受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

2025年度中学受験  サピックス小学部第36期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 筑波大学付属駒場中学校

「8年間」の中学受験を振り返って

S.Fさん お子さんの名前 Sさん

 我が家の3人息子はいずれも新小4の2月にサピックスへ入室し、通算8年にわたりお世話になった。三男の受験終了後に、長年お世話になった算数の先生から「来年は長男君の大学受験ですね。次は君の番だよ、と伝えてください」と声を掛けていただいた。先生の気持ちが温かく、改めて息子たち全員がサピックスを心から楽しんでいたことを追想した。3人の受験を通して自分自身が学んだことを、この場をお借りし記録として残したい。自戒を込めた拙い記録だが、今後受験を迎える方のお役に少しでも立てば嬉しく思う。
 僕がいま強く思うのは、受験の主役はあくまで子ども達だということだ。こんな当たり前のことも渦中では度々見失いそうになる。今回の受験も、結果だけを見れば順風満帆のようだが、実情は決してそうではなかった。
 三男が入室した当時はちょうど次男(現中2)の受験真っ只中であり、僕も妻も三男に関わっている余裕はなかった。やむなく三男は小4の1年間、大して親に構われることなく自分で勉強した。テストの結果も、親に聞くのではなく自らサイト上で確認していた。しかし、これが結果的に彼の自主性を育む結果になったように思う。小5からは僕が勉強の伴走をした。衝突することも多かったが、表面上は大過なく過ごしていた。しかし、小6の12月以降、皆の成績が伸びてくる中で息子の成績は伸び悩み、むしろミスが散見され、焦りを感じた。1月に入っても不注意や問題の読み違いは減らず、全く気を抜けなかったが、灘の合格発表から一気呵成となり、その後は集中力も気迫も最高潮に達した。
 筑駒の発表から数日後、三男がいくつか秘話を明かしてくれた。授業内テストの結果が悪いときは子ども部屋にそっと隠していたこと、家の課題は自分で勝手に手を抜く方法を見出していたこと。いまとなっては笑い話だが、これによって弱点がマスクされてしまい、直前期の成績低迷を招いた可能性もある。しかしそもそもこれらの原因は、テストの成績や課題の進みが悪いときに僕が強く叱ったことにある。悪い結果を受けて弱点を正確に把握し、どう改善するかを一緒に考えることこそが親の役割だといまは思う。
 親が徹底的にカリキュラムを組み、低年齢から綿密に管理することが受験の最適解のように言われることも多いが、親ができることは必ずしも多くないように思う。子どもが夢中になれる環境を用意すれば、彼らは先生や友人に囲まれ、切磋琢磨しながら自ずと成長していくと感じている。
 僕はいつも子どもたちに「過去は変えられないけど未来なら変えられるよ」と話す。受験をする子ども達は、未来に向かって努力し自分の可能性に精一杯挑戦している。親はそれを決して否定することなく全力で応援しなければならないと強く思う。自分に成長の機会を与えてくれた3人の息子たちと、ここまで支えてくださった先生方、そして関わってくれた全ての方に心から感謝を伝えたい。

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