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最新中学入試情報
進学校 ▶ 麻布中学校
思い込みの大切さ
S.Uさん ●お子さんの名前 Rさん
熱帯魚の模様がチューリングパターンであることを世界で初めて証明した近藤滋先生は、大学院生として入った、のちのノーベル賞受賞者である本庶佑先生の研究室で〝一流である自分は一流の研究ができるはずだと、アプリオリな思い込みを持った〟と、京都大学医化学教室創設百周年記念誌(ウェブで読めます)に書いていらっしゃる。私はそれを読んだ時に、はたと膝を打った。これこそが受験をする意味であろうと。
思えば面談をしてくださったサピの先生も、第一志望はもちろんのこと、併願校もいくつか候補の中から自分が選んだという風に持っていってくださいと仰っていた。これも、併願校とはいえ自分が選んだところに辿り着いた俺すげーと、アプリオリな思い込みを持たせるためではないか? 自分のことを振り返っても、なんだかんだでそういう思い込みが時に背中を押し、打ち破れた時には拠り所として機能していたように思う。
息子はもう数日我慢すれば今頃はまだ新6年生であったのに、慌ててこの世に出てきて、そのためか呼吸状態が思わしくなく、大学病院の新生児集中治療室に転院となった。そんな慌てん坊なので怪我が絶えず、旅行にまで持っていった汽車のおもちゃの車輪が、転んだ拍子に額に刺さり、未だ向こう傷となって残っている。また、ある時は台所の踏み台から転落して後頭部を思いっきりタイルに叩きつけたことがあった。なぜ上った? 本当に心配するくらい腫れたのだが、そこは今も髪の毛が生えてこない。やれやれ。
色んな意味で強い兄姉弟に挟まれて、本人は何かといじけたようなことを言い、サピに通い初めの頃〝あぁ、一度でいいからα行ってみたいなー〟と愚痴なのか願望なのかわからないことを口にしたこともある。その時に、思い込めるほどの自信を持たせねばと強く思った。しかし、それは与えられるものではなく、自らの内側からもたらされるものだ。幸い勉強は努力に比例する部分があり、息子は兄姉と比べてすこぶる真面目であった。そのため、だんだんと成績は上昇し、自信をつけてきた。しめしめ。そしてついに念願の第一志望校に合格することができた。
合格発表の夜にお祝いをして、色んな意味で協力をしてくれたことも含め家族皆を労った。祖父が、両親も頑張りましたねと言ったら、即座に本人が、オレが頑張ったんだよと言い返していた。その意気やよし。それを言ってもらうための受験だったのだ。
晴れて兄と同じ学校に通うこととなった入学許可者説明会で、親離れ子離れをしていきましょうという話が出た。今までの少し自信無さげな息子は既にどこかに行き、その態度はまだ入学してもいない学校の校風に染まりつつある。これからもきっと多くの挫折を経験して、しかし受験を通して得た思い込みを拠り所により広い世界へと旅立つのだろう。せめて怪我なくと育ててきた親にできることはもう何もないのは心強いことだが、同時に少しの寂しさを抱かせる。
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