受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

2025年度中学受験  サピックス小学部第36期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 海城中学校

そして次の冒険が始まる

T.Kさん お子さんの名前 Kさん

 親子で歩んだ、実り多き3年間の冒険が幕を閉じた。息子は生まれて初めて大きな目標に向かって最後まで走り切り、第一志望校を摑み取った。私は、この経験で確かな成長を示した息子を、心から誇らしく思う。
 中学受験を志すきっかけは、中高一貫校ならではの様々な経験を通じて成長してほしい、というごく一般的な親の発想と、それを素直に受け入れた息子の二つ返事であった。勉強を見るのが父、学校調査と動機付けは母、飲み込みは早いがマイペースで気分屋なレベル1の勇者(息子)、というパーティーで冒険はスタートした。
 最初に苦戦した洞窟は、5年生後半の基礎固めだった。SAPIX導師たちの動画を信じた私は、手を抜かず地道に取り組むよう勇者を諭した。勇者は算数と国語の読解、社会と理科の計算問題は何とかクリアしたが、漢字、生物、人体というモンスターを討伐できず、苦手意識が残った。
 6年生になり、早い段階で第一志望を海城に定めたが、クラス分けテストや模試の結果が安定せず、勇者のレベルを測りかねていた。転機は夏期講習のクラス昇降であった。成果が即座に見える形となり、周囲の勇者たちとの切磋琢磨を通して、我が勇者は自信と実力を養っていった。しかし一方で、“思春期”という名の葛藤が、元来素直な勇者に「受験って何のため? 今必要なの?」と問いかける。何度か足踏みし、剣(ペン)を置こうとする勇者。私は勇者と対峙し、SAPIX導師の力も借りながら話し合った。親は思春期には無力だが知恵があった。
 2学期になり、過去問を通して海城との相性をさらに深めた勇者は、貪欲にレベルアップを求めるようになった。私はプリントを体系的に整理し、効率よく学力が上がるよう後方支援に努める。日々があっという間に過ぎていった。
 本番まで1カ月を切り、腕試しに討伐に向かった埼玉方面と千葉方面では不安を残す結果に。私は動揺し、冒険させたことを初めて悔やんだ。しかし勇者は、SAPIX導師の助言もあり冷静に結果を受け止め、苦手な漢字と理科の復習を中心に腕を磨いていった。彼は悔やむどころか前向きに覚悟を決めたのだ。彼の勇気ある姿に、むしろ私が励まされていた。
 いよいよ本番。真の勇者に成長した息子の前で、私はすべての不安を打ち消すように精一杯の呪文を唱えていた。「最後は気持ちの強い方が勝つ!」。勇者が力強く頷いた。
 勇者は努力と信念で、海城合格に至る道のりを見事に踏破したのであった。
 中学受験を完遂して、言葉にできないほどの喜びと充足感を得た息子は、次に訪れる冒険をワクワクしながら待ちわびている。次はきっと、ひとりで大丈夫だ。私も、勇気のつまった宝箱を持って、自分の冒険を探すことにしよう。

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