家から近いという理由で入室しましたが、授業時間が増え戸惑うこともありました。４年生後半、息子が「僕は勉強が苦手だから」と笑いながら言った時、「これは良くない」と思い、「やれば絶対できる！ １か月、一緒に頑張ってみよう」と話したあの日が今思えばスタートでした。
　そもそも問題文の意図がわかっていなかったり、意味を誤解していたり。でもその意味を説明してやると「なんだ、そういうことだったのか」と。そして１か月後のテストで一気に３クラス上昇、息子の目に自信が宿った瞬間は私にとっても忘れられない出来事でした。「自分もちゃんとやればできるんだ！」と実感した息子は、「５年生のうちに上位のクラスに行く」ことを目標に頑張り始めました。でも分からない問題にぶつかると、イライラと紙をぐちゃぐちゃにして怒ったり。負けず嫌いな息子には自分とのつらい戦いの連続でした。そんな息子をなんとか応援しようと、一緒に机に向かう時間が増え、見守り続けました。
　父親も算数や理科のアドバイスをしてくれるようになり、家族全体で息子の学習を支えました。６年生の春に初めて上位のクラスに上がれた時は家族みんなで喜びました。「絶対にこの学校に行きたい！」と思える学校にも出会い、ＧＳ特訓が始まると「楽しい！」と言うようになりました。毎回昇降がある厳しい授業なのに、友達と切磋琢磨し合う姿に成長を感じました。
　６月は学校行事の疲れで塾に通えず、夏期講習で苦戦しましたが、息子は負けませんでした。半泣きで授業に行く日もありましたが、諦めませんでした。冬には今までで一番の頑張りを見せラストスパート。ゲームにも見向きせず一心に勉強に打ち込む息子の姿に、驚きと感動を覚えました。
　直前期にはさすがに不安が募り、夜眠る時にため息をついたり。それでも毎日、先生方のユーモアあふれる口癖やクラスメイトとの楽しい会話を私に教えてくれながら、笑顔で勉強していました。先生方が送ってくれた激励メッセージ動画を嬉しそうに何度も再生して「受験が終わるのが寂しい。サピックスがずっと続けばいいのに」とまで言っていました。先生方を信頼し、いつの間にかサピックスが特別な場所になっていました。そんな風に思わせてくださった先生方に、心から感謝しています。
　試験当日、緊張で眠れなかった息子が力強い目で堂々と会場に入って行った姿は忘れられません。そして見事に夢を叶えました。逞しく成長した息子を見て、私たち家族は感動と誇りの気持ちでいっぱいになりました。受験に向けて頑張り続けた経験が、これからの息子にとって大きな自信と力になることを願っています。
　家族で過ごしたこの特別な時間が、大切な思い出として心に刻まれました。楽しい授業で勉強の面白さを教えてくださった全ての先生方に御礼を言いたいです。
　これからも、息子の成長を見守り、応援し続けたいと思います。がんばれ、優毅！