本物に触れる多彩なプログラム
それぞれが自分の将来に向き合う
教頭代理 亀山 修平先生
専修大学松戸中学校・高等学校では、以前は進学指導を中心にキャリア教育を進めていましたが、その後、社会とのかかわりを増やし、生徒の職業感を育む方向へと発展させてきました。企業による出張授業や卒業生との交流会など、個別に活動していたキャリア教育を体系化したのが、独自の「Future Project」です。
「重視しているのは、本物に触れる実体験です」と話すのは、教頭代理の亀山修平先生です。「高校受験のない中高一貫校だからこそ、じっくりと自分の将来に向き合うことができます。入学当初から段階を踏んで実際に体験することで、漠然としていた自分の将来像が、形あるものに変わっていくようです」と続けます。
同校ではこれまでに保険会社や金融機関の関係者を招き、経営や融資のシミュレーションを通して、職業の疑似体験を行っています。また、光触媒の研究、オリンピックのメダリスト、タカラジェンヌなど、各界の第一人者を招いた講演会や歌舞伎、文楽、能・狂言といった日本の伝統芸能に触れる芸術鑑賞会も行っています。
また、体験型英語学習施設「TOKYO GLOBAL GATEWAY」を活用した英語体験や田植え・稲刈り実習などのフィールドワークを行うほか、希望者には夏休みなどの長期休暇を利用したSPS(専松プラクティカル・サイエンス)講座を開催。たとえば研究施設を回るつくばサイエンスツアーや専修大学神田キャンパスツアー、東京地方裁判所傍聴見学、東京大学メタバース工学部体験授業など多彩な講座が行われています。
生徒たちは、一連の「本物に触れる」体験を実のあるものとするためにレポートにまとめます。「中1から年に1度、小論文テストを実施。そうした過程を経て、はじめは感想をつづっていたものから、中3では体験を通じて、自分の意見を述べられる文章作成・表現力を身につけていきます」と亀山先生は評価します。また、こうした体験を日本語だけでなく、英語でスピーチし、プレゼンテーションできる能力も養成します。そうした学びの集大成として実施されるのが、中3の6月に全員が参加するアメリカ・ネブラスカ修学旅行です。
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架空のパン屋の経営者として、起こりえる将来を想像し、良い経営とは何か、リスク管理はどうあるべきかを疑似体験しました
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卒業生の大学3・4年生や大学院生を招き、志望大学や学部・学科の選択のきっかけ、現在の研究内容や進路を語ってもらい、目標設定につなげます
国際理解を深めるネブラスカ修学旅行
現地での体験が進路形成の動機に
ネブラスカ修学旅行は中学校第1期生から実施されている同校の伝統行事です。もともとは専修大学とネブラスカ大学が国際交流協定校であることがきっかけでした。ネブラスカ州は治安も良く、古き良きアメリカの面影を今も色濃く残す地域です。生徒たちが現地の歴史と文化に深く触れることを目的として、宿泊先もホテルではなく、大学の寮に8泊10日の予定で滞在します。午前は体験型サマースクールに参加し、午後はメンターである現地の大学生と共に活動し、現地の歴史博物館などを訪問します。
「そうした活動のなかで、生徒たちはこれまでに身につけた英語力を駆使して、コミュニケーションを図り、みずからも日本の文化を伝えながら、真の相互交流を図っていきます」と亀山先生は話します。
中3の9月には、卒業生との交流を図る「卒業生が語る会」が開かれます。中高一貫校の先輩である大学3・4年生や大学院生に、大学や学部・学科選びをはじめ、現在の学びや将来の進路について語ってもらい、自分の目標設定に役立てることを狙いとして開催されています。
その卒業生の一人である日本語教育を学ぶ大学院生について先生はこう話します。「彼が日本語教師を志したのは、ネブラスカ修学旅行での体験がきっかけでした。日本に興味を持つ海外の人に日本語を通じて、日本の文化を伝えるためには日本語はもとより、英語をはじめとする外国語にも精通する必要があります。ネブラスカ修学旅行が進路の動機づけになったという話を聞き、国際理解を深めるために、創立当初から実施してきた修学旅行の意義をあらためて実感しました」
ポスターや文集で将来像を具現化
目的意識を高め、希望の進路を実現
中3の6月にアメリカ中西部・ネブラスカ州への修学旅行を実施。生きた英語・異文化体験を通して、視野を広げ、自分の将来を考えていきます
ネブラスカ修学旅行後の7月には、日本の大学・大学院で学ぶ、英語を母語としないノンネイティブの留学生と英語でコミュニケーションを図り、ディスカッションやプレゼンテーションの方法を学びます。最終日には生徒全員が「My Future Goal」というテーマで、英語でスピーチを行い、修学旅行の成果を披露しています。
また、夏休みの課題として「私が就きたい職業」「大学で勉強してみたいこと」「今、一番興味のあることに結びつく職業」という三つのテーマから、一つを選んで図や文章を使って「将来ポスター」を作成。ポスターは教室にも貼り出され、自分の将来像を掲示することにもなるので、生徒たちは真剣に取り組んでいます。中3の3月には『Future Project』という1冊の文集に自分の将来についてをつづります。
最後に先生は同校で身につける力について、こう語りました。「Future Projectを通じて将来を意識することで、個々の生徒の学習の動機付けは着実に向上しており、中高6年間の学力を伸長させ、安定した進学実績に結び付いていると評価しています。東京大学をはじめとする国公立大学や早慶、GMARCHに卒業生を送り出し、近年では高校の野球部、ラグビー部、合唱部などが全国大会にも出場しています。文武両道を極める、それが専修大学松戸中学校・高等学校なのです」