４年生の夏「中学受験する」と近所の塾に通い始めましたが、「このままじゃどこにも受からない」と夫が言い出し、新５年生の２月にサピックスの入室テストに挑戦しました。帰り道「円周率って何？ 知らない。全然できなかった」と息子がポツリ。進度が全然違ったので、ダメだと思ったけれどまさかのギリギリ合格。
　けれど、サピックスのイメージといえば、過酷な競争・大量の教材・とにかく親も大変な〈中学受験の狂気の総本山〉通うのは無理だと反対しました。
　しかし、サピに三人通わせた義理の姉が、息子の算数のテストを見て「わからない問題もこんなに書いて、諦めないで、一生懸命解いてるよ。入れてあげないと可哀想だよ。友達もできるし、楽しいから」と説得されました。本人に「ものすごく大変だけど、行く？」と聞いたら嬉しそうに「行く」と答えました。
　入室を決めたからには、親も覚悟を決め、昼は私が算数、夜は夫が他教科を担当。夫は、朝は基礎トレ、夜は塾がない日は３時間、塾の日も最低１時間は毎日隣で監督するのが日課となりました。動画やブログなどあらゆる中学受験に関する情報をくまなくチェック。塾の後は「今日どうだった？」と授業や先生、クラスの様子まで根掘り葉掘り。毎回テストの点には息子以上に一喜一憂しました。もはや趣味「中学受験」の伴走です。
　最初は大変で、算数は泣きながらプリントをやりました。そんなに辛いならやめたら？と何度言ったことか。でも絶対逃げませんでした。毎回の授業内テストで満点を目指す。全教科、テスト範囲を徹底的にやる。本人の努力と、監督の献身的な支えで、偏差値は38から63まで上がりました。近道なんてありません。父子でコツコツ勉強時間を積み上げ、努力し続けた結果だと思います。また、テストの順位で席順が変わることが何よりの刺激でした。塾の子は友達であり、同志であり、ライバルであり、切磋琢磨しあう素敵な環境で、「学校よりも塾に行きたい」とサピックスが大好きでした。
　併願校の受験日、算数の時間に隣の席の子が泣いて途中退席したそうです。帰りの電車の中で泣いている子もいました。サピックスに入っていなければ、泣いていたのは息子かもしれません。先生方が鍛えてくださったおかげです。受験のストレスから親兄弟に八つ当たりする時期もありましたが、本当によく頑張りました。いろいろな事を乗り越え、本当に逞しく成長したなと感動しました。無事第一志望に合格しました。
　決して楽な道ではありませんでしたが、こんなにもサピックスに楽しく通えるとは思わなかった。こんなにも成長できると思わなかった。やってみないとわからないものですね。友達と遊んだりゲームしたり、旅行など楽しい思い出は我慢したけど、父子二人三脚で机に向かった濃密な時間も貴重な経験であり、サピックスの日々もかけがえのない思い出です。ありがとうございました。