受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Spotlight

(「23年9月号」より転載/23年8月公開)

法政大学第二
中・高等学校

体験重視の探究型学習を実践し
“将来の主権者としての基本”を獲得

 法政大学第二中・高等学校は、法政大学の「自由と進歩」の学風の下、将来を見据えた10年一貫教育を実践しています。特に力を注いでいるのが、6万5000冊の蔵書数を誇る図書館「而生館」を拠点に展開される、体験重視の探究型学習です。大学へと続く学びの土台を強固にしていくさまざまな取り組みについて、司書教諭の深澤佳世子先生とメディアセンター担当の村上愛先生に伺いました。

中1で情報収集の基本を学び
6年間を通した探究の基礎を習得

大学受験にとらわれない中高大の10年一貫教育で「国際社会における主体者としての資質」を養います

 「将来の主権者としての基本を獲得し、多様化する社会及び課題に対して、他者と共同・協力しつつ、自分たちの未来を自ら切り開いていこうとする生徒」の育成をめざす同校では、実物に触れて興味・関心と問題意識を喚起する「主体性」、話し合って仲間と共に取り組む「共同性」、教科の枠組みを超えて思考する「総合性」を柱とした学びを実践しています。

 この三つを横断的に伸ばすために、積極的に取り入れているのが探究型学習です。中1・3で「総合」の時間を週1コマ設定し、6万5000冊の蔵書数を誇る図書館を活用しながら、生徒たちはそれぞれの課題に取り組みます。「本校の図書館はただの『読書の場』ではなく、情報収集機能を兼ね備えた『調べ学習の場』です」と話すのは司書教諭の深澤佳世子先生です。6年間を通して取り組む探究活動の入り口として、中1では図書館の利用ルールや資料の検索の仕方、オンラインデータベースへのアクセス方法など、情報収集の基本をひと通り学びます。そして、「自己紹介の代わりになる本を選ぼう」「住んでいた町について調べよう」というテーマに取り組みながら「素材を探し、構成を練り、発表を行う」という探究活動の一連の流れを習得していきます。

考察を中心とした「型」を重視
思考力・分析力・表現力を伸ばす

メディアセンター担当の村上愛先生(左)と、司書教諭の深澤佳世子先生(右)  中1で学んだ基礎を生かし、中3では4人1組のグループで、研修旅行の行き先である広島をテーマにしたプレゼンテーションづくりに取り組みます。メディアセンター担当の村上愛先生は「ここで最も大切にしているのは、①目的、②事実提示、③考察、④対策提示から成る四段構成です。汎用性が高いこの『型』を、生徒たちに身につけてほしいのです」と説明しました。

 また、つまずきやすいポイントについて、深澤先生は「大半の生徒は、事実提示まではできますが、そこからの考察が難関です。情報を整理・比較し、共通項を抽出した後に、『自分はどう考えるのか』に向き合うのが難しいからです」と指摘します。

 そこで、「もっと自分たちの考えを出して」と指導すると、生徒たちは考察をさらに掘り下げ、発表当日のアウトプットを劇的に改善させるそうです。その内容の質の高さには目を見張るものがあります。「何より、他グループの発表を見て『自分の班はここが足りなかった』『あの班のここが優れていた』と学び合う姿がよく見られるようになりました。そのように成長しているのがうれしいのです」と村上先生は笑顔を見せます。

 生徒たちはここで身につけた「型」を生かし、他教科でのグループワークにも積極的に取り組んでいます。深澤先生は「受験勉強にとらわれず、探究活動にじっくり取り組めるのは付属校の強みです」と述べたうえで、「物事を主体的に考える習慣は、誤った情報に流されない“将来の主権者”に不可欠なものです。今後も探究活動を通して、課題解決につながる思考力・分析力・表現力を伸ばしていきたいと考えています」と結びました。

《学校のプロフィール》

法政大学第二中・高等学校

所在地:〒211-0031 神奈川県川崎市中原区木月大町6-1
TEL:044-711-4321

Information

学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。
https://www.hosei2.ed.jp/admission/event/exp_jhs

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