受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Booksコーナー

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2025年11月のBooks

 Booksコーナーでは、小学校低学年から高学年までを対象とした読み物や、保護者の方向けの図書を、新刊中心に紹介しています。学習の合間などに、ぜひ読んでみてください。

『チーム・テスならだいじょうぶ』

  • カービー・ラーソン&クイン・ワイアット=作

  • 杉田七重=訳

  • 鈴木出版=刊

  • 定価=1,870円(税込)

  • 対象:小学校高学年向け

好きなことがあれば
それがきみのスーパーパワーになる!

注目の一冊

 中2で新しい学校に転校したテス。すでに友だちグループができあがっているなかに入っていくのは、簡単ではありません。でも勇気をふるって自分から一歩踏み出した結果、エリーという友だちができます。テスはベーカリーを営んでいたパパの影響で、お菓子作りが大好き。好きなことが自分とエリーを結びつけてくれたのです。そんなテスのところに、焼き菓子コンテスト出場へのお誘いがきます。でも出場するには交通費や宿泊費など費用が掛かります。悩んでいるといつもの腹痛が襲ってきました。不意にくるこの激痛のことも、コンテストのことも、テスは忙しいママに言い出せずにいました。
 今は亡きパパのこと、そして後にわかる病気のこと。中2の女の子が抱えるには重すぎる荷物を持つ主人公が、仲間に支えられながら、コンテストの優勝をめざしていく物語です。プレッツェル、ガレット、ブラウニーなど、おいしそうなお菓子がたくさん登場します。夢中になれることがある、そして応援してくれる仲間たちがいる。それらが支えとなって、悩み迷いながらも堂々と歩き出すテスはとてもまぶしく見えます。作者がクローン病を抱える娘と共につづった小説で、難病と向き合いながら強く生きていく少女の物語にもなっています。

『おばあちゃんのあおいバラ』

  • 由美村嬉々=作

  • 森みどり=絵

  • ポプラ社=刊

  • 定価=1,650円(税込)

  • 対象:幼児向け

植物の命を育てることで
自分の命も元気になる!

 ゆいのおばあちゃんの仕事は、新しいバラを咲かせることです。そのために毎日、自分のバラ園で一生懸命に研究をしています。夢は青いバラを咲かせることです。「青いバラなんて無理」と、近所の人に変わり者扱いされても平気です。ところがある日、おばあちゃんが倒れて入院してしまいました。
 不可能といわれた青いバラの品種改良に成功した、育種家をモデルにした絵本です。水彩画の優しい色彩で描く物語が、植物の命を育てることで自分の命も元気になる、という作者のメッセージを伝えます。

『シリアの秘密の図書館』

  • ワファー・タルノーフスカ=作

  • ヴァリ・ミンツィ=絵

  • 原田勝=訳

  • くもん出版=刊

  • 定価=1,760円(税込)

  • 対象:小学校低学年向け・小学校中学年向け

戦火から救った本が
人の心を救った奇跡の物語

 シリアのダマスカスで家族と暮らす女の子、ヌールたちは、町で戦闘が始まり、地下室に避難することになります。戦闘は何日も続き、学校にも行けません。そんななか、いとこのアミールが本を拾ったことから、2人は図書館をつくることを思いつきます。
 シリアの内戦中に、若者たちが図書館をつくりました。その実話をもとに、恐怖と不安のなかで、本が人々の希望の光になっていく姿を描きます。レバノン内戦の経験者である著者は言います。「体に食べものが必要であるように、心には本が必要だ」と。

『カメにのったいぬらい!』

  • 今西乃子=著

  • 浜田一男=写真

  • かけひさとこ=絵

  • 岩崎書店=刊

  • 定価=1,540円(税込)

  • 対象:小学校低学年向け・小学校中学年向け

ペットの幸せは「元気で長生き」

 わたしはミックス犬のきららです。それは5歳年上の柴犬、未来ねーちゃんが亡くなる少し前のことでした。ペットとして飼われているリクガメのももちゃんが、わが家にやってきたのです。
 カメの寿命は100年ですが、ももちゃんは27歳で、好きな食べ物は野菜です。こたつが大好きで、その話は驚くことばかり。でも未来ねーちゃんはすぐ、ももちゃんと仲良くなって甲羅の上でお昼寝です。その写真がほのぼのとした笑いを誘います。さて、飼い主は何をするべきでしょうか。「ペットの命が終わるまで責任を持って面倒を見る」。その大切さを訴えます。

あっちにもこっちにも こども食堂』

  • もちなおみ=作

  • むすびえ=協力

  • 文研出版=刊

  • 定価=1,760円(税込)

  • 対象:小学校高学年向け

食べるだけじゃない
ここは安心できる居場所

 ここは千葉県松戸市にある根木内小学校。まだ7時前なのに子どもたちが次々とやってきます。この日は学期に一度の「おはようこども食堂」の日。希望する子どもたちが一緒に、温かい朝ご飯を食べます。おなかいっぱいになった子どもたちは、笑顔でそれぞれの教室に向かいます。
 大学生が運営する大学構内のこども食堂、子どもたちの放課後の居場所になっているキッズカフェなど、さまざまな形で運営されている七つのこども食堂を紹介。こども食堂は困っている人だけでなく、みんなが来ていい温かい場所なのです。

『バロアチー! 風香のバングラデシュ

  • 茂木ちあき=作

  • スカイエマ=絵

  • 国土社=刊

  • 定価=1,540円(税込)

  • 対象:小学校高学年向け

お母さんを助けてくれて
ありがとう、お父さん!

 商店街で偶然目にした「バングラデシュ手工芸展」。風香がそこで知り合ったエリ子さんは、伝統工芸の刺しゅうを通してバングラデシュの女性たちを支援している人でした。バングラデシュは、風香が生まれてすぐに亡くなった母の国です。でも赤ちゃんのときに日本に来た風香は、この国のことをよく知りませんでした。
 母は子どものころにお金持ちの使用人になり、学校にも行けず働きづめでした。子どもたちの貧しい暮らしは今も続いています。自分のルーツを知っていく風香の物語を通して、発展途上国支援の実態と難しさを伝えます。

Tsu-tsu-mu 世界をやさしく繋ぐデザインの作法』

  • 色部義昭+日本デザインセンター
     色部デザイン研究所=企画・構成

  • パイ インターナショナル=刊

  • 定価=3,080円(税込)

身の回りのあれこれを
「包む」という視点で見ると
豊かな世界が見えてくる


練馬校校舎責任者

 この秋、東京・銀座の百貨店で「包む」をテーマにした展覧会が開かれました。その図録として出版された本です。身近にあるものを「包む」という視点から紹介しながら、「包む」ことの目的や込められた思いを探っていきます。たとえば卵。卵は新しい生命を包む殻です。ミカンの皮や枝豆のさやも自然のなかにある「包む」です。逆に人間が包むもの、たとえば人へのプレゼントは「包む」ことで心遣いや礼を込めます。建物や洋服も「包む」という視点で見れば、いろいろな思いや考えが込められていることがわかります。
 「包む」という動詞一つでも、頭を使えば世界は広がります。全然違うもの同士だけど共通点を抽出してみる。逆に同じようなジャンルのものだけど相違点を見つけてみる。学問ではそのように視点を変えて見ることが大事です。勉強でも同じです。たとえば、算数の立体の問題を解くとき、立体として見てもわからない場合、真横や真上から平面的に見ると糸口が見つかることがあります。
 受験勉強では、どうしても用意されている答えにたどり着くことが必要になります。でも本書で扱っている製品デザインの世界は、理念や構造的なすばらしさを込めながら、答え自体をつくっていく世界です。大変ではあるけれど、楽しくやりがいのあるこういう世界もあることを知ってほしいと思います。
 ぱらぱらめくって興味が湧くところだけを読んでもいいですし、写真を見るだけでも気分転換になります。最後に、芥川賞作家の平野啓一郎さんが「包む」ことの豊かさについて書いています。少し難しいかもしれませんが、秀逸なのでこちらもぜひ読んでください。

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