受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

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2025年度中学受験  サピックス小学部第36期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 駒場東邦中学校

その一言を、決めていた。

K.Nさん お子さんの名前 Mさん

 一月九日。栄東を受けるために前泊したホテル。SAPIXのライブ配信授業を楽しんでいる息子。栄東の過去問は年始に2年分解いた。1年目は合格最低点を少し超えるくらいだったが、2年目は合格者平均点をかるく超えていたので、息子の実力なら東大特待、悪くとも東大クラスだろうと見込んでいた。
 一月十日。受験生の流れに乗り、会場のホテルに到着。試験終了後の待ち合わせ場所を決めたら特に緊張感もなく会場入りしていった。さいたま新都心駅周辺はカフェもファミレスも受験生の保護者でごった返しており、座れそうになかったので、20分ほど歩いたところにあるファミレスで待機した。試験終了30分前には店を出て、冷たい風が吹き荒ぶなか、待機場所へ向かう。多くの保護者たちが子供達が出てくるのを待っていた。無事合流できた息子は「手応えあったよ。」と言い、安心して帰路に着いた。
 一月十二日午前十時。なかなかつながらない合格発表の画面に焦れながら何度もリロードする。出た。
 「難関大クラス合格です」
 目を疑った。どういうことだ。国語が平均点を10点以上下回っている。朝にはすでに合格気分で気が抜けていた息子は、この結果を受けて一気に気を引き締めた。残り3週間。国語を50本やる事に決めた。

 毎朝6時前に起床し一緒に30分散歩。朝食後は基礎トレ、国語、社会。解答用紙を写真に撮ってイメージデータで送ってもらい私が昼休みに採点。午後は理科、算数。過去問を繰り返すのではなく苦手分野を中心にひたすら問題演習。夜に国語をもう一本。息子は毎日10時間机と向き合った。

 二月一日。駒東に向かう途中、息子は「やってやる。絶対に受かる。」と意気込んでいた。最後にかける一言は「大丈夫。頑張れ。」しか出てこなかった。試験後、「手応えあったよ。今回の国語は本当によくできた。」と。一抹の不安が頭をよぎったが、勝負はまだ続いている。栄光は思考力勝負。開き直ってその日は20時に就寝した。
 二月二日。雨の栄光坂。受験生で混雑しなかなか進まない。もし通学するとなったら、かなり遠い。学校に着いて見送ったら私は控え室に移動。まんじりともしない夜を過ごした私は疲労が溜まっていたが、とても眠れない。現実から切り離された次元に足を踏み入れているかのごとく、時の流れが遅い。午前九時。合格発表のサイトはすぐに開いた。
  「合格おめでとうございます」
 控え室から飛び出し、人のいないところに移動し一人泣いた。
 3時間後、受験を終えて階段を下りてきた息子の肩を抱き、万感の思いを込めて、ずっと前から決めていた言葉を告げた。
 「よくやった。」

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