学校説明会レポート
灘中学校 オンライン説明会
2026年6月25日(木)
「精力善用」「自他共栄」の校是の下、自由な校風で主体的に学ぶ力を育む
1927年、兵庫県の酒造地・灘五郷で酒造業を営む三家の篤志家により創立された灘中学校・高等学校。「精力善用」「自他共栄」の校是の下、生徒の自主性を尊重する自由な校風を受け継ぎながら、国内屈指の進学校として歩みを重ね、来年10月、創立100周年を迎えます。
この日のオンライン説明会は、サピックス教育事業本部・本部長・広野雅明先生による入試分析から始まりました。広野先生は「灘中の入試は、国語・算数・理科の3教科を2日間にわたって実施し、合格発表は翌日以降となります。1日目の算数が答えのみを記入する1行問題形式で難度が高く、国語もことわざなどの知識問題が出題されるのが特徴です。首都圏とは傾向が異なるため、灘中を意識した十分な対策が必要です」と説明。今年もお盆期間中にSAPIX代々木ホールで「灘中特別算数講座」を開催するほか、現地直前特訓付きの「灘中受験ツアー」も例年どおり実施する予定です。
続いて登壇した校長の海保雅一先生は、最初に、同校の生徒の多様性について紹介しました。今年度の中学入学者182人のうち、18%が近畿圏外の出身で、関東からも12人が入学しています。平均通学時間は約66分と1時間を超えますが、それだけ幅広い地域から生徒が集まっていることの表れです。また、今春は既卒者を含め、東京大学に95名、京都大学に47名が合格しましたが、「あくまでも生徒が主体的に進路を選択した結果です」と話しました。
続いて海保先生は、同校の教育を支える三つの柱として、「学力を伸ばす体制」「非認知能力を育む集団活動」「主体的な活動を促す学校環境」を紹介しました。
一つ目の柱は「学力を伸ばす体制」です。同校では、生徒の旺盛な知的好奇心や探究心に応えるため、教科書の内容にとどまらず、単元を深く掘り下げた授業を展開しています。質の高い授業実践を支えているのが、独自の「担任持ち上がり制」です。8人の学年担任団が入学から卒業までの6年間を一貫して担当し、大半の教科科目については、全4クラスのほぼすべての授業を同じ教員が受け持ちます。分担制を採らないことで、「効率的で計画的、そして独創的な授業が実現できます」と海保先生は説明しました。
6月と10月に開講される「土曜講座」も特色の一つです。年間約60講座が開かれ、元最高裁判事やQuizKnockの伊沢拓司氏をはじめ、各界の第一線で活躍する講師が登壇します。キャリア教育として、また、生徒が多様な世界や価値観に触れる貴重な機会ともなっています。蔵書約8万冊を備える図書館には、専任の司書教諭2名が常駐しています。書名だけでなくキーワードでも検索できる独自のシステムを導入し、生徒一人ひとりの探究活動を支えています。
二つ目の柱は「非認知能力を育む集団活動」です。部活動への加入率は8割を超え、複数の部を兼ねて活動する生徒も少なくありません。25の文化部と17の体育部が活発に活動しています。また、文化祭や体育祭、中学・高校の学芸祭といった学校行事は、すべて生徒が企画・運営を担います。海保先生は「本校が生徒主体の行事を重視するのは、息抜きのためではありません。企画力や計画性、人間関係を調整する力といった非認知能力を育てるためです」と説明しました。国際科学オリンピックでも毎年多くのメダルを獲得していますが、その背景について海保先生は、「ロールモデルとしての先輩が後輩に自分の経験を伝えたり、同じ目標を持つ仲間同士で勉強会を開いたりする生徒の活発な自主活動が、このような成果を生み出しています」と語りました。
続いて紹介された三つ目の柱は、「主体的な活動を促す学校環境」です。「精力善用」「自他共栄」の二つの校是は、創立顧問を務めた、柔道家で教育者の嘉納治五郎氏が提唱したものです。灘校には文書化された校則はなく、この二つの校是を学校生活の指針としています。海保先生は「規則で縛れば、生徒の思考は止まってしまいます。主体的な学びを実現するためには、自ら考え、自ら判断して行動することが大切です。自主・自由の校風の下、生徒を一つにまとめているのが、この二つの校是です」と、その考え方を説明しました。
最後に海保先生は、首都圏の保護者へ向けて次のように語りました。「本校には、勉強だけでなく、何か一つ得意なことがあれば周囲から認められる文化があります。それぞれが自分の居場所を見つけやすく、居心地の良い学校です。力試しではなく、本気で進学したい学校の一つとして、ぜひ受験をご検討ください」

国の登録有形文化財にも指定されている本館。「神戸建築祭」などで一般公開されることもあり、灘校の歴史と伝統を今に伝えています