受験ライフをサポートする進学情報誌 さぴあ

自慢の授業

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2026年8月号から転載

手を動かして注意深く観察し
現象の理由を考えていく

理科主任の工藤先生。「難しい話ほど生徒たちは目を輝かせます。専門性の高い学びに果敢に向き合う姿勢に、攻玉社生らしさが表れています」

理科主任の工藤先生。「難しい話ほど生徒たちは目を輝かせます。専門性の高い学びに果敢に向き合う姿勢に、攻玉社生らしさが表れています」

理科実験室では、この春、入学したばかりの中1生たちが真剣に炎を見つめ、観察を続けていました。この日のテーマは「炎色反応」です。金属元素を含む物質を燃やし、元素ごとに異なる炎の色を調べます。

教壇には8種類の薬品が用意され、生徒たちはそれを1種類ずつ紙片にしみ込ませてガスバーナーの炎にかざしていきます。教室後方の実験台では見本となる炎が燃やされており、自分たちの結果と見比べ、記録を進めていました。「同じ黄色でも少しオレンジっぽいかな」「こちらは黄緑色に近いね」などと意見を交わし、実験シートを埋めていきます。色の違いをより正確に残そうと、色鉛筆で炎の色を表現する姿も見られました。

リチウムは赤色、ナトリウムは黄色、銅は鮮やかな青緑色――。元素によって異なる色が現れるたびに、生徒たちの表情も輝きます。次はどんな色になるのだろうと期待しながら、変化を見逃すまいと集中していました。

8種類の観察を終えた班からは、「先生、終わりました!」という報告が飛び交います。すると始まったのが「おまけの実験」です。先生が取り出したマグネシウムに火をつけた瞬間、まばゆい白色光が理科室を照らし、あちこちから驚きの声が上がりました。このマグネシウムは花火にも利用されており、強い光で花火をより鮮やかに見せる役割を担っています。

授業の最後には動画を用いて炎色反応の仕組みや花火との関係を確認しました。身近な現象と学習内容が結びつき、生徒は科学への理解を深めていました。

攻玉社中学校・高等学校 授業の様子

大学入試の先を見据えた学びで
生徒の知的好奇心を育む

授業の様子

同校では、中高6年間を通して基礎学力を着実に積み上げるカリキュラムを展開しています。専用実験室や本格的な実験器具も整備され、観察や実験を通して、科学的思考力と探究心を育んでいます。

「本校には物理・化学・生物・地学それぞれに高い専門性を持つ教員がいます。実験を重視する教員もいれば、理論を重視する教員もいますが、共通しているのは、自分自身が魅力を感じている学問の世界を生徒たちに伝えようとしていることです」と話す工藤先生は、理科を単なる受験教科としてではなく、知的な楽しさに触れる機会としてとらえています。「理科は『何の役に立つのか』という観点で語られがちですが、まずは学ぶことそのもののおもしろさを知ってほしいのです」と続けます。

そのため、授業では知識を習得するだけではなく、その背景にある仕組みや原理にまで目を向けます。現象を理解して終わるのではなく、「なぜそうなるのか」という問いを掘り下げ、本質に迫ろうとする姿勢を大切にしています。

また、難しいテーマに積極的に挑戦する点も特徴の一つです。「一般的には高度な内容は敬遠されがちですが、本校の生徒はむしろ難しくなればなるほど興味を示し、意欲的に向き合います。だからこそ、教員も専門的な内容をできるだけわかりやすく伝えています」と語る工藤先生は、大学受験に向けた知識の習得にとどまらず、その先に広がる学問の世界へと導くことも、同校の理科教育の大切な役割だと考えています。

また、生徒たちにも受け身ではなく、みずから考える姿勢が求められます。「実験が好きかどうかは人それぞれです。でも、どんな形でも脳を動かしてほしいのです。授業ではあえて『余白』を残し、生徒自身が考えなければならない場面をつくるようにしています」と工藤先生は強調します。

こうした学びは、中3で実施される探究型プログラム「水曜講座」にもつながっています。今年度は「温泉の科学~温泉から探る人間の科学~」をテーマに、チームで未知の成分を含む“疑似温泉”を分析します。実験と考察を重ね、成分を特定して発表するのです。

中1では観察や実験の基礎を学び、中3では仲間と協力して課題解決に挑戦する――。探究する姿勢は学年とともに深化し、より発展的な活動へとつながっていきます。「生徒が『理科っておもしろいかもしれない』と感じてくれたらうれしいですね。役に立つから学ぶのではなく、学ぶことそのものを楽しんでほしいと思っています」というのが工藤先生の願いです。

理科の醍醐味は、知識や技能を身につけるだけではなく、学問の奥深さに触れることにこそあります。同校には、そんな知的好奇心を育む文化が息づいていました。

  • 教壇の上にはこの日の実験で使用する8種類の薬品が並んでいます。安全指導を受け、手順を確認した後、白衣姿の生徒たちが準備に取りかかります

    教壇の上にはこの日の実験で使用する8種類の薬品が並んでいます。安全指導を受け、手順を確認した後、白衣姿の生徒たちが準備に取りかかります

  • 薬品をしみ込ませた紙片を加熱し、炎の色の変化を観察。元素ごとに異なる特徴を比較しながら記録していきます

    薬品をしみ込ませた紙片を加熱し、炎の色の変化を観察。元素ごとに異なる特徴を比較しながら記録していきます

  • どんな色に見えたのか、色鉛筆を使って元素ごとに表現します。仲間と意見を交わしながら、観察結果を実験シートにていねいにまとめていました

    どんな色に見えたのか、色鉛筆を使って元素ごとに表現します。仲間と意見を交わしながら、観察結果を実験シートにていねいにまとめていました

  • マグネシウムが放つ強烈な白色光を実演。花火にも応用される現象を目の当たりにし、生徒たちは化学への興味を深めました

    マグネシウムが放つ強烈な白色光を実演。花火にも応用される現象を目の当たりにし、生徒たちは化学への興味を深めました

Information

kogyokusha.ed.jp/admission/guidance/

※学校説明会などの情報は上記よりご確認ください。