「自己知」と「社会知」にフォーカスした
生徒の「志」を見つけるキャリア教育
広野 貴校では、英語と科学に特化した校内施設「イングリッシュアイランド」「サイエンスアイランド」を他校に先駆けて整備しました。また、コミュニケーション能力やサイエンティストとしての素養を磨く「総合知」のプログラムを体系的に展開したりと、ハードとソフトの両面で先進的な取り組みを行っていらっしゃいます。その狙いを教えてください。
高桑 本校では、子どもたちの知的好奇心を刺激する学習環境やカリキュラムを充実させることで、生徒の「志」を育てたいと考えています。「志」には、「心に決めた思いや目標」という意味のほかにも、「厚意」や「感謝」など、「相手のためを思う気持ち」という意味があります。学びたい学問、行きたい大学、就きたい職業など、“なりたい自分”を見つめる内向きの力。そして、自分の強みを、他者や社会に生かそうとする外向きの力を「志」ということばに集約し、その双方を伸ばすことを目標としています。
西川 たとえば、わたしが担当する中1の道徳の授業では、「あなたたちは、それぞれに『志』の種を持っている。今はまだその存在に気づいていないかもしれないけれど、山脇での学びや経験、出会いのなかで、それを大切に育てていこうね」と話しています。自分がやりたいことは何なのか、それをどのように社会に役立てていくのかを考え、実行に移すことが、本校がめざす教育のゴールです。
広野 その「志」を見つけるための仕掛けとして、中学の段階からさまざまなキャリア教育を行っていらっしゃいますね。
高桑 中学入試の競争が高まっている影響か、中学に入学して間もないタイミングで、保護者の方から「次は大学受験に向けて何を準備したらいいですか」という質問をいただくことがあります。しかし、中学の3年間は、大学入試を心配することよりも、まず「自己知」と「社会知」の理解を深めることのほうが大切だと考えています。
「自己知」とは、自分がどの分野に興味があり、どの職業に向いているかを考えること。そして「社会知」は、世の中にはどのような仕事があるのか、働くとはどういうことなのかを知ることです。そこを確立しなければ、具体的なキャリアビジョンは描けないからです。
西川 中学生のうちから、さまざまな業界で活躍する社会人から講話を聞く機会を多く設けています。卒業生はもちろんのこと、中2の「企業フォーラム」では、社会の第一線で働く保護者の方にもご協力いただき、労働の意義や、やりがいについて語っていただきます。先日は、高大連携協定を結んでいる法政大学総長のダイアナ・コー氏をお招きして、女性のキャリアをテーマに講演していただきました。講演後は質疑応答の時間も設け、生徒たちは、女性としての生き方やワークライフバランスの在り方、そしてジェンダーギャップをはじめとする社会課題について、あらためて理解を深めることができたようです。
今年度は82大学162学科に進学
進路は絞らず「広げる」ことが重要
広野 それらのキャリア教育によって、生徒たちに変化はありますか。
西川 これまでは、どの大学に行きたいかを先に決めて、やりたいことは後から見つける、という生徒が多かったように思います。しかし最近は、やりたいことが先にあって、「どの大学ならそれが学べるか」という視点で志望校選びをする生徒が増えてきたと感じています。
高桑 それを裏付けるように、今年度の卒業生は82大学162学科に進学しています。また、それぞれの大学の所在地を見ても、海外大学のほか、北は北海道から南は九州まで、全国に広がっているのが特徴的です。
広野 大学の立地や知名度にとらわれず、自分のやりたい学びに真摯に向き合っている証拠ですね。
高桑 今までの進路指導というのは、まずは文系か理系かを選択し、次に希望学部を決めて、最後に大学を決めるという、選択肢を“絞る”手法が主流でした。しかし、わたしたちが今、生徒たちに伝えているのは、「やりたいことをどんどん広げていこう」というメッセージです。「あれもやってみたい」「これもやってみたい」と、いくつもの点を打っていくと、それらがやがて線となり、自分の進路の具体像が浮かび上がってきます。そのように、いろいろな道を提案しながら、生徒たちの進路の幅を広げていくことがわれわれの使命だと考えています。
広野 生徒一人ひとりの関心を大切にした探究活動にも力を入れていらっしゃいますね。
西川 はい。本校では、中1~2の間は全員がスタンダードクラスで学びますが、中3からは、人文・社会科学分野に興味のある生徒は「リベラルアーツチャレンジプログラム」へ、自然科学分野に興味のある生徒は「自然科学チャレンジプログラム」へと進み、それぞれが自分のテーマを見つけて探究活動に取り組みます。高1になると、「リベラルアーツ」「国際教養」「サイエンス」の三つのなかから自分の進みたいコースを選択し、中学での探究活動をより深めていきます。
広野 高大連携の動きも盛んですね。
西川 代表的なプログラムとしては、芝浦工業大学でのサマーインターンシップをはじめ、東京農業大学での学び体験会、法政大学でのSDGsフィールドワーク、東京慈恵会医科大学での医学部体験講座などがあります。生徒たちは、みずからの興味・関心に向かって学び進める探究活動と、本格的な学問に触れる高大連携の両輪によって、自分だけの「志」を育てていくのです。
SSHが3年目を迎え、理系志望者が増加
研究者へのあこがれが学びの原動力に
広野 貴校は2024年度からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に認定されています。特徴的な取り組みを教えてください。
西川 たとえば、医学・生命科学分野の大学の先生方と企業の協力で実現した「Project 4H」では、「Human(人々の健康)」「Planetary Health(地球の健康)」「H₂O(地球と生命の財産である水)」「Hope(未来の希望)」の四つのHを軸に、科学のおもしろさや日常生活とのつながりを学べる体験型のプログラムを展開しています。
2025年度は、中学生向けにフェムテック(女性特有の健康課題をテクノロジーの力で解決するための製品・サービス)や脳の仕組み、水に関する研究など、10回にわたって出張講義をしていただきました。本校の生徒や保護者以外に、先日は連携を結んでいる芝高校の生徒さんもお招きし、男子生徒の視点を交えた意見交換を図ることができました。
広野 それはすばらしい試みですね。このプログラムは、医学部をめざす生徒たちが対象なのでしょうか。
西川 いいえ。希望進路に関係なく、誰でも参加可能です。医学というのは、さまざまなフィールドとつながっている学問です。この講演を聞いた生徒が、「医学部に進む以外にも、医療に貢献する道はこんなにたくさんあるのか」と気づいてくれたらうれしく思います。
広野 SSHが3年目を迎え、生徒に変化はありますか。
高桑 理系研究者と接する機会が増えたことで、自分のテーマに黙々と向き合う研究者にあこがれを持ち、「おもしろそう」「自分もやってみたい」と、理系科目への学習意欲が高まってきたと感じます。その影響か、現在では高2の半数以上が理系志望者です。2025年度から中学入試で「理数探究入試」を新設したこともあり、今後もその数は増えていくだろうと見ています。
広野 SSHでの経験や探究学習の成果を武器に、総合型選抜などで希望進路を実現させる生徒も多いのではないですか。
高桑 今年度はサイエンスコースの生徒が一人、総合型選抜を利用して東北大学に合格しました。彼女は、ご両親の影響からコンクリートに興味を持ち、インターンシップに参加した芝浦工業大学の協力を受けながら、「使い捨てマスクなどの廃材を混ぜることで、環境に優しく、高強度のコンクリートが実現できないか」と研究を続けていました。「高校卒業後はどうしても東北大学でコンクリートの研究を続けたい」と考えた彼女は、その熱意を表すため、入試会場に自作のコンクリートを持参。あいにく面接会場には持ち込めなかったそうですが、そのパッションが合格を手繰り寄せたのは間違いありません。
西川 生徒たちは、自分の探究テーマに情熱を持って取り組んでいます。その情熱こそ、われわれが探究活動を通して育てたいものであり、これからの大学が求めているものでもあると思っています。
東京慈恵会医科大学での医学部体験講座の様子。産婦人科の先生方による体験実習や、臨床検査技師の先生方による心エコー図検査の実習を行いました
北海道大学北方生物圏フィ-ルド科学センタ-(FSC)とは昨年度、芝高校とともに共同研究契約を結び、森林科学を学ぶ体験型学習プログラムを実施しています
「理数探究入試」や「国・算1科入試」で
偏差値では測れない受験生の個性を評価
広野 サイエンス教育のみならず、英語教育にも力を入れていらっしゃいますね。
西川 はい。中学生から3段階(G1~G3)に分けた習熟度別授業を行い、生徒の英語力を無理なく伸ばしているのが特徴です。たとえば、英語初学者の多いG1クラスでは、週6回の授業のうち、5回は日本人教員による文法の授業、1回はイングリッシュアイランドステイ(EIS)と呼ばれる外国人講師による英会話の授業となっています。EISでは、イギリスの街並みを模した校内施設「イングリッシュアイランド」を拠点としたPBL(課題解決)型の授業を通して、英語力のみならず、協働力や創造力を育んでいます。
広野 海外研修も盛んですね。
西川 夏休み期間を利用した約12日間の「イギリス初級研修」、「オーストラリア語学研修」(いずれも中3・高1の希望者対象)から、オーストラリアまたはニュージーランドを訪れる「ターム留学」(高1・2の希望者対象)、アメリカ・カナダ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランドから行き先を選択する「1年留学」(高1の希望者対象)まで、さまざまな行き先と期間から選択できるプログラムがあります。2027年度からは、新たに「イギリス中級研修」(高1希望者対象)を開始予定です。今後も生徒の実力や目的に応じた選択肢を増やしていきたいと思っています。
広野 さて、貴校では、「一般入試」のみならず、「国語1科入試」「算数1科入試」「英語入試」「理数探究入試」「帰国生入試」など、数多くの入試形態を用意されています。その狙いについて教えてください。
西川 偏差値だけでは測ることのできない、それぞれの個性を評価したいと考えているからです。実際に、「自分にはこういう強みがあるから、この入試を選んで受験しました」という生徒ほど、本校の教育との親和性が高く、入学後に大きく伸びるというケースが多く見られます。
高桑 同じ科目のテストといっても、国語1科と4科の国語の問題、理数探究入試と算数1科、4科の算数の問題では、出題形式が大きく異なります。実際、「算数は苦手だが、理数探究入試の問題は楽しく解けた」と言って入学してくる生徒もいます。2027年度入試からは、算数1科を解答のみの採点に変更するなど、これまで以上に出題形式の違いが顕著になりますので、問題を見て、「おもしろそう」と思えるもの、自分の実力を発揮できそうなものを選んで入学してくれたらうれしいですね。
広野 最後に、受験生へのメッセージをお願いします。
高桑 本校には、生徒一人ひとりの「志」にとことん向き合い、自己実現までの道のりを手厚くサポートする環境があります。教員一人ひとりが、それぞれの「志」をかなえる最適なルートを考え、惜しみない学習支援と情報提供を行っていますので、安心して入学してほしいですね。
西川 どんな個性を持つ生徒でも、必ず自分だけの「志」が見つかる学校です。わたしたち教員は、そのフィールドを一生懸命に耕して準備していますから、皆さんの「志」を共に開拓できることを楽しみにしています。
山脇学園中学校・高等学校
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入試対策説明会&自由見学(要予約)※6年生対象
10 月 3 日 (土) 9 : 15 〜 、 14 : 00 〜
11 月 7 日 (土) 13 : 30 〜
12 月 12 日 (土) 9 : 00 〜
1 月 9 日 (土) 13 : 30 〜
学校説明会&自由見学(要予約)※5年生以下対象
11 月 7 日 (土) 13 : 30 〜
12 月 12 日 (土) 9 : 00 〜
1 月 9 日 (土) 13 : 30 〜
学校説明会(要予約)
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8 月 22 日 (土) 9 : 00 〜
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