Booksコーナー
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Booksコーナーでは、小学校低学年から高学年までを対象とした読み物や、保護者の方向けの図書を、新刊中心に紹介しています。学習の合間などに、ぜひ読んでみてください。
『君のせいだ、涙がでるのは。』
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- ◆林けんじろう=作
- ◆小森夏海=絵
- ◆くもん出版=刊
- ◆定価=1,650円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
飛行機の爆音がした 瞬間すべてが消えた 明るい朝も、あの日の約束も
それは天宇たち一家が、祖母のお葬式のために広島に行ったときでした。葬儀が終わった後、父の希望で祖父の生家に行った天宇は、荒れ果てた母屋の蔵で一冊の古いノートを見つけました。表紙には「昭和26年8月」とあり、祖父の名前が書かれています。ページを開くと「できるだけ正しくあの年のことを記しておきたい」と書かれていました。
「あの年」とは、広島に原爆が投下された昭和20年のことです。それから6年後に祖父は「しっかり記録しておかなければ」という思いで手記を書き残したのです。そこには、子どもだった祖父の生き生きとした日常と年上の女性へのほのかな思い、そして人々からすべてを奪ったあの日以後のことが克明につづられていました。祖父の手記を読みながら、自分につながる親族について思いをはせる天宇。悲惨な戦争のなかで精いっぱい生きた人々の思いを、少しでもくみ取ろうとする主人公の心情がていねいに描き出されます。
笑いと優しさに満ちた日常を一瞬で奪い去った戦争、そして原爆投下。その日を境に夢も希望もすべて失いながらも、なお生きていかなくてはならない人々の苦しみが生々しく伝わり、胸が詰まります。戦争の記憶が薄れていく今だからこそ、広く子どもたちが読んで胸に刻んでほしい作品です。
『ゆびでたどる進化のえほん』
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- ◆三上智之=監修・文
- ◆かわさきしゅんいち=絵
- ◆KADOKAWA=刊
- ◆定価=2,090円(税込)
- ■対象:幼児向け・小学校低学年向け
すべての生き物は こうつながっている!
地球で最初の生き物が生まれたのは約40億年前のことです。そこから菌類が生まれ、植物や昆虫、魚、は虫類、哺乳類などさまざまな生き物が生まれました。
進化の枝分かれを追っていくと、エビとダンゴムシ、キンギョとイワシ、クジラとカバなど、意外な生き物同士が近い仲間だとわかります。鳥が恐竜の生き残りだという理由も、進化の過程をたどればわかります。ヒトの祖先はサルだといわれますが、ではサルの祖先は何でしょう。興味は尽きません。生き物のつながりが実感できる、大人が見ても楽しい絵本です。
『セラピー犬 ジョン こども病院のきせき』
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- ◆今西乃子=著
- ◆金の星社=刊
- ◆定価=1,540円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け
ジョンがくれるのは 心が元気になるお薬
セラピー犬とは、病院や施設に行って人と触れ合う活動をする犬のこと。ラブラドール・レトリーバーのジョンは、週に1回、こども病院に行きます。病院の子どもたちは、学校に行けず外で遊ぶこともできず、つらい治療を続けています。それだけにジョンが来るとみんな大喜びです。
手を伸ばしてジョンをなでられない車いすの子でも、重い病気を抱える寝たきりの子でも、目の前の子どもに合わせた行動がとれるジョン。ジョンと、ジョンから元気になるお薬をもらう子どもたちの交流を描く、本当にあった物語です。
『まぼろしの動物 ニホンオオカミ』
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- ◆たけたにちほみ=文
- ◆川田伸一郎=監修
- ◆Gakken=刊
- ◆定価=1,650円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け
「知りたい」から始まった 自由研究が論文に!
絶滅動物ニホンオオカミの剝製は、世界に5体しか見つかっていません。ところがその6体目が日本にあることを、発見した小学生がいます。小森日菜子さんです。
絶滅動物が好きな日菜子さんは、国立科学博物館の研究施設で偶然目にした剝製が、ニホンオオカミではないかと考え、調査を始めました。動物取引の記録など古い資料を丹念に調べてまとめた自由研究は、コンクールで文部科学大臣賞を受賞。後に論文にもなりました。興味が勝れば小学生でもここまでできる。好奇心あふれる小学生の背中を押してくれる一冊です。
『子どもも兵士になった 沖縄・三中学徒隊の戦世』
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- ◆真鍋和子=著
- ◆童心社=刊
- ◆定価=1,980円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け・一般向け
もう中学生ではない おれたちは二等兵なのだ
平之は沖縄県名護町に住む小学5年生。その日は兄が沖縄県立第三中学校に入学する日でした。背広の制服がかっこいいあこがれの学校です。でもその日、兄が着ていたのは、上下ともカーキ色の服でした。
太平洋戦争末期、沖縄では、日本本土防衛のためとされた激しい戦闘がありました。兵士として召集された人のなかには、中学生もいました。なぜ多くの子どもたちが戦闘に駆り出されたのか。なぜ10代半ばの彼らが死ななければならなかったのか。生き延びた元少年兵の聞き取りや記録から、明らかにしていきます。
『中受 12歳の交差点』
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- ◆工藤純子=作
- ◆講談社=刊
- ◆定価=1,650円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け・保護者向け
有名中ならどこでもいい、 最初はそう思ってた
新は都立中高一貫校をめざして猛勉強する6年生。小学校の面談の日、先生は言いました。「どうしてこの学校を受けたいの?」と。偏差値の高い中学ならどこでもいい、ぐらいに思っていた新。先生の責めるような問い掛けにいらいらしました。
新のほか、学校でいじめにあっている男の子と、バレーボールが好きな女の子が登場し、三者三様の受験の形を見せてくれます。受験がきっかけで周りにいる人たちの優しさに気づく新たち。合格だけが大事ではない、中学受験で経験することの豊かさを物語は教えてくれます。
『子どものための哲学対話』
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- ◆永井均=著
- ◆内田かずひろ=絵
- ◆講談社=刊
- ◆定価=462円(税込)
こんなネコが相手なら 「考える」ことも 楽しいのでは?
海浜幕張校 校舎責任者人間と植物の違いは何だと思いますか。有名な数学者で物理学者、そして哲学者でもあるパスカルは「人間は一本の葦にすぎない。しかしそれは考える葦である」と言っています。つまり人間であるもっとも重要な点が「考える」ことだと思います。これが学問として「哲学」と呼ばれているものです。哲学というと難しいイメージがしますが、そんなことはありません。皆さんが「考える」ことのきっかけになる本なので、お薦めしたいと思います。
この本は、主人公の少年(おそらく中学1年生)と、なぜか人間のことばをしゃべるネコのペネトレとの哲学対話です。哲学といっても難しい話をするわけではなく、日常生活で疑問に思ったことなどを考え、話していきます。目次を見ると「人間は遊ぶために生きている!」「なぜ学校に行かなくてはいけないのか?」「友だちは必要か?」などとあり、さまざまな身近なことを考察しています。
読み進めていくと「確かにそうだ」と思うものもありますが、「ちょっと違うのではないか」と思うものもあるでしょう。それでいいのです。本文に「問いそのものを自分で立てて、自分のやり方で勝手に考えていく学問のことを、哲学っていうんだよ」とあります。つまり、自由に考えることが重要なのです。今あるすべての学問の源流は哲学にあります。そこから分かれてさまざまな学問が生まれたのです。最後にペネトレがこんなことを言っています。「学問は、本来、勉強なんかじゃないさ。この世でいちばん楽しい遊びなんだよ」。わたしもまさにそのとおりだと思います。
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