求めやすい、楽しい雰囲気をつくるとよいのでは」「話し合いに加わらない『メンバーの欠如』を防ぐには、思わず参加したくなるスタンプカードをつくってみては」など、どのグループからも積極的な意見が出されました。

主体的に物事にかかわり
自己有用感を高める

 「前期の授業を通して、生徒たちのコミュニケーション力は格段に向上しました。知らない人ともスムーズに話せるようになったという生徒や、もともと自分の意見でぐいぐい引っ張るタイプだったが、みんなの意見を引き出せるようになれたという生徒もいます」と金井先生が話すように、生徒たちは着実に成長しているようです。これから始まる後期の授業では、いよいよ企業の課題解決に取り組みます。「高校生らしい視点で、積極的に提案をしてほしい」と、期待を寄せています。

授業で大切にしているのは、人の意見を否定せず、拍手などで反応すること。どんな意見でも受け入れてくれるという安心感が、発言のしやすさにつながっています

 金井先生は、リーダーシップのスキル習得について、次のように話します。「チームを組んだときに、自分がほかの人に良い影響を与え、喜んでもらったり、良い結果を残したりすることで、自己肯定感や自己有用感を高めることができます。また、何か問題が起こったときに、ただ批判するのではなく、リーダーシップを発揮して、その解決策をみんなで考える力を養うことは、将来どの道に進んだとしても、役立つものだと思います」

 中高6年間で「共立リーダーシップ」を身につけた生徒たちは、今後活躍の場を大きく広げていくことでしょう。

《学校のプロフィール》

共立女子中学高等学校

所在地
 〒101-8433 東京都千代田区一ツ橋2-2-1
 東京メトロ半蔵門線、都営三田線・新宿線「神保町」駅より徒歩3分
東京メトロ東西線「竹橋」駅より徒歩5分
JR「水道橋」「御茶ノ水」駅より徒歩15分
TEL 03-3237-2744
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《各種行事日程のお知らせ》

学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。
https://www.kyoritsu-wu.ac.jp/chukou/exam/opencampus/

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