受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

2025年度中学受験  サピックス小学部第36期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 麻布中学校

やっぱり僕、麻布に行きたいんだ

Y.Nさん お子さんの名前 Sさん

 タイトルは麻布中学の入試本番後、校舎から出てきたタイミングで息子の口から飛び出した言葉である。勿論同校は志望はしていたが、試験後の試験監督の先生との会話が面白く一気に志望度合いが上がったらしい。親としてはモチベーションが上がったことを嬉しく思うと共に、既に試験が終了して何もできない現実に途方に暮れるのみであった。
 また、ここから合格発表を待つ間、受験を続行しながら過ごす3日間は首都圏中学受験が親子ともにメンタルの戦いである事を強く実感する時間だった。
 結果良ければすべてよし、となってしまったが、我が家の中学受験に関して月並みではあるが過去を振り返り奇麗な記憶だけ抽出してみた。

 受験勉強を始めたのは小学校2年生の夏、新型コロナウイルスの緊急事態宣言で家から出ることが出来なくなり、学習習慣を付けるためにサピックスの門を叩いたのがきっかけである。当時本人は塾に行くのが嫌で仕方なかったようで、塾の時間が近づくと泣いて嫌がっていた。我が家のサピックスの一番古い記憶は息子の泣き顔と強く結びついている。当時は組分けテストの結果に一喜一憂していたが、この時期の成績は大きな意味がないと今になって強く思う。まずは学習する習慣を付けるため、机に向かう事を嫌いにならないようにすることが最重要だったと感じている。学習習慣を付けるため、勉強とゲーム・動画視聴などを織り交ぜる飴と鞭戦法は結局受験直前期まで姿を変えながら維持される事となる。

 学習習慣の定着から本格的な受験勉強に移行する4年生には塾に慣れ、仲の良い友達が出来たことから主体的に塾に参加するようになり「自ら学ぶ」という癖を付けたことが大きな変化だったと考えている。学校から帰宅後、1人で塾の用意をして出かけていくという生活スタイルを確立してくれたことは共働き家庭としては感謝しかない。

 5年生後半からの受験期において、基礎問題の復習以外の学習面はサピックスの先生方に全幅の信頼を置いた。直前期の面談で先生から「志望校全て合格させます」と大変心強いコメントを頂き、両親の役割は本人のメンタルヘルスケアに徹する事とした。

 中学受験は12歳という子供が意味も分からず競争させられ優劣をつけるイベントである。家族の過大な期待を双肩に担い、ストレスも大きい。そんな状況で、どんな形であっても最後まで走り抜けた事は尊敬以外の言葉はない。我が家は幸いにも希望した通りの結果であったが、それは紙一重のものだったと考えており、全滅する可能性も視野に入れて夫婦で受験日程を毎晩遅くまで相談していた。恐らくどのご家庭も同じだろう。
 これほど子供の人生を考え、成功を願う両親の気持ちも尊く偉大である。しかしそんな気持ちも露知らず、受験が終わってテレビゲームに明け暮れている我が子を見ながら筆を置くとする。

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