受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Spotlight

(「23年8月号」より転載/23年7月公開)

香蘭女学校
中等科・高等科

「放課後サイエンス」をきっかけに研究を開始
興味・関心を生かす環境を存分に活用

 「祈りのうちに自らを育む」「薫りをはなて とりどりに」「『いのち』に寄り添い、慈しむ」を教育理念に掲げる香蘭女学校中等科・高等科。教員が生徒一人ひとりに寄り添い、やりたいことをサポートする環境があります。自分で決めたテーマの研究を学校外でも発信している高等科3年の加藤乃絵奈さんと、入試広報室長の桜井千枝先生にお話を伺いました。

自分なりのアプローチで環境問題に取り組み
企業の協力も得て本格的な研究を進める

自然に恵まれたキャンパス。築山では授業で自然観察も行います  加藤さんは中2のときに、「放課後サイエンス」というプログラムに参加。これは希望者を対象に、理科の教員がテーマと基本的な実験の方向性を決めて講座を開き、生徒がグループで話し合いながら実験に取り組むものです。「小学生のときから理科が好きで、毎年自由研究に力を入れていましたが、このプログラムで『自分で考えて進める実験は楽しい』と実感しました」と話します。

 この経験をきっかけに、加藤さんは興味を持っていたSDGsに関する研究を始めました。中3の卒業論文では、健康食品やジェット燃料などに活用されているミドリムシを調査。高1では、商品にならない野菜を使って染色した廃棄残布で洋服を作り、売り上げの5%を農家に還元するという課題解決プランを考えて、「SDGs QUEST みらい甲子園」などにグループで出場しました。

 そして高2の4月、水にかかわる研究に挑戦する中高生を対象とする「マリンチャレンジプログラム」に参加。書類選考を通過し、関東大会で優秀賞を受賞して全国大会に出場したため、研究資金の助成と研究アドバイザーによるサポートを1年間受けることができました。

 テーマは「藻の生物利用による物質生産~光合成の出来る繊維製品の開発の可能性を探る~」。加藤さんは、「アフリカのビクトリア湖で藻が大量発生したというニュースを見て、邪魔者扱いされているものを環境に良いものに変えられないかと考えました」と説明します。大会を通じて出会った企業の方の紹介によって、信州大学繊維学部の先生から繊維生成のアドバイスを受けたり、岐阜県の繊維会社に研究をサポートしてもらったりと、開発の実現に向けて動いています。現在は大学受験のためにいったん中断している状態ですが、さまざまな方の協力を得て、今後もこの研究を続けていくとのことです。

「得意なものよりも好きなもの」
学校が生徒の挑戦する気持ちを後押し

化学・生物・物理の三つの実験室があり、週に1時間は実験をします

 進路については、「ものづくりにも生かせる生命理工学を学びたい」と考えている加藤さん。実は国語が得意で、数学は苦手なのだそうですが、「得意なものよりも好きなものを選びたい」と自信を持って言います。その姿勢には、生徒の興味や関心を引き出し、できることは自由にやらせてくれるという同校の環境も影響しています。

 桜井先生は次のように話します。「学校の勉強だけにとらわれず、自分の好きなことに打ち込む時間がとれるのも本校の良さだと思います。学校のプログラムが興味のきっかけになることも多いので、生徒が『やってみよう』と思えるように後押しをしています」。加藤さんは、化学・生物・物理の三つの実験室を研究に使用し、夏休みなど長期休暇の際にも使わせてもらったそうです。

 最後に加藤さんは、受験生に次のようなメッセージを送りました。「香蘭にいると、130年以上受け継がれている香蘭生の香りを感じます。自然豊かな環境の下、先生方が自分のやりたいことを応援してくれるので、安心して過ごせる空間です。偏差値だけではなく、学校の雰囲気をよく見て、志望校を選択してほしいと思います」

《学校のプロフィール》

香蘭女学校中等科・高等科

所在地:〒142-0064 東京都品川区旗の台6-22-21
TEL:03-3786-1136

Information

学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。
https://www.koran.ed.jp/admission/briefing/

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