受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Spotlight

(「23年11月号」より転載/23年10月公開)

横浜女学院
中学校高等学校

英語力と批判的思考を養う「CLIL」
生徒が立ち上げたイベントも活況

 横浜女学院中学校高等学校では、「キリスト教教育」「学習指導」「共生教育」の三つを柱にして、国際的な視野を持ち、社会に貢献できる女性の育成を行っています。その代表的な取り組みの一つが、国際教養クラスで導入されている「CLIL」です。「英語で学ぶ」を重視した具体的な内容について、英語科主任の鯉渕健太郎先生と生徒2名に伺いました。

全世界共通の課題を取り上げ
“当たり前を疑う”授業を実践

「Learning by Teaching」への参加は、主体的に学ぶきっかけになります

 横浜女学院中学校高等学校では、中学入学段階から「国際教養クラス」と「アカデミークラス」に分けて、特色あるカリキュラムを実践しています。なかでも特徴的なのが、「国際教養クラス」の中3~高2を対象に導入されている内容言語統合型学習「CLIL(Content and Language Integrated Learning)」です。同校ではこの「CLIL」を一つの授業として設定し、「多文化共生」「多言語主義」「ジェンダー平等」など、全世界が抱える課題について、オールイングリッシュのディスカッションやグループワークを通して深く学んでいます。

 実際に授業に参加する高2の関口呼幸さんは、「CLILの授業を受けることで、英語学習へのイメージが変わった」と語ります。先生が黒板に書いた文法事項や例文を暗記するという従来のスタイルとは異なり、「グループワークを通して、クラスメートと協働しながら互いに学び合える授業形式がとても刺激的だから」と、関口さんは続けます。

 また、議論のテーマも、生徒たちがさまざまな角度から意見を述べられるように工夫されています。「取り上げるテーマは“当たり前を疑う”というメッセージが込められたものばかりです。自分にはなかった視点を知ることができ、いつもはっとさせられます」と語るのは高1の石井志歩さんです。たとえば、「幸福」を取り上げた回では、フィンランドは世界幸福度ランキング1位の国として知られるものの、実は自殺死亡率が高いことや、フィリピンは貧困率は高いものの、自殺死亡率が低いといったデータをもとに、「幸せとは何か」をディスカッションしたそうです。その狙いについて、英語科主任の鯉渕健太郎先生は次のように語ります。「生徒たちには、データから事実を導き出し、それを分析する批判的思考力を身につけてほしいと思っています。その過程で英語を使うことで、より実践的な英語力が身につくと考えています」

CLILの教育メソッドに感化され
生徒みずから英語学習イベントを開催

希望者は短期留学プログラムへの参加も可能。CLILで培った英語力を試す絶好の機会です  こうした刺激的な授業を受けるうちに、関口さんはCLILのメソッドに興味を持ち、「自分も教える立場を経験してみたい」と考えるようになりました。そこで、みずから「Learning by Teaching」という英語学習イベントの発起人となり、「英語で授業をしたい生徒」と「授業を受けたい生徒」を募り、これまでに4回の開催を実現しました。石井さんも教える側として参加したそうです。2人はこのイベントについて、次のように感想を述べました。

 「先生役の生徒は、他人に教えることで自分の理解を深められますし、授業を受ける生徒にとっては、英語学習に興味を持つきっかけになります。これからも工夫を重ね、より良いイベントにしていきたいです」(関口さん)

 「先輩と一緒にイベントを開催するなかで、運営のノウハウを含め、多くのことを学びました。ここで得たものを、さらに後輩につなげていきたいです」(石井さん)

 生徒の意欲的な活動について、鯉渕先生は「CLILに刺激を受け、みずから成長してくれるのは非常に喜ばしいこと」と前置きしたうえで、「CLILに限らず、学校全体がどんどん新しいこと、おもしろいことを取り入れようと動いています。受験生の皆さんは、ぜひそうした取り組みに注目してください。本校には、皆さんの可能性を広げる楽しい学びがたくさんあります」と締めくくりました。

《学校のプロフィール》

横浜女学院中学校高等学校

所在地:〒231-8661 神奈川県横浜市中区山手町203
TEL:045-641-3284

Information

学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。
https://www.yjg.y-gakuin.ed.jp/examinees/schedule.php

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