入室は新１年生からでした。１年生から塾は必要ないと周りからは言われましたが、人気の校舎で４年生になると募集停止になっているのを見ていたので迷いはありませんでした。きっかけは従妹達が元サピックス生で、いわゆる東京御三家に既に進学していたから。一歩先にいる彼女達の存在が大きな目標となっていました。
　説明会でサピックスのカリキュラムについて中学受験を「本棚」に例え、低学年では本棚本体を作り、中学年ではそこに入る本を作り、高学年では本の使い方を学びますとお話がありました。
　息子は３年生までは習い事感覚で通塾、４年生からは最後までよきライバルとなる仲良しのお友達が入室、本格的なクラス昇降の洗礼を浴びながら受験モード突入、切磋琢磨が始まりました。多くの親御さんが経験されると思われる、なかなかやる気が見えないとつい感情的になって叱ってしまう事も多々。テキストを玄関から放り出した事も。何冊もの中学受験本を参考に環境を整えてみたり、経験者のアドバイスを試してみたりしましたが、息子は「中の下」クラスを行ったり来たり。クラス目標は高く持ち続けていましたが最後まで達することはありませんでした。
　クラス昇降には苦戦しましたが、５年生後半頃から自然と受験を意識し始め自走モードに。それにははっきりとした幾つかのきっかけがありました。一つ目は他塾に通う同級生からのキツイ一言。「サピ行っててもそんなクラスだったらどこも受かんないよ！」と言われ相当悔しかったのでしょう、泣きながら帰ってきました。二つ目はサピックスの先生からの声掛けの数々。尊敬する先生方に出会い、先生からの何気ない一言一言が息子に勇気を与えてくれたのはテキストにびっしりと書かれた板書や家庭学習の取り組み方の変化で明らかでした。
　その後、夏期講習やＳＳ特訓で少しずつ成果が表れてきました。しかしマンスリーテストではなかなか結果がでず心配しましたが、２月に合格できれば！と息子を信じ続けました。今思えば受験直前期の息子と比較するとその頃はまだ「自信」が持ててなかった様でした。
　サピックスと並行して算数の補強でプリバートにもお世話になりました。マンツーマンなのできめ細かい指導、落ち着いた環境が拠り所になり、特に直前期は回数を増やし過去問対策、志望校の選択では心強い存在でした。１月に入ってからは完成した「本棚」を存分に活用し一気に伸びていくのが実感できました。
　第一志望校は複数回挑戦し、心臓が幾つあっても足りない思いでしたが結果的に一番高い倍率の回で合格、サピ生の粘り強さを感じました。自信に満ち受験を終えた息子は「中学受験してよかった。サピックスでよかった。」と。受験に運があるのは確か、しかしサピックスで学んだ事を信じ続けて正解だったと感じています。