正直、中学受験をするとは思ってもいませんでした。私自身も中学受験は経験したことがなく、居住しているエリアの中学受験率が高いということだけで、母親として、いざという時に備えて進路の選択肢を増やしてあげたいと思い、小学１年生の時にサピックスに入室しました。これが親のエゴというものなんだと、数年先に何度も何度も実感し、自分をせめてしまう事になるとは思ってもいませんでした。
　小学４年生までは、一つの習い事としてあまり深く考えずに通塾し、息子も楽しく勉強をしている様子でした。成績もよく、家庭学習も疎かにすることなく、他の習い事と両立しながら楽しく学習に取り組んでいました。小学５年生になると、環境が一変。他の習い事との両立が少しずつ難しくなり、テキストの整理や息子の学習への取り組み方にも少しずつ変化が見られました。少し反抗期もあったのか、息子と私の中学受験に対する意識が少し違っていったのです。息子は「公立ではなく私立の中学に進学をしたい。でも勉強が辛い。」私は「そんなに勉強が辛いならやめても構わないよ。でも受験は厳しくなると思うよ。」すると息子は「それは嫌だ。」まさに負のループに陥ってしまっていました。成績自体は問題なかったのに、親子共々精神的に辛くなっていったのです。少し反抗期に入ってはいましたが、上手くコミュニケーションを取り合い、励ましながら進めていった記憶があります。休憩やストレスを発散させる機会を必ず設け、我が家は毎日勉強漬けということはしませんでした。
　小学６年生になると本人の受験に対する意識も変わり、前向きに学習に取り組むようになりました。そのきっかけとなったのは、志望校が決まったこと、サピックスの担当の先生との出会いです。いくつか気になる学校を見学し、息子自身がその学校の環境を肌で感じ、自分に合うと感じる学校を見つけられたことによって、この学校に入りたいという強い意志が芽生え、日々積極的に取り組むようになりました。そして何よりも、サピックスの担当の先生との相性が良く、塾の授業が終わると必ずといっていいほど質問教室へ足を運び、自分の悩みや志望校の出題傾向など些細な疑問でも必ず聞くようにしていました。それが息子にとっての楽しいひと時にもなっていたようです。そのため、受験本番まで残り僅かの時には、自分にできる最大限の力を出し切って一生懸命取り組んでいた姿を今でも覚えています。
　最終的には、大学付属校・共学校を目標に、もともと第一志望は法政大学中学校でしたが、少しずつ偏差値も上がり、さらに上を目指したい気持ちもあったため、合格可能性50％の学校も受験しましたが、残念ながら不合格でした。あんなに頑張ってきたのに何で？と親子で思ってしまった瞬間もありましたが、一番最初に行きたいと思っていた学校に決まり、これは運命だったのではないかなと実感しております。