全力を出し切った娘に喝采を
「兄が通うサピックスに、私も行ってみたい!」。入室のきっかけは、小学3年生だった娘の軽い好奇心だったと思います。ところがいざ通塾が始まると、娘は早々に家庭学習が嫌になってしまいました。やる気のない態度に家庭内の雰囲気は悪くなり、なんのために中学受験をするのかわからなくなっていました。私は受験をやめたほうがいいのではないかと悩み、先生に相談すると、意外にも「本人がやめたくないのなら大丈夫。どのコース帯だったとしても、最後までやり切れたら結果はついてきます」とおっしゃいました。その言葉を聞き、塾には通いたいけれど勉強はしたくない娘の意思を尊重することにしました。こうして5年生の1年間は、形ばかりの家庭学習となり、ただただ楽しくサピックスに通うことになりました。成績は下位コースで安定しましたが、家庭内の平和も安定するようになりました。
そして、6年生。授業内テストによるクラス昇降が始まると、娘の様子が変わっていきました。クラスメートが自分よりずっといい点数を取っていることに衝撃を受けたようです。デイリーチェックは、点数が書かれている右上の角が小さく折りたたまれて、持ち帰ってくる日々が続きました。少しずつ自ら家庭学習に取り組むようになり、ついにずっとわからないまま放置していた単元を、夫や3歳年上の兄に質問するようになりました。娘とテキストを真ん中に、家族でわいわい問題を考える時間はとても楽しく、4年生の時のことを思えば、感動的な時間でした。秋の保護者個別面談で、先生から「もっと問題に食らいついていくように」とアドバイスを受けると、その後は成績が飛躍的に伸びました。
それでも、熱望校の合格は叶いませんでした。娘は「私、頑張った。頑張ったよ! 頑張ってもダメなこともあるの?」と言って泣きました。その夜は、二人で抱き合って泣きました。
読書は大好きでしたが、興味関心の幅が狭く、およそ中学受験に向いていなかった幼い娘は、気がつけば身長も伸び、友人トラブルや自分自身との闘いを経て、人生初の入学試験に挑みました。全力を出し切った、と胸を張って試験会場から出てきた娘を誇りに思います。先生の言う通り、最後まで中学受験を走り切った娘には、自ら勉強に向かい努力する過程において、自分を律することや苦手に向き合うこと、勉強の楽しさや感謝の気持ち、思いやりなど、多くの“結果”がついてきたと感じています。
今はまだ、熱望校の不合格に娘の心はチクチクと痛んでいるようですが、試験後「4科すべて、よくできた。私のために作られた問題なのかと思った」という学習院女子中が、きっと娘の運命の学校なのだと思います。
息子の通塾と合わせて6年間、細やかにあたたかくご指導くださった先生方に、心より感謝申し上げます。