さぴあインタビュー/関西情報
共学化後も変わらぬ「関学精神」
さまざまな経験を通じ
生徒自身の可能性を広げる
関西学院中学部 中学部長 宮川 裕隆 先生
26年度から面接を廃止し
男女別定員も撤廃
W.M.ヴォーリズ建築の旧礼拝室。壁面には卒業生全員の名前が銅板で刻まれています
立見 高等部の卒業生は、90%以上が関西学院大学に進学されるとのことですが、キャリア教育としては、どんな取り組みをされているのでしょうか。
宮川 内容が具体的になるのは高校生からですが、中学生の段階から卒業生を招いて話をしてもらうという取り組みはしています。関西学院大学に進学した卒業生だけでなく、他大学に進学した卒業生も招きます。話の内容は主に、今の道を選んだ理由やきっかけは何かといったことです。来年度以降は、そうした取り組みをさらに充実させたいと考えています。中学生と高校生では、卒業生の話を聞いたときに見える世界は違ってくるでしょう。大学まで続く一貫校ですから、入学したら大学までそのまま進学できるといった単純な発想での生き方は推奨したくないのです。多々の異なる世界を知って生徒みずからの世界を広げ、すばらしい人がたくさんいることをぜひ知ってもらいたいので、今後も卒業生ばかりでなく、社会で活躍しているさまざまな方を講演に呼んで、将来を考えさせるさまざまな機会を設けていきたいと思います。
立見 次に中学入試について伺います。2026年度入試から面接が廃止になるそうですね。
宮川 はい。本校ではキリスト教主義に基づく全人教育を行っているので、皆さんとお会いしたいという思いでこれまで面接を実施してきました。しかし、その面接によって結果が大きく変わることはありません。また、昨今は多様な入試形態が出てきているので、本校が入試を行っている時間が、他校を受験する受験生の次の機会とぶつかってしまうこともあります。そうした事情を考えて2026年度から廃止することにしました。
同じく2026年度の中学入試からは、男女枠をなくす予定です。現状は5対3の男女比率が、2026年度以降は、年度によって変わってくることも考えられます。
岡澤 男女比率が変わってくると、生徒みんなで取り組む学校行事のカラーも変わってくるかもしれませんね。
宮川 本校には、男子校時代と変わらずに行っている体を鍛える行事が多く、それを経験したいという女子生徒もたくさんいます。時代とともに変えなければならないところもありますが、そうだとしても、ここは変えないというものは持ち続けたいと思っています。ですから、新入生に女子が多くなっても、「メチャビー」はやめないでしょう。それをやめるのだったら、共学になった段階でやめているはずです。体力的に男女差はあっても、社会に出た際は、男女のどちらか一方しかできない仕事のジャンルは、ほとんどありません。多様性を大切にしながらも、学校の伝統として続けてきたことは保持していきたいと考えています。
岡澤 宮川先生は国語科ということで、国語の入試問題について伺いたいのですが、貴校は古典的な名作の文章を出題されるのが特徴的だと思います。それは、どういうお考えからでしょうか。
宮川 新しい作品にもすばらしいものは多いですが、ずっと変わらずに読み継がれているものを知ってもらいたいという思いがあるのです。だから名作から出題しています。とはいえ、高校の教科書に載っているような難解なものでは小学生にわかりにくいので、そこは試行錯誤しながら問題を作成しています。「良い作品のこういう部分に関しては受験勉強を通じてぜひ知ってほしい」ということです。
立見 それでは最後に、貴校をめざす受験生と保護者の方にメッセージをお願いします。
宮川 受験生は不安がたくさんあると思いますが、自分を信じてがんばってほしいです。不安だとマイナス思考になりがちで、たとえば試験中に自分ができていない場合、周りの人がペンを置いていたなら動揺してしまうでしょう。問題を見た瞬間に、頭が真っ白になるかもしれません。そうならないように、自分が合格するためにがんばってきたことを信じましょう。まずは、試験問題のなかから自分のできるものをまず探して取り組んでください。
立見・岡澤 本日は、貴重なお話をありがとうございました。
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