受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

2025年度中学受験  サピックス小学部第36期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 筑波大学付属駒場中学校

おおむね平常運転

S.Iさん お子さんの名前 Kさん

 「まちがってるのはわかるけど、直したくない…!」そう言って床につっぷして30分泣き続ける息子を見ながら、一筋縄ではいかないであろう中学受験を覚悟したのは2022年の春だった。
 好奇心旺盛で多趣味な息子には、中高一貫の学校で好きなことを追求してほしいと思い新4年生から入室。「机が狭いからサピックスはいやだ」と言っていた息子はすぐになじみ、楽しそうに通っていた。
 国語・社会・理科が得意で算数は中の上。どの科目も問題の読み間違いや勘違いがとにかく多かった。字が雑すぎて自分の途中式のトラップにかかり失点したことも数えきれない。ミスの原因を分析したり解き方をアドバイスされることが嫌いな息子が、悔し涙を流しながら作成した“テスト直しノート”は、試験前に自分の傾向と対策を考える大切なデータベースとなった。
 天王山と言われる6年の夏も、模試ラッシュの秋も息子は飄々としていた。「SSの授業どんな感じ?」と訊いても、すました顔で「おおむね平常運転です」と言うだけでやる気も必死さも感じられなかった。それでも12月には「受験が終わるまでゲームはしない」と宣言した姿に、受験を自分事として考えられるようになった成長を感じた。(ただしYouTubeは直前まで見ていた)
 1月の埼玉受験を終えると息子は自分のウィークポイントと真剣に向き合うようになった。どんなに他の科目が得意でも、算数のレベルアップなくして最難関校は戦えない。息子は土特やSS特訓で間違えた問題に再挑戦し続けた。「やった! 6回間違えた問題、ようやく正解した!」と喜ぶ姿を見ながら、筑駒の過去問で19点を記録した1か月前からグンと力がついたことを実感した。
 2日校の試験を終えて帰宅した息子は、いつもより口数が少なかった。もしかして手ごたえがなかった? このまま明日の筑駒に突入して大丈夫? 開成の結果もわからない状態でどんよりしたムードが漂っていた時、サピックスから一本の電話が。3年間お世話になった算数科の先生だった。通話を終えた息子は「問題内容をちゃんと覚えていて冷静に分析できているなら大丈夫だって言われた」と嬉しそうにしていた。信頼する先生からの電話でみるみる自信を取り戻す様子を見て、サピックスと息子の強い絆を感じた瞬間だった。
 翌日、筑駒の試験終了後に「やり切った」と言った息子の表情は晴れやかだった。駅まで歩きながら「あーいい問題だった。僕やっぱり筑駒に入りたいな」と話すのを聞いた時、私はこの道を6年間通学する息子の姿を見た気がした。
 サピックスのカリキュラムは志望校合格への盤石なレールだ。遅れが発生することはあっても、一度もやめたいと言わずにおおむね平常運転で終着駅にたどりついた息子は、もう床で泣いていたあの頃の彼ではない。本当におめでとう。そして父と母にすばらしい景色を見せてくれてありがとう。

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