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進学校 ▶ 早稲田大学高等学院中学部
領域展開
H.Sさん ●お子さんの名前 Tくん
「きっとゾーンに入る。そのときの息子は強い」
息子の気持ちを少しでも楽にさせたいという思いから出た、これから何が起きても対処できるように自分自身を落ち着かせるためのことばでもありました。
2月1日、第一志望校の試験を終えて出てきた息子の表情は沈んでいました。「算数が激ムズだった。だめかも」。さっそく自分が落ち着かなければいけない場面です。「息子が難しく感じたなら、みんなもきっとそう」「結果を見るまでわからない」などと動揺は隠し、気持ちを切り替えることばを探しながら、初日を終えました。
6年生の5月、第一志望校の見学に訪れました。施設はとてもきれいで、生徒さんたちも生き生きとしていました。その瞬間、息子の志望校が決まりました。ただし、偏差値ははるかに上。
「まだ行った気になるな。これからが本当の勝負だ」。そんなことを話しながらも、ハイテンションで帰ってきたことを覚えています。このころから受験に向かう意識が高まり、厳しい夏期講習にも生活のすべてを捧げました。
ただ、夏期講習後の成績は以前とさほど変わらず、模試でも思うような結果が出ない日々が続きました。そして、そのまま秋が終わり、冬期講習、正月特訓と過ぎていきました。「志望校を変更したほうがよいのでは」と真剣に悩みました。一方、当の本人は良くも悪くも淡々としており、今思うと親だけの雑念だったのかもしれません。そして、1月受験校に合格を頂いたことで覚悟を決め、第一志望校に挑むことになったのでした。
2月2日、やや重い足取りで併願校に向かいました。「もしかしたら、1日目ですでに戦意を喪失している?」 。そんな心配をよそに、試験会場から出てきた息子は、またも淡々と「できたかも」と。結果は併願校から合格を頂き、自信のない第一志望校の結果を待たずに、ハッピーエンドを迎えるムードとなりました。
最終日とした2月3日、悔いなくやり切ってみようと、格上の学校に臨みました。その試験時間中に第一志望校の合格発表があったのですが、そのページに「合格」の文字が! 息子には失礼ですが、望外の喜びでした。合格を知ったときの息子の驚きと歓喜の表情はずっと忘れないと思います。
振り返ってみると、疲れや不安とたたかいながらも、息子の気持ちは一貫していました。うろたえていたのは親だけでした。以前、「苦手な国語では周りの子のページをめくる音が早く、焦ってしまう」と言っていた息子が、「試験開始の合図で『領域展開』したみたいで、周りの音が何も聞こえなかった」と振り返っていました。言い方は違いますが、まさにゾーンに入ってくれたのだと思いました。そして、その「領域展開」が偶然でなかったことは、2月3日の格上校の一次試験合格でも示してくれました。勝手にあれこれ考えるのではなく、子どもを信じることの大切さを知った親の受験生活でした。息子に感謝したいです。
サピックスの皆さま、本当にありがとうございました。
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